革から靴のデザインを考えてみる。そんな楽しみ方もあると思うのです。
普段我々が履いている牛革の靴以外にもいろんな革がありますが、今回はゾウをフィーチャーしたいと思います。
ゾウ。国や信仰によっては、幸運を呼ぶとか安定と信頼の象徴とか商売繁盛をもたらす神とされるとか、あとは性的なシンボルだったりとか。人間が信仰を寄せて尊び敬われる存在です。
そんなゾウの革を使うとどんな靴ができるのか、浅草の JOE WORKS さんに相談してきました。
JOE WORKS
ということで、事前に予約をして JOE WORKS さんにお邪魔してきました。
最初はシボ革とかスエードとかいろいろと悩んでいましたが、選択肢のひとつとしてゾウという珍しい革から靴を考えてみたいという僕のぼんやりした欲求を快く受け止めてくださいました。
インスタの投稿は眼福。ご存知の方ばかりかと思いますが、まだの方は是非ご覧になってみてください。
JOE WORKS インスタアカウント
JOE WORKS についてざっとまとめておくと、こんな感じです。
パターン | ・JOE-0、JOE-1 共通 25種 ・JOE-6 12種 ※お客さんがカスタムしたモデルは含まず |
革の種類 | 45種(色込み) |
製法 | グッドイヤーウェルテッド製法 |
木型(ラスト) | 3種類 |
底材 | 6種類 |
ライニング | 6種類 |
オーダー価格 | 基本オーダー:¥84,000〜 ※モデルによって価格アップ ※革によってアップチャージあり ※納品時支払い |
シューツリー | 3種類 |
納期 | 約4ヶ月 |
ということでオーダー時の流れを簡単に説明してまいります。
計測
まずは紙の上に立って足を計測していただき、それをもとに僕の足の特徴などを的確に判断してくださいます。
革によって、デザインによってアップチャージがありますが、オーダー価格は最低価格が 84,000円。
パターンオーダーでは良心的なお値段かと思いますが、さらに同じ値段で木型に乗せ甲をしていただくことができます。
フィッティングについてかなり親切に相談に乗ってくださいました。いつも当たって痛くなる左足の小指の付け根のあたりは木型に盛っていただくこととなりました。
木型(ラスト)とサンプル
木型は3種類。左から、Last#0、#1、#6。
僕は、ちょっとつま先がシャープになっている#0と決めていました。(結局#1にしましたが)
#1は#0とほぼ同じですが、つま先だけがラウンドトゥになっています。#6はそのふたつよりもさらに丸みがあって、外羽根とかカジュアル寄りのデザインに使われる木型とのこと。
#0の5.5と5を履かせていただきましたが、23.5cmの僕の足には5がちょっとキツめで気持ちの良い履き心地。足のサイズ的には5.5でも良さそうでしたが、やはり足の肉も少なく細身なので5でいきたいと思います。
オックスフォードかローファーかで悩んでいたので、両方のゲージを履かせていただきました。デザインが決まっていれば片方でよかったんですが、当日までに決められなかったので両方履き、それぞれの木型の修正点を確認していただきました。
同じ木型とはいえ、やはり履き心地も違えばテンションのかかる部分も違います。ここが当たりますかねぇ、みたいな話を結構丁寧にしてくださって、細かい修正点を決めていきます。
甲は比較的低めです。
ウエストガースで押さえて靴のかかとがわに足を寄せる設計になっているそうです。オックスフォードでもローファーでも同様です。
決断を迫られるようなことはなく、ゆっくり考えてもらって結構ですという親切な言葉をかけていただきます。あまり長居してしまうのは申し訳ないので、現場で確認すべきことはさせていただいて、デザインは持ち帰ります!という話にしました。
革の種類
革のサンプルです。
これはJOE WORKSのインスタを見ていただくのが一番わかりやすいと思います。
シボ革も数種類。
左から、ホーウィンのハッチグレイン、アノネイのアルパイン、アリゾナという革です。ハッチグレインとアルパインは型押しですが、アリゾナはシュリンクなので個体差があるとのこと。そういうのおもしろいですね。
ゾウはこんな質感。
あとスエード、コードバン、他にもミュージアムカーフもありました。まぁとにかくJOE WORKS のインスタをご覧いただくのが一番わかりやすいと思います。
あとライニングの色も選べます。
ソール・コバ
ソールはレザーやゴムが選べますし、コバや底の色も数種類の中から選べます。
このブルーもインスタでよく見るやつですね!
シューツリー
ツリーは3種類。
2万円台のものから8,000円のものまで選べます。ちなみに一番左のブルーのものは今はやってないそうですので、右のナチュラル仕上げの中から選択するかたちになります。
ざっくりご説明させていただきましたが、一番お伝えしたいのはこのふたつ。
フィッティングについても靴のデザインについても、快く相談に乗ってくださるということです。
どちらかというと僕は自分の好きなフィット感は分かっているつもりです。
ただ、しばらく履いてみて、ようやく痛くなってくるところがわかってくるということもあります。靴の仕様を決めながら、試着サンプルを15〜20分の間しばらく履かせていただけるというが個人的には嬉しいところでした。
あと、デザインについても「こう思ってるんですけど、いかがですか?」とか「ここで迷っています」という僕の質問に対して、「コレはこうですよね」とか「こんな印象になりますよね」という感じで快く相談に乗ってくださいます。
個人的にはここが何より嬉しいところ。
インスタを拝見するとほんとにいろんなデザインの靴が出てきます。こういったオーダーをするのであれば、せっかくなら珍しいデザインだったりちょっと特殊なことをしたくなるじゃないですか。それがオーダーの楽しみであり醍醐味。
最初からこのデザインで行く!っていうのを決められればそれでいいんですが、やっぱり安い買い物ではありませんから、迷うことだってありますよ。
でもそんな僕の欲求と迷いを受け入れてくださる、選択肢の多さと深い懐がある!安心して注文ができますよ。
JOE WORKS へのアクセス
南千住駅からだと徒歩19分くらい。浅草駅からだと徒歩23分くらい。夏はしんどいと思います。笑
松屋浅草のすぐ横のバス停『東武浅草駅前』から『清川二丁目』という停留所までバスで行くとだいぶ楽です。
浅草駅からタクシーだと1,300円くらいです。(アプリ経由でタクシーを手配したので手数料取られてるかもしれません)
オーダーをされる方は、webサイトのコンタクトフォームから事前に予約をしておくことをおすすめします。
住所:東京都台東区清川2-11-1
webサイト:https://www.joeworks.net/
定休日:日曜、祝日
ゾウ革のデザイン
さて、ゾウの革でどんな靴のデザインにするかっていう話。僕の考えを好き勝手書かせていただくのでそんなにおもしろくないかもです。笑
当然ですが、ゾウはやはりザラザラとした質感がいちばんの特徴です。
そしてまずこのザラザラとした質感にはブローグは合わないだろうというのが最初の印象でした。また、ブローグ以外にもいろんなデザインがありますが、あまり細かい装飾が無いほうがいいだろう考えました。
もうひとつ、ゾウの革はカーフに比べて凹凸が大きい。
靴にしたときにそれなりにボリューム感が出ます。なので、ドレスドレスするというよりは、カジュアルに振ってしまうのがいいだろうと考えました。キャップトゥではなく、プレーントゥ?ブラインドブローグ?それともローファー?じゃあ、ホールカットもいいかもしれないけど、ちょっと味気ないかなぁ?とか。
選択肢を消していくことでデザインを決めるのは、なんかアプローチが逆な気がしてなんとなく悔しさはあるものの、さすがに珍しい革なのとアップチャージも5万かかるので、失敗はしたくない。笑
消せる選択肢はできるだけ消しておきましょう。
ローファーだとしたら、タッセルではない。じゃあ、スリッポンかコインローファーか。コインローファーかな。
コインローファーなら、サドルストラップの革をゾウ以外にしたらオーダー感出そうですが、スエードじゃないしシボでもないし、じゃあカーフかな…。
コンビローファー持ってるけど、シンプルなほうが好きだしなぁ…などと考えておりました。
なんて考えてるうちにわからなくなって、『ガネーシャ』というゾウの神様がいて、商売繁盛をもたらす…みたいなそんな話を思い出しました。自営業でやってる身なので、商売繁盛みたいなことばは大好物ですから。
調べてみるとガネーシャは牙が片方しかないとか、ネズミに乗っているとか。え、じゃあ左右で違うデザインにする?とか、コバはグレーにできる?とか。
そんな感じでしばらく迷走をしましたが、特に験担ぎするとかタイプじゃないし、変なことはせず割と普通のデザインにしましたが、一応左右違う靴は一応できるみたいです。(アップチャージ必要です)
最後に
そんな僕のモヤモヤっとした悩みを綺麗さっぱり解消してくださった JOE WORKS さんでした。まずはとにかくインスタご覧になってみてください。夢膨らみますよ。
JOE WORKS インスタアカウント
約4ヶ月後に完成する予定ですので、また10月頃ご紹介させていただきます。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
追記:完成した靴はこちらです
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「革から靴のデザインを考える」って確かに自分もあります(あれこれ考えながら決めるまで楽しいですね)。
でもゾウさんの革(汗)…どんな色合いになるのか、どんな履きごごちなのか、そしてどんなデザインにするのか…自分のことのように楽しみです(笑)。
(ヌバックのメンテ(栄養補給)も早速参考にさせて頂きました…ドンピシャの記事でした(嬉))
ぼりチャンさま、コメントありがとうございます!
こういうのはオーダーならではの醍醐味ですね。ゾウはゾウらしくグレーにしようと思っています。
デザインは全然冒険しませんでしたので、それほどめずらしいものではありませんが、かわいい靴になればいいと思います!
起毛革メンテの記事もありがとうございました!