工場見学

油分と水性染料だけでここまで透き通る、レーデルオガワが仕上げるコードバンの透明感【#多様な革靴の世界 No.4】

靴磨きセットまとめ記事
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『多様な革靴の世界』第4回目となる今回は、コードバンという革の物性について、千葉県柏市でコードバンの仕上げをされているレーデルオガワの飛田さんにお話を伺います。

 

今回は「革靴」がメインではないのですが、コードバンについて勉強させていただきます。

 

 

コードバンのフィニッシャー

今回の革靴に関する多様性について掘り下げていく企画、インタビューのご承諾ありがとうございます!

 

こんにちは!
こちらこそコードバンというニッチな世界にご興味をもっていただきありがとうございます。
情報発信が私の仕事のメインなので、何なりとご質問ください!

 

 

ありがとうございます!
コードバンっていうのは、馬のお尻の部分なんですよね。
そもそも他の革とはどう違うんでしょうか?

 

皆さんが知っている革(牛やゴートなど)は表面の繊維がメッシュの様な構造をしてるのですが、なぜか馬の臀部にだけ生成されるコードバンという部位は「絡まない」タテの繊維構造をしております。

 

コードバンを持つ飛田さん

 

靴磨き用のブラシのように繊維が並んでるのですが、その繊維自体も牛革に比べて非常に細いため縦にぎっしりと繊維が並んでいる状態です。

 

この密度の高いタテ繊維を横に押し倒し圧縮させることで、透き通った鏡面の様な層が生成され、他の革では見られないような透明感とツヤが生まれているのです。

 

 

わかりやすい!コードバンは表面を落として繊維層が表に出ている、謂わばヌバックのような状態なんですね。
レーデルオガワさんでは、コードバンの「仕上げのみ」をされているんですよね?
革の鞣しは別のタンナーさんということでしょうか?

 

鞣しは姫路の新喜皮革というタンナーで鞣されたものを使用しています。
クラストと呼ばれるまだ表面が荒削りの状態の革を弊社に持ち込み、油入れ、乾燥、削り、グレージング、染色、仕上げの順に加工しています。

 

 

一言で「仕上げのみ」と表現しましたが、こんなにも工程があるんですね!
鞣しの工程以降をレーデルオガワさんでやっている、ということですね。

 

クラストの状態からフィニッシュまでの工程はメーカーによって手の掛け具合や方法が全然違います。
レーデルオガワでは特に染色前の下地作りに命を懸けているのですが、他社からするとかなり変わったフィニッシャーなんです。

 

 

余分なものは乗せない、コードバン本来のツヤ

レーデルオガワさんでは、どんなところにこだわって仕上げをされているんでしょうか?

 

弊社の一番のこだわりはコードバンと言う革の力だけで鏡面のようなツヤを作り出すところにあります。

 

コードバン層本来の自然なツヤ

 

通常靴などで行う鏡面磨きによるワックスのツヤや、革の仕上げに行うウレタンや、エナメル等の疑似的なツヤ材を使用せずに作り出した自然なツヤは驚くほど透き通っています。
そのツヤ感をできるだけ維持した状態でアニリン染料を用いて水性染料100%で発色の良い染色加工を施します。

 

そうする事で、他の革では見られない独特な革の輝きを作り出す事ができます。

 

 

 

「素材の魅力を活かす」というところにこだわって、仕上げをされているわけですね。
先ほど、油入れ、削り、グレージングなど、聞きなれない言葉がたくさんありましたが、あえて優劣をつけるとしたら、どの工程が一番艶に影響しますか?

 

特に重要なのは初めに行う油入れ(加脂)と伸ばしの工程です。
その日の気温や湿度に合わせて油の量を調整しないと最高のツヤを作り出す事が出来ません。
蕎麦作りの水の加え加減に似ていますね。

 

油入れと伸ばしの工程

 

 

気温や湿度も関係してくるんですね。
日本は四季があるので、そのあたりの管理すごく大変そう…。

 

気温と湿度の管理

 

 

次に削りで表面の余分な部分を排除しコードバン繊維の切先を出来るだけフラットにさせます。

 

 

 

 

そしてグレージングマシンという特殊な機械で縦に並んだコードバン繊維を極限まで圧縮させて透明なツヤ感を出すのです。
この作業は初めの工程ほど重要度が高いのですが、どの工程で手を抜いても良い革は出来上がりません。

 

グレージング

 

 

素材を活かすためには仕上げの技術だけじゃなくて、やはり原皮の質にも左右されるのでしょうか?

 

非常に良いご指摘ですね!!
実は人間の力で仕上がりの質を左右できる部分はかなり限られています。

 

フィニッシャーの作業とはその革が持つ力をどれだけ生かす事が出来るかに掛かっていて、元の革質が良くなければどんなに手を尽くしもよい革にはなりません。
その為、良い原皮を仕入れて丁寧に鞣すという工程が良い革の絶対条件です。

 

 

 

 

コードバンは経年変化がひとつの特徴だと思いますが、そこも計算された仕上げになっているのでしょうか?

 

はい。
弊社のこだわりは革本来のツヤと味を楽しんでいただくところにあり、表面にはほとんど余分な物が乗っておりません。
ほぼ素上げの様な状態になりますので、経年変化は非常に素直な反応として帰ってきます。

 

初めは同じような製品でも使う人によって全然違うモノへ変化していく、そのような楽しさを味わうことが出来ます。

 

財布の経年変化

 

これぞまさしく経年変化ですね!ツヤ感も増してるように見えます。

 

プロダクトによっては変化が出にくくなるような仕上げの革を使っているものもありますもんね。レーデルオガワさんのこだわり、とってもよくわかりました!
webサイトに完成品の財布(非売品)の写真が掲載されていますが、この革は靴にも使えるんでしょうか?

 

弊社にはアニリン染めとオイルコードバンの2種類の仕上げ方法があります。

 

アニリン染めコードバンは丘染めと言う片面だけの染色方法になりますので、靴用でつり込んだ際に下地の肌色が見える可能性があり小物用として使われることが多いですね。

 

もう一つのオイルコードバンは靴用に開発された革になります。
本染色前に下色を入れてつり込みにも対応させている革なのですが、オイルを多く含ませる分アニリン染めよりも輝きが弱いのが特徴です。

 

特殊な例ですが日本にはアニリン染めでもきれいな靴を作れる凄腕の職人さんもいらっしゃいますよ!

 

 

それはめちゃめちゃ気になります!

 

 

水に弱いは正解ではない

コードバンは水には弱いという特性もありますが、そこはやはり仕方ないんでしょうか?

 

コードバン=水に「弱い」という考え方は確かに存在ます。しかし私の考えではそれが正解ではありません。

 

「水に弱い」の本当の表現は、水によって横に圧縮した「繊維が起き上がる」という現象の言い換えなのです。
なので水によってコードバン繊維がダメになると言う事ではありませんし、逆にお手入れによる油の入れすぎの方が危険度が高いこともあります。

 

ここについては私のYouTubeチャンネルで実験を行っているのですが、一度起き上がった繊維はまた寝かせる事が出来るのでツヤは違った形で復活します。
この事を少しでも覚えておいていただくと、新しいコードバンの楽しみ方が増えると考えています。

 

 

 

 

↑ブク、つまり水脹れみたいな状態が改善されるわけですね。
サムネにも映ってる虫カゴ、気になってました。笑
いや、そりゃ水こぼれるでしょ!笑
でもめちゃめちゃ面白かったです!ありがとうございました!

 

レーデルオガワwebサイト:https://leder.co.jp/

 

 

 

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