どうもはじめまして、くすみ(kusumincom)と申します。
最近、「革靴用のクリーム、何買ったらいいの?」とご相談いただくことがあります。
メーカーも種類もいろいろあるし、乳化性のものや油性のものなど、初めての方には少々難しいかもと思いますので、革靴用のクリームの種類や用途、あと使い方みたいなところをご紹介させていただきたいと思います。
これから革靴のお手入れはじめたいと言う方は、是非参考にしてみてください。
目次
革靴用クリームの種類は5つ
革靴用の靴磨き用のクリームは、ワックスやローションと呼ばれるものも含めて細かく分けると5つくらいあります。
①乳化性クリーム
②油性クリーム
③油性ワックス
④デリケートクリーム
⑤レザーローション
それぞれ成分や特徴、さらに用途や価格帯も違います。
せっかくなので5種類全て、ご紹介させてください!
①乳化性クリーム
乳化性クリームの成分
まずひとつつ目は『乳化性クリーム』です。
成分は主に、水分、油脂、ロウ、有機溶剤で構成されています。
水分と油分で、保湿と栄養補給をしてあげることで、革をしなやかに保ち長持ちさせる効果があります。
ロウの成分は、中には例外もありますが、基本的には革の表面に乗せてあげることでツヤを出すための成分です。
そして、有機溶剤は、水分や油脂、ロウなどの通常は混ざらない成分同士を溶かして混ぜてあげることでクリーム状にしている、という役割の成分です。
この4つの成分はこの後も何度か出てくるので名前を覚えておいていただけるとわかりやすいと思います!
乳化性クリームの使い方
使い方は、指や布に少量取り、靴全体に塗り込みます。
その後豚毛ブラシでブラッシング。最後に布で余分なクリームを拭き取ります。
乳化性クリームの特徴
ロウによって程よいツヤが出るだけでなく、保湿効果もあり、革をしなやかにしてくれます。
また、比較的安価なものが多いので、ちょっと靴磨きはじめてみようかなぁという方には非常におすすめです。
メーカーやブランドにもよりますが、値段はだいたい1,000円程度のものが多いです。
メーカーによっては色数も豊富でサフィールのビーズワックスファインクリームは70種類も色があります。
代表的な乳化性クリーム
・サフィール:ビーズワックスファインクリーム
・サフィールノワール:レノべイタークリーム
・コロニル:1909シュプリームクリームデラックス
・モウブレイ:シュークリームジャー
・モウブレイプレステージ:クリームナチュラーレ
・コロンブス:シュークリーム(Black Line)
・コロンブス:シュークリーム(Silver Line)
・イングリッシュギルド:ビーズリッチクリーム
(青文字の商品はレビュー記事があります)
②油性クリーム
油性クリームの成分
2つ目は、油性クリームです。
成分は主に、油脂、ロウ、有機溶剤で構成されていて、水分が含まれていないものが多いです。
油性クリームの使い方
使い方は乳化性クリームと同様、指や布に少量取り、靴全体に塗り込みます。
その後豚毛ブラシでブラッシング。最後に布で余分なクリームを拭き取ります。
油性クリームの特徴
豊富な油脂で革に栄養を与え、ロウでしっかりとツヤを出すことができるクリームです。
ただ、乳化性クリームと違うところは、油性クリームはすごくオイリーなので使ったあとにほんの少しベタつきが残ります。
一方で乳化性クリームは比較的さらっと仕上がるものが多いです
油分やロウの成分が多いため、定期的にクリーナーで落としてあげないとロウ分が蓄積してしまいます。
また、わずかな量のクリームが靴全体に塗ってあげるだけで、十分重厚感のあるしっとりとしたツヤが出ることが特徴です。
メーカーやブランドにもよりますが、値段はだいたい2,000円程度のものが多いです。
代表的な油性クリーム
・サフィールノワール:クレム1925
・コルドヌリアングレーズ:ビーズワックスクリーム
・ブートブラック :アーティストパレット
(青文字の商品はレビュー記事があります)
③油性ワックス
油性ワックスの成分
3つ目は、油性ワックスです。
成分は主に、油脂、ロウ、有機溶剤で構成されています。
一見、油性クリームと成分は似ていますが、こちらはロウの成分が多くの割合を占めています。なので、つま先とかかかとにワックスを塗ってピカピカに磨き上げる鏡面磨き(ハイシャイン)をするために使います。
基本的には革に潤いや栄養を与えるものはほとんどありません。
油性ワックスの使い方
ワックスの使い方は、クリームでお手入れをした靴の上に指で塗り重ね、水とコットンのネル生地で磨きあげるとツヤツヤの鏡面ができあがりです。
鏡面磨きのやり方はこちらの記事でご紹介しています。
油性ワックスの特徴
鏡面磨きをすることで、若干革の通気性を損ねるというデメリットがありますが、革をキズや雨水から守ってくれるというメリットもあります。
何より靴が美しく仕上がりますね。
乳化性クリーム、油性クリームはガラスの瓶に入っているものが多いですが、こちらの油性ワックスは缶に入っているものが多いです。
値段の相場はだいたい数百円〜1,000円程度です。
2,000円以上するものもあります。
代表的な油性ワックス
・KIWI:パレードグロス
・サフィールノワール:ビーズワックスポリッシュ
・サフィールノワール:ミラーグロス
・モウブレイ:ハイシャインポリッシュ
・ブートブラック :シューポリッシュ
・ブートブラック :ハイシャインベース
・ブートブラック :ハイシャインコート
・タピール:レーダーバルサム
・YAZAWA:ワックスシューポリッシュ
(青文字の商品はレビュー記事があります)
④デリケートクリーム
デリケートクリームの成分
そして4つが、デリケートクリームです。
成分は主に、水分、油脂、有機溶剤で構成されています。(稀にロウが含まれるものもあります)カラーバリエーションはほとんどなく、無色のものばかりです。
デリケートクリームの使い方
使い方は指や布で塗って、乾拭きするだけです。簡単ですね!
デリケートクリームの特徴
成分だけ見ると乳化性クリームと似ていますが、ほとんどの成分を水分が占めているため、保湿に特化したクリームです。また、ロウ分が含まれていないこともあって、ツヤはほとんどでません。
ツヤ出し効果はほとんどないので、ツヤを出したくない革のお手入れにおすすめのクリームです。また、水分が多くシミになりにくいため、革の色や風合いや大切にしたい方にオススメです。
新品の靴の内側に塗ってあげることで、靴を内側から柔らかくして、足になじみやすくしてあげるという使い方もあったりします。
塗った後もさらっと仕上がり、革靴以外のレザー製品全般に使えるのもデリケートクリームの特徴です。
しかし、水分がとんでしまうのも早いので、しっとり感がすごく長持ちするというわけではありません。
革好きなら必ずひとつ持っておくとよいと思います。
価格も1,000〜2,000円程度と汎用性の割にはリーズナブルです。
代表的なデリケートクリーム
・サフィールノワール:スペシャルナッパデリケートクリーム
・モウブレイ:デリケートクリーム
・モウブレイ:リッチデリケートクリーム
・コロニル:デリケートクリーム
・ブートブラック :デリケートレザー用クリーム
・ブートブラック :リッチモイスチャー
(青文字の商品はレビュー記事があります)
⑤レザーローション
レザーローションの成分
レザーローションが5つ目です。
ローションと言うだけあって、液状のクリームです。
成分は主に、水分、油脂、ロウで構成されています。なので乳化性に分類されます。
レザーローションの使い方
布にとり、塗り伸ばしてしばらくしたら、乾拭きしてあげればOKです。
レザーローションの特徴
レザーローションの特徴は、汚れ落としも兼ねているということです。(そうでない製品もあります)
しかし、汚れ落としに特化した製品より汚れは落ちません。
もちろん、植物性や動物性の油脂を含んでいるので、革に栄養を与え長持ちさせることができる万能ローションなのです。
乳液のような質感なので、塗り伸ばしやすく、ソファーやその他レザーの家具のような大きな革製品には使いやすいです。
価格は1,500〜2,000円が相場です。
代表的なレザーローション
・サフィール:ユニバーサルレザーローション
・サフィールノワール:レザーバームローション
・コロニル:1909レザーローション
・タピール:レーダーフレーゲ
・KIWI:レザーローション
(青文字の商品はレビュー記事があります)
各クリームの用途比較
ここで一旦それぞれのクリームの特徴をまとめるとこんな感じになります。
種類 | 成分 | 効果・特徴 | 価格帯 |
乳化性 クリーム |
水分、油脂、ロウ | ・保湿効果 ・革を柔らかくする ・ツヤ出し効果 ・色数も豊富 |
1,000円 |
デリケート クリーム |
水分、油脂、ロウ | ・保湿効果に特化 ・革を柔らかくする ・色は無色のみ ・レザー用品全般に使える ・水分含有量が多い |
1,000〜 2,000円 |
レザー ローション |
水分、油脂、ロウ | ・液状の保革ローション ・汚れ落としができる ・レザー用品全般に使える |
1,500〜 2,000円 |
油性 クリーム |
油脂、ロウ、有機溶剤 | ・栄養補給 ・革を柔らかくする ・ツヤ出し効果 |
2,000円 |
油性 ワックス |
油脂、ロウ、有機溶剤 | ・鏡面磨き用 ・栄養補給や保湿効果ナシ ・防水効果 ・キズから守る効果 |
600〜 2,000円 |
※成分は一般的なものを掲載しています。メーカーやブランドによっては、成分が異なる場合もありますのでご留意ください。
乳化性クリームとデリケートクリームの違いも、こうやって並べて見るとわかりやすいですね。
ただ、問題は結局どれ買ったらいいの!?ってことですよね。
おすすめのクリームはこちら
そう、結局はどれ買ったらいいの?って話です!
気軽にはじめてみたい方
とりあえず、靴磨きのはじめてみようという方は『乳化性クリーム』をオススメします。
とりあえず安価なのと、保湿も栄養もツヤ出しもオールマイティーにできるので『これだけで十分感』があります。
乳化性クリームで靴磨きをはじめてみて、もっと物足りなくなったり鏡面磨きにチャレンジしてみたくなったら、買い足してもらえればいいと思います。
特に、黒や茶色の靴をお持ちの方は乳化性クリームで補色もできるので、色がハゲてしまった靴にも効果的です。
●¥1,000以下で購入できるおすすめの乳化性クリームはこちら
新しく靴を買った方
新しく靴を買われた方、靴を大切に大切に履きたい方は『デリケートクリーム』のひとつ持っておくことをオススメします。
新しい靴を買って履く前に、デリケートクリームやオイルで革を柔らかくするプレメンテナンスにご利用ください。これをするとしないのでは、革靴の寿命が大幅に変わってきます。(プレメンテナンスの参考記事はこちら)
あと、革製品が大好きという方にも、靴だけでなく革製品全般に使えるのでデリケートクリームがオススメです。
●おすすめのデリケートクリームはこちら
しっかり靴磨きをしてみたい方
ちゃんと靴磨きしたいって方やしっかりツヤを出したいという方は、『デリケートクリーム』と『油性クリーム』のセットで間違いなしです!
デリケートクリームで保湿し、油性クリームで潤いを閉じ込めつつ栄養を与え、さらにツヤを出す!このコンボです。2つ買うのは(サフィールノワールの油性クリームの参考記事はこちら)
●おすすめの油性クリームはこちら
ちなみにひとつ¥2,000のクリームですが、5年経ってもまだ残っています。笑
年間にすると¥400。月に1回磨いたとすると¥33です。安い!
靴磨きをしてみたいという方は、是非靴がツヤツヤになる感動を味わってみてください!早くお手入れを始めたほうが、より靴が長持ちしますよ!
鏡面磨きもしたい方
さらに、鏡面磨きをしたい方は油性ワックスをご利用ください。
ただ、鏡面磨きをされるまえに靴クリームで革のお手入れを必ずしてくださいね。(鏡面磨きの方法はこちらでご紹介しています)
●おすすめのワックスはこちら
靴じゃない方
バッグやそのほかの革製品のお手入れは、デリケートクリームかレザーローションで間違いなしですね。
(サフィールユニバーサルレザーローションの参考記事はこちら)
●革小物には、万能デリケートクリーム!
●ソファーや家具のような大きな製品のお手入れにはこちら
と言う感じです!
いかがでしょう?この5つに当てはまりましたか??
最後に
僕は革靴をお手入れして大切に履くことを楽しんでいます。
そして、だんだん自分に足に革が馴染んで履くやすくなったり、革の風合いが増していくことに喜びを覚えます。せっかく気に入って買った革靴だから、すこしでも長く綺麗なまま履き続けたいじゃないですか。
是非同じように思ってもらえる方が一人でも多くなればいいなぁと思いながら、このような記事を書いています。いつか各々が手入れをした自慢の靴を自慢し合いながら、同じような思いの人たちと酒を飲める日が来ることを夢見ています。笑
革靴の磨き方もご紹介していますので、よければこちらの記事もご覧ください。
最後までお付き合いいただきありがとうございました!
コメント
はじめまして。
こちらのブログを読んで革靴・革製品のお手入れについて学ばせていただきました!
革靴や白のレザースニーカー、バッグに使うためのデリケートクリームを探しているのですが、もしよかったらアドバイスをいただけるとありがたいです。
候補はこの3つで考えています。
・モウブレイのデリケートクリーム ・リッチデリケートクリーム ・コロニルの1909シュプリームクリームデラックス
選ぶ基準はこんな感じです。
・初心者でも扱いやすい ・ツヤは控えめ ・ベタつかない ・においがキツくない
クリームの効果については様々なところで情報を入手できるので、特ににおいに関しての感想をいただけると助かります。
先日サフィールのユニバーサルレザーローションを試したのですが、甘いにおいが広がって少々びっくりしたので…
いいにおいかどうか、というよりも、できるだけ無臭に近いものが好みです。
よろしくお願いします!
ヒッポーさま、コメントありがとうございます!
ご指定いただいた3つですと、
①リッチデリケートクリーム
②コロニルの1909シュプリームクリームデラックス
③モウブレイのデリケートクリーム
この順で香りが強いと感じます。
個人的には①リッチデリケートクリームはすごく甘く爽やかで良い香りなのですが、無臭がよいということでしたら③モウブレイのデリケートクリームが一番香りは弱いと思います。
ただ、③モウブレイのデリケートクリームも多少は香りがありますので、念のためレザーケアグッズが売っているお店などで匂いを嗅がせてもらってから購入された方が安心かと思います。
中でも②コロニルの1909シュプリームクリームデラックス は、香りもありますし、ツヤも出るため、今回は除外された方が良いかもしれません。
①と③はツヤは出にくいです。①は③より潤った感が強いので、べたつく感じられる方もいらっしゃるかもしれません。
参考になれば幸いです。
とても丁寧な回答ありがとうございます!
アドバイスを参考に、今回はモウブレイのデリケートクリームを第一候補にしようと思います。
あちこちで”定番”と言われてるだけあって、クセの少ない商品なのでしょうかね。
今後もこちらのブログを参考にしつつ、革のお手入れの楽しさを少しずつでも味わっていきたいと思います。
ありがとうございました!
ヒッポーさま、こちらこそありがとうございます!
是非!そう言っていただけてとても嬉しく思います!これからも地道に更新していきますので、お付き合いいただけましたら幸いです!
よろしくお願いいたします!
革靴クリームって、こんなにたくさん種類があるんですね。
とても分かりやすくて、参考になりました。
教えていただいたことを参考にして、靴の手入れをしたいと思います。
ありがとうございました。
ユートピアさま、コメントありがとうございます!
そう言っていただけて何よりでございます。是非楽しんで靴のお手入れ続けていただけることを願っております。
こちらこそありがとうございました!