サフィール流!革靴のお手入れ方法をレクチャーしていただきました!
株式会社ルボウさん。
ご存知サフィール、サフィールノワールの日本代理店として名高い、名古屋に本社を構える企業さんでございます。
もちろん、サフィール系の製品だけではありません!
サフィールのブランドを展開するフランスのアベル社が、コルドヌリアングレーズ(フランス)、ダスコ(イギリス)、タラゴ(スペイン)などのブランドも傘下に収められていることもあり、ルボウさんもこれらのブランドの製品を取り扱っていらっしゃいます。
ちなみに、ルボウさんのボウ [beau] は『美しい』というフランス語。
アベル社のマーク・ムーラ社長がつけられた名前なんですって!
そんなルボウさんで、『サフィール流・製品の良さを最大限に活かした革靴のお手入れ方法!』を教えていただきましたので、余すところなくご紹介したいと思います!
あと最後に、担当していただいた方にうかがったお話も少しご紹介していますので、サフィール党の方もそうでない方もよろしければご覧ください!
サフィール流お手入れの手順
まず、気になっている方も多いと思いますが、サフィール流のワックスの落とし方。
我々はハイシャインクリーナーとか、クレムのニュートラルで落としたりすることが多いですが、サフィール流はこうです!!
缶のワックス(ニュートラル)とティッシュ!!
ティティティティッシュ!って2度見する勢いでしたけど。笑
ティッシュを使うのは、キメが粗いから。ネルのようなキメの細かい布素材だと、落とす過程でワックス表面を整えてしまうから、なのだそうです。
確かにティッシュで鏡面磨きに挑戦したことはありますが、まったくできませんでしたからね。笑
正直ちょっとビックリしたんですけど、そのまま捨てることができるし合理的ですよね!
あと、ニューロラルのワックスは溶剤が多いのかドライになりにくいのだそうです。
クレムのニュートラルと似ていて粘り気もあるようなので、ワックスを落とすのに適しています!
鏡面を大体落としたら、レノマットで全体の汚れを落とします。今回はクロスで汚れを拭き取ります。
比較的強いクリーナーなので、ゴシゴシこすって銀面を傷めないように気をつけるのは言うまでもないですね!
ほんとにさらっと拭き取る程度です。
さぁ次はご存知クレムを入れていきますよ!
細かい隙間にもクレムをしっかり塗りたいという理由で、アプライブラシを使われています。
ちなみにクレムのお色はコニャックです。
結構ガシガシ塗り込むイメージで塗られていました。
次は豚毛ブラシです。
シャカシャカ…
豚毛ブラシの後にもう一度クレムです!
特に甲の部分のような屈曲の多いところは指でしっかり塗り込むイメージです。
そしてさらにネルにクレムを取って、水をつけながら全体的にクレムを塗っていきます。
水と一緒にクレムを塗ることで、クレムの浸透性も上がるとおっしゃってました!
そして、クレムのロウだけで靴全体を鏡面に施すようなイメージとでもいいましょうか。
クレムだけでこうなりました!
つやんっつやん!
そして、ワックスを乗せていきます。
ビーズワックスポリッシュのブラウンとダークブラウン。
まずはブラウンをつま先、サイド、かかとに指にネルを巻いた状態で塗っていきます。
手際良くヒールやコバの周りにも塗られていましたね。
そのあとは指でダークブラウンのワックスを、つま先の先の方と、かかとの一番下の部分に塗っていきます。
この間、ネルについたワックスを乾かすのも兼ねています。
この時に注意するのは、濃い色を乗せるときはつま先のほんの先端とその左右、そしてかかとの下の部分のみ。
この濃いワックスを上に引き伸ばしてあげると綺麗なグラデーションになるのだそうです!
ちょうど三日月のようなイメージです。
僕なんか塗り重ねる段階でグラデーションに仕上げようとしちゃってましたが、うまくいかず難しさを感じていました。
これはなるほどって感じでした!
指で塗り終わったら、次は水を数滴垂らして、ネルで磨いていきます。
すると、あっという間に鏡面に!
鏡面になるまでほんとにあっという間でした。
さらに、この後ほんの2〜3回ミラーグロスを塗り足して、全体的にネルで整えます。
山羊毛ブラシに水を少しつけて、ささっとワックスを馴染ませる。
その後、クロスで表面のツヤを出して、完成です!
はい、出来上がりです!!
この仕上がり!
素晴らしいです!
20分程度でした。
鏡面になるまでが早かったですね!
写真しかないので、この臨場感がどこまでお伝えできるかはちょっと不安なのですが、すごいスピード感がありました!
アベル社の考え方
サフィールを展開するアベル社のこだわりもお聞きすることができたので、ご紹介させてください!
まずは、クレム1925などのクリーム系商品の成分についてです。
詳細な成分は公開はされていないようです。そこは一番聞きたかったところですが、仕方ありません…。
しかし、成分はほぼ100%が天然成分です。
石油系の溶剤はもちろん使っていませんし、油分で革に栄養を与えることを大切に考えられています。
動物の革には、水分ではなく動物由来のオイルが一番適しているでしょ?と。
残念ながら鉱物油など、日本では手に入りにくい素材も多いそうですね。
製法もしっかりデジタルで管理されていて、この温度のときにこの素材を入れるとか、この素材を入れすぎてもダメとか。
成分を入れる温度や量をちょっと間違おうものなら、ツヤが出なくなってしまったりとか、ベタベタになってしまったりとかっていうことがあるようです。
なので、昔ながらの製法を守りつつ、より良い製品開発のために研究もされているというイメージでしょうか。
とにかく、靴や革が一番良い状態を長く保つことのできる製品開発を意識されていることがうかがえます。
ちなみに、既存の製品も改良を加えられることもあるようなので、昔と成分が少し違うなんてこともあるようですね。
ハイブランドからの信頼
サフィールのクリームやワックスといえば、エルメスだったり他にもヨーロッパのハイブランドに使われているのはご存知の方も多いと思います。
ただハイブランドに卸しているだけではなくて、ハイブランドとの共同開発もされているので、どんどん新しい製品が出たりとかクリームの新色が出たりします。
ここ数年でもクレムの色は2色ほど増えてますし、新しい商品も出てるみたいです。
まだ非公開なので詳しくは聞けませんでしたが、また次の商品も販売される予定があるみたいですよ!
ちなみに、ヨーロッパでのサフィールのシェアはほとんど。
2008年頃は60ヵ国ほどだったのが今では80ヵ国ほどでサフィール系の商品を取り扱っているみたいです。
途上国以外は網羅している感じでしょうか。
写真ご覧いただくとおわかりかと思いますが、名だたるハイブランドの数々…
ランバン、ギーブス&ホークス、ベルルッティ、エルメス、ジョンロブ、他…
ヨーロッパのシューメーカーさんからもクリームやワックスの色が合わせやすいと評判が良いのだそうです。
サフィール製品に対する確信
世の中にはサフィール意外にもいろんなシューケアグッズのブランドがありますね。
そりゃブランドも違えば、出ている商品も違うし、名前は似ていても成分は違うしと。我々は選ぶ楽しさもありますが、同時に混乱を招く原因にもなっているように思います。
どれを使ったらいいの?とか、どうやって使えばいいの?とか。
そんな中、製品が間違って使われてしまうことも少なくないし、良くも悪くもいろんな情報が出回ってしまうこともあるでしょう。
具体的に成分を公開してるブランドは多くないし、使い方をすごく詳しく紹介してない場合もありますからね。
いろんな情報が出回っている中で、我々が一般ユーザーが一番知りたいことって、本当に革にいい成分って何なの?本当に革に良いお手入れ方法ってどんななの?ってことだと思うんです。
ですよね?
ルボウの方からお話をうかがって感じたのは、サフィールの商品はそこに絶対的な自信をお持ちだということ。
別に他のブランドの商品が悪いとかそういう話ではなくて、「サフィールはこういう成分でできていて、こう使うから革にも良い」という確信をもってお話されているようでした。
迷いがなかった!
それが聞いていてすごく気持ちよかったですし、これが世界中から支持されているブランドたる理由なのだろうと感心いたしました。
個人的にはクレムだけでなくサフィールの商品と今後どう向き合っていけばいいのかという指針になったので、すごく有意義な時間となりました。
ルボウのご担当者さまはほんとに親切に方でした。
本当にありがとうございました。
先月末にパティーヌ講習が終わったばかりらしいので、機会があれば必ず参加したい!
ちなみに、愛知県の常滑焼(とこなめやき)で作られたハンドラップ。
非売品です。
いつか絶対欲しい!
クレム1925についてはこちらの記事で詳しくご紹介しています。
是非ご覧ください!
最後までお付き合いいただきありがとうございました!
サフィールの取材記事、大変興味深く拝見しました。今度は是非モゥブレイ、R&D社是非お願いしたいな、と誠にかってながら思いました。やはり伝統レシピといわれる所以ならではの成分、工夫がサフィール同様、あるのではないかと。シュークリームジャー、好きなんですよね、私。派手さはないクリームですが。
Nagashimaさま、コメントありがとうございます!
僕もお話うかがっていろいろ勉強になりました。もちろん、いずれはモウブレイもブートブラックもお話聞ける機会があると嬉しいなって思ってます。
すぐには難しいかもしれませんが、気長にお待ちいただけると幸いです!
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