色気と感性が生み出す複雑な色合いの革靴、フローリウォネ [Floriwonne]

 

フローリウォネ [Floriwonne] の藤澤 宣彰さん。ご存知、2019年の靴磨き選手権のカラリスト部門でコメンテーターをされていた方ですね。
鮮やかな色味から、深く複雑な色味の靴までいろんなものを拝見させていただき、紳士靴にも黒や茶だけじゃなく、もっともっといろんな色があっていいし、ビジネスシューズとしてだけじゃないいろんな楽しみ方があると感じました。

 

藤澤さんの作品、是非ご覧になってみてください。

 

 

フローリウォネ [Floriwonne] とは

 

一昔前は革靴の染色はできない、と言われていました。
市販の革用の染料にも「靴には使えません」と書かれており、一般的にはアニリンカーフのような革やレザークラフトで使うヌメ革でない限り、革靴に使われている仕上げの施された革は染められないと認識されていたようです。
そんな中、15年以上前のことですがフランスのいくつかのブランドにパティーヌを教えた方の娘さんが日本にいらっしゃっていて「歌舞伎に連れてってあげるからパティーヌを教えて?」とお願いしたのがフローリウォネ [Floriwonne] の藤澤さんでした。
え、なんかドラマみたいな話の展開なんですけど!

 

今回ひとつお断りしておきたいのは、写真で見る色合いと実物が見せる色合いはやっぱり違うので、写真は参考程度にご覧いただきたいということでございます。
できるだけ色の雰囲気を損なわないようにと思って撮影したつもりですが、やはり明るさによって色のコントラストが出すぎてしまうものや、細かい色味のグラデーションが伝わりきらない写真があります。
だから実物見て!精進します!

 

 

 

その後、コロンブスに入社され伊勢丹でも染めのお仕事をされて、そこから試行錯誤を重ねた結果、現在ご自身のブランドを展開されているという経歴をお持ちの方です。以前ユニオンワークスにて修理などをされていた柴谷さんのお店、中目黒の THE GARAGE でオーダーの受付を開始されました。

 

 

こういったイタリアンテイストのシャープなシルエットの靴がお好きだったということもあり、その形を実現するためにご自身でも吊り込みや底付けを学ばれるほど強い探究心をお持ちで、フローリウォネの木型やパターンのデザインもされています。ピッティウオモやミカムなどの展示会に行かれたときに、古い木型を買ってご自身で削ったりとか。
実際コロンブスに入社されたあと、そこにあるあらゆる材料や染料などを駆使して、革靴の染色技術の技法などを開拓された方ですので、つまり日本における革靴の染色の第一人者がまさにこの方というわけです。一時期は毎月30足以上の染め変えをこなされていて、やはり評判も良くリピーターのお客さんも多くいらっしゃったようです。

 

 

パティーヌの作品

 

パティーヌについて。
パティーヌとは、ご覧の通り革靴に染色を施して仕上げる技術のことです。普段街で目にする黒や茶の靴だけでない鮮やかな色合いや、黒や茶であっても濃淡のある独特な雰囲気のある色味が特徴的です。

 

 

一度染めたものを落として、その落とした風合いを活かしつつ、また色を重ねていくという昔のやり方。経年変化をイメージした淡い色の作品です。
この色、僕が大好物なやつ。

 

逆にこちらは室内だとそこまでわからないのですが、撮影して少し明度と彩度を上げるとこんな色味が浮き上がってきます。メダリオンの穴も染色の後に開けるせいか、際立って見えます。

 

 

 

多くの場合、2度染めの作業をされます。
1度だけだと、どうしても『ただ塗っただけ』という印象になりがち。なので1度染めたものを落として、もう一度染めることで、1度目の染料の残りや動きによって、より深く複雑な色の層があることがわかります。
それを安易に奥深いという言葉で表現をしてしまうのは、芸がないようで悔しいのですが、でも室内の照明でみるのと自然光で見るのとでは、色合いもまた違って見えてやはりこういった色の複雑さという手染めの醍醐味を目の当たりにした気分です。
色の鮮やかさとか段階を経た丁寧なグラデーションだけが革の雰囲気かと言われれば決してそうではなく、必ずしも均一に入るわけではない経年変化のような独特の風合いに魅力を感じられてできる作品のような気がします。

 

まさにこちらの靴も自然光に当ててみると、全体的には濃い紫のような色味ですが、ピンクがあったり、その奥には濃いネイビーがあったりと、調味料やスパイスの効いた食事のようにしばらくその香りや風味を味わっていたくなる、そんな色味です。
山椒が効いてる!みたいな。

 

写真では伝わりきらないので実物見て

 

ミュージアムカーフのようなムラっぽい仕上げは案外簡単ですよ、とおっしゃいますが(ご謙遜だと思いますが)恐らく技術的な難しさというよりは、どう染めるかというところが重要な世界です。
藤澤さんはもともと絵画や芸術もお好きなようで、今まで培った芸術的感性も相まって、この複雑さが実現しているように思われます。

 

 

また、前職は歯科技師さんだったためその道具をそのまま利用して、こういったメダリオンの加工をされたりとか。
あとは、型押しで境界線を入れてから染められたりとか。

 

もともとは左右同じ靴ですが左足だけサイドに型押しの装飾

 

 

手先の器用さを活かして、とにかくご自身でいろいろと試して形にされて…というように様々な靴の装飾を実現されている印象です。
藤澤さんが入れたメダリオン。使われている道具故、穴が細かく繊細な印象です。メダリオンも後から入れた方が吊り込みの際にズレることがないので、そういったメリットもありそうですが、それ以上に点が描く線が滑らかです。

 

 

 

ま、藤澤さんの手にかかれば、ソールやツリーの染色もこの通りなわけです。

 

肉眼では濃いめ&渋めのネイビーなんです

 

 

 

オーダー方法・価格

 

オーダー方法と簡単に料金についてもご紹介させていただきます。
基本はハンドソーンウェルテッドの九分仕立てで ¥95,000〜。デザインや革の種類によってアップチャージがあります。ボックスカーフはワインハイマーのブラック、アノネイのダーブラ。スエードはC.F. ステッド。
また、その他にもカラーライニングやトゥスチール、十分仕立てなどオプションを追加するとアップチャージがかかります。

 

基本料 ¥95,000〜
染め ¥20,000
計測・木型修正・仮縫い ¥50,000

※価格は全て税別

 

 

 

基本的なデザインは用意されています。例えば、ベーシックなキャップトゥ、プレーントゥ、ブローグ、モンク、ロングバンプ、ホールカット、サイドエラなど。
そこからメダリオンを入れる入れないとか、そういう細かい相談をして決めていきます。全く新しいパターンを作らないといけないというのは難しいですが、1足1足作っているのでできる限り要望に応えたいという柔軟さが伺えます。

 

また、染めに関しては無しでオーダーすることも可能です。
でも逆に染めありの場合は、話し合いの上色のイメージが決まったら、木型に革を乗せてそれを擬似的に染めてイメージを確認させてもらえるという、仮縫いならぬ『仮染め』もしていただくことができます。それを確認してもらった上で、もう少し濃くしてもらうとか、コントラストを強くしてもらうとか、そういう話をしながら決めていくわけです。
やはり、色のイメージも感覚によるものが多いのとどこからどこまでをグラデーションにするのかというところを立体的に確認できた方が完成時の齟齬が無いだろうというご配慮故。

 

 

色をご自身で作り出せるのわけですので、もうサンプル多すぎて詳しくはご説明しませんが、プリンターの3原色と黒茶があれば、可能性は無限大です。

 

 

 

また、木型の肉貼りと削りも対応いただけたり、仮縫いも追加することができます。
メインはハンドソーンの九分仕立てですが、場合によっては十分仕立ても可能です。

 

95,000円は材料の原価と靴を仕立てる職人さんの工賃のみ、残るのは藤澤さんが飲むビール一本分。基本は染めがご自身の仕事と良心的な価格設定です。
以前はブランド名もつけず、良いものを低価格で提供したいという想いがあったとのことですが、6〜7年この靴を作られてきた中で、素材や靴の作りは良いものを提供したい反面、やはりそこまで高すぎるとお金も出しにくいし、ということで、価格をコントロールするとやりたいこととのギャップを感じることもあり、結果的に現在の価格設定に落ち着いたとのことです。

 

 

 

また、クロコダイルなどの革を使えば値段もかなりアップしますが、全面クロコだけでなくて部分的な使用であれば、在庫があるタイミングであればアップチャージ無しでも対応いただけるみたいです。
革も湿気や乾燥で傷むので、革をダメにしてしまうくらいなら、というご配慮です。

 

また、お持ちの靴を持ち込んで、染めだけの注文も可能です。

 

 

中目黒・THE GARAGE

 

今回お邪魔した中目黒の THE GARAGE さんでオーダーの受付をされています。
その他にも食器やアクセサリーなどの販売もありますが、オーナーの柴谷さんがユニオンワークスにいらっしゃったということもあり、修理も全般対応してもらえます。

THE GARAGE の公式サイト

 

 

 

 

 

 

また、今度新しくはじまる昔の古靴を再現したブーツのブランドもあります。こちら柴谷さんのブランド。

 

 

女性着用イメージ

 

 

ヨーロッパの昔の洋服も靴も、昔の物は結構細かったらしく、その時代の洋服にも合うような細身の仕様で作られているブーツです。
ちなみにこちらのボタンブーツは1890〜1910年代と100年以上前のもので、この雰囲気に近いイメージで作られたとのことです。

 

 

 

グレーサイッチ [Greusaiche] というユニセックスのブランドです。ゲール文字という昔のスコットランドの言葉で『靴修理屋』という意味。x、y、z の文字が無かった時代の文字なんですって。

 

 

今のところは3サイズのみの展開ですので、店頭販売のみ。¥65,000(税別)となります。

 

 

最後に

 

2時間ほどお話を伺って、終始物腰の柔らかい口調と優しいお人柄を感じました。そんな藤澤さんと、この色気と感性が生み出す複雑な色合いとのギャップが魅力でした。
今後は染めのワークショップやトランクショーなども企画されているとのことですが、基本土曜は中目黒の THE GARAGE にいらっしゃるとのことですので、気になった方は遊びに行ってみてください。

インスタアカウント:@floriwonneshoes

 

 

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

ネルチャン登録よろしくネ

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くすみ
東京
1986.9.25 愛知県生まれ
『革靴の魅力や靴磨きの楽しさをもっと多くの人に知ってほしい』という想いでブログやYouTubeで情報発信を行っています。
前職の経験からシューメーカーのブランドサイトやオンラインショップの制作・カスタマイズ、広告運用を受け持ったり、ブランディングや商品開発のコンサルなども手がけています。
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