探り探りではありますが、去年から自分で靴のブランドを立ち上げて、いろいろと活動をしております。
3月末にようやく試着サンプルが完成し、試着をお申し込みいただいた方々へ順次発送している段階なのですが、めちゃめちゃ嬉しいことがありまして記事にさせていただきます。
ものづくりってこういう喜びがあるんだなぁと感動を味わうことができました。
ここ数日鼻歌が止まらないのは、春なのも影響してると思いますが、やはりこの出来事があったからに違いありません。
私事で恐縮ですが、よければご覧ください。
木型の設計について
足小さめ、かつ少々キツめの靴が好きな僕にとっても、サイズ的に問題ない靴はたくさんあります。
しかし、長時間履いていると足が外側に流されるのか、小指の付け根が痛くなることがありますし、かかとがスポスポ抜けるわけではないにしても左右にグラつく場合があったりもします。
これを解消できる木型を作りたかったんです。
そこで、足の収まりと安定感を重視した木型を設計しました。具体的には次のようなところを重視しています。
- 土踏まずを絞って少しアーチサポートを持たせることで、足全体が中底に乗ること
- かかとから二の甲、三の甲で足をバチッとホールドするよう、後足部の安定感を重視
- 足が外側に流されないよう、母趾球がしっかり地面を捉えられる収まりを重視
100%僕の足と好みに合わせた木型ではないので、評価が難しい部分もありましたが、僕がご提案したい履き心地を理解してくださった方がいらっしゃったのです。
「あ、靴を通して僕の想いが伝わってる…」
と感動しています。
いやぁ、素直に嬉しかったです。
試着アンケート
嬉しかったアンケートがこちらです。

夕方割と浮腫んだ足で履きました。
きちんと紐を締めて、レースステイの一番上が1センチほど開いた状態
履いた時に空気の抜けるいい音がしました。
同じ足長の方が履いた場合、一般的には小さいと思われるかと思い、googleのformでは「少し小さい」「少し狭い」と回答しましたが、個人的には大好きなフィッティングです。
小指のあたりの圧迫感も中底が沈み込めば問題ないかと思います。
最初は薄手の靴下で履き慣らして、数ヶ月履きこんだ時にぴったりのフィッティングになるだろうなぁとワクワクしました。
持っている靴と、送っていただいたサンプルシューズを片足ずつ履いてサイズ感を比較してみました。
非常に楽しい時間でした。
踏まずのフィッティングは持ち上げすぎず、ゆるすぎず、アーチサポートが気持ちいいです。
履き口が広いことで見た目と比べ、脱ぎ履きしやすかったです。
ただ、踏まずのアーチが落ちている方や、扁平足の方は履き口が笑うかと思います。
踵の食いつきは持っている靴の中でもダントツに良かったです。衝撃でした。
既製靴で同じようなものは履いたことがありません。
思ったよりもヒールの高さを感じました。ヒールが高いことで、他の靴より気持ち背筋が伸び、いい姿勢で歩ける気がします。
以下好き勝手な要望です。聞き流していただければと思います。
・デザイン自体がシンプルだからこそ、シャコ止めを本シャコ止めにしたいです。手間のかかるモコモコしたやつです。
・ウェルトの目付がもう少しはっきりしていると、さらにスクエアの輪郭がはっきりしていいなと。
・革の選択肢を増やして頂きたいです。なんなら牛以外の珍革で履きたいです。
この方はきっとすごく靴がお好きなんだなぁとニヤニヤしましたが、まだできたばかりの実績のない靴であるにも関わらず、しっかりと時間をかけて評価してくださったことに嬉しく思っています。
ありがとうございます。
書いていただいたように、僕もいろんな靴と履き比べをしたり、いろんな条件で履き心地を確認したりしました。
木型に関しては、合う人は少ないかもしれないけど納得のいくものができたと自負しておりましたので、それを感じてもらえて本当に嬉しいです。
ただこれは、たまたまこの方の足に合ったというだけのことであって、全ての人の足に同じようにいくとは思ってません。むしろ結構攻めたので合わない人が多いと思ってます。
ここはなかなか難しいところです。
でも、かっこいい靴をお届けしたいというよりは、「最高の履き心地」という体験をお届けしたいというのが僕のミッションでして、そこをすごく重視して設計をしてきました。
合う人には120%、いえ…180%合うようにと設計した木型なので、「僕が意図していたことが伝わってる!」という感動がありました。
いやぁ、ほんとに感動です。
もちろん靴のかっこよさも重要なので、そこも存分に追求していきたいと思ってます。
ただ、当然のことながら合わなかったという方もいらっしゃるようでして、他にもこのようなアンケートをいただいています。

靴の踵に対して私の踵が小さいのか、踵のホールド感がやや緩く感じました。歩く動作をすると踵が上下に少し動く感じです。
その他は全体的にフィットしているのかなと感じました。

室内で30分ほど履かせていただきました。私には踵が少し小さく、靴擦れしそうかなと思いました。ただ、履きこむことで解消されそうなギリギリ具合だとも思います。
幅も狭めなように感じました。履き込んでいない状態だと外で数時間履くと痛くなるかも…。実際やってみないことにはわからないですが…。

私の足は、日本人らしい、甲高、幅広です。
実寸の22.5だと全てが小さ過ぎた印象です。ヒールはピッタリでした。

他のサイズなど試す機会があればお願いしたいです。
やはりどこかが合うと、別のところが合わない…というようなことがあるんですね。
絞った木型なのでとても納得ですし、とても勉強になりました。本当は実際に靴を足を拝見しながら、もう少し具体的に合わないところを見ていきたいですが、郵送でご試着いただいてる状況なので難しいですね。
ひとつの木型で全ての足に合わせるという考え方はしたくないので、合わなかった方には心苦しい限りです。
でも今後の参考にさせていただき、常にアップデートしたり、他の木型も検討していきたいと考えています。足が小さい方の方が、足長に対して足幅が広いという統計データもあるようですし、120%、いや…180%合う木型を目指すとなると、幅の展開は考えなければいけないと思っています。
24.0cmと23.5cmのお申し込みがほとんどで、まだ20件以上お申し込みが入っているので、お届けまでまだ時間がかかる方もいらっしゃいますが、22.0cmと22.5cmのお申し込みは少ないので、割と早くに発送が可能です。
興味を持っていただけたら、是非一度郵送試着をお試しください。送料はいただきませんよ。
エイジングレポート
2022年の10月25日にサンプルを履き下ろして、約半年経ちました。
プレメンテ無しで履き下ろしをし、基本的には日々のブラッシングだけで、ケアしたのはたったの2回。(レーダーオイル1回、乳化性1回)
それでも仕上がってきた感があります。特にチゼルの角度がついた部分。
ちなみに履き下ろしをした時はこんな感じでした。
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試験的にプレメンテ無しで履き下ろしたわけですが、それでも最初から柔らかさがあったので、履き初めから快適に履いていただけるのではないかと思っています。
まぁ足に合えば…なのですが。笑
新品の時よりも、見た目的にも履き心地的にもだいぶ柔らかさが出ました。
最初はパリッとしたドレスシューズも、履き込むことで少し柔らかさが出ますが、今のところクタッと感はあまりなく、黒の内羽根でこの雰囲気ならまぁまぁいい感じなのではないかと満足しております。
あえてブラッシングしかしていないですが、それでこの仕上がりなら「ブラッシングだけで十分説」を検証したいまであります。
耐久テスト的な意味も込めて、あえてスチールはつけなかったので、つま先は削れてしまってます。今度はつま先にラバーをつけてみようかなぁ。
やっぱりコバはちゃんと整えたほうが見栄えはいいですね。
今ローファーを作ってますが、これもなかなかに難しい…。
別のデザインのローファーも作りたいし、外羽根も作りたい。
やりたいことが多すぎてモヤモヤしますが、まぁどうせ複数のことを同時にできる頭じゃないんだから、焦らずひとつずつ取り組んでまいりましょう。
先日トライしたクラファンは大失敗でしたが、あたたかいコメントをたくさんいただきました。
早くて来週末に、ご支援いただいた方への返礼品のレザーマットが全て完成できる予定ですので、お届けまでもう少しお待ちいただけたらと思います。
失敗ばかりですが、こういう瞬間があるとほんとにやっててよかったなぁと思います。
ほんとに嬉しかったです!ありがとうございました!

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