ブランドマニュファクチャーズ [Manufacturers]

革靴メーカーの職人発信のブランド・マニュファクチャーズ [Manufacturers]

靴磨きセットまとめ記事
ブランド

 

ユニオンインペリアルやイウゲンを製造されている世界長ユニオンさんから新しいブランドのリリースされます。
12/18、19、20の3日間に移転リニューアルオープンされたトレーディングポスト青山本店にて、浅草のレンド [Rendo] さんと合同受注会をされるようで、それについてお話し伺ってまいりました。

 

 

マニュファクチャーズ

 

今まで世界長ユニオンさんの靴の価格帯は、

  • ユニオンインペリアルは3〜4万円
  • トレーディングポストとのコラボブランド・ソフィス&ソリッドは5万円台
  • ユニオンインペリアルの直営店モデルは5〜6万円

と紳士靴の中では比較的良心的なお値段で靴を提供してくださってるメーカーさんだったわけですが、そこに新たな8万円台のハイエンドライン・マニュファクチャーズ [Manufacturers] というブランドが加わります。

 

コンセプト

世界長ユニオンの職人さん、つまりマニュファクチャーズ(manufacturers:製造者達)が発信する革靴、というのがコンセプトになっており、靴のデザインにも職人さんの名前が付けられているものがあります。
また、職人さんが企画・ディレクションされているということもあり、デザインへのこだわりだけでなくいかにコストをかけずにかっこいい靴を作るかというところにもこだわっているので、もちろん8万円という価格は安くはありませんが、かなりこだわった仕様がふんだんに盛り込まれている靴だなと印象です。

 

職人さんは普段作業着でお仕事をされていることが多いわけですが、スーツだけでなくカジュアルな服装、もしくはそういった作業着に合わせて履いても違和感のないドレスシューズを目指して作られています。
靴の装飾や仕上げを見るとビスポークシューズのそれに近い仕様なわけですが、洋服を選ばずにいろんな方に履いていただくブランドにしたいという想いで、ドレス寄りになりすぎないシルエットに仕上がるよう木型の削り方も工夫されています。

 

木型は3種類

木型はこちらの3種類。
木型全体の形は大きく変わらないようですが、つま先の種類を3つ選べるようなイメージでございます。

  • ラウンドトゥ(つま先丸め)
  • ラウンドトゥ(つま先長め)
  • スクエアトゥ

 

 

まずは写真をご覧いただいた方がよいと思いますので、こだわりと共にデザインもいくつかご紹介してまいります。

 

 

キャップトゥ

 

シンプルなキャップトゥかと思いきや、よく見るとこだわりが詰まった仕様です。細かい部分もご紹介してまいりますが、とりあえずお伝えしたいのはゾンタのオールドイングランドの革がまぶしいことまぶしいこと。

 

世界長ユニオンさんでは革のデッドストックなども所有されており、珍しい革や黒や茶だけではない色物の革なども在庫をお持ちです。数に限りがあるものもあると思いますが、ゾンタ以外にもアノネイ、ワインハイマー、CFステッドなど有名タンナーの革で靴を作られているのも魅力のひとつです。

 

遊びのあるステッチ

 

レースステイの下部、バンプ部分のステッチ。
ダブルステッチ中央に幅持たせてあります。ステッチで遊ぶ装飾、おもしろい。ディレクターの長谷川さんのお話からも感じましたが、ただのキャップトゥでは終わらないぞというこのブランドへの意気込みを感じます。
後ほど出てきますが、キャップトゥのダブルステッチも非常に綺麗です。

 

底付け

 

今回のコレクションは底付けにかなりこだわって作られいています。
マニュファクチャーズはベベルドウエストが標準仕様。すごく立体的なベベルドウエストではありませんが、ほんのりベベルしています。手間のかかる作業ですが中底をベベルドウエストように加工して底付けをされています。
また、ウエストを絞り込むために中底の設計を見直すという徹底ぶり。製造者ならではの視点とノウハウが詰め込まれた底付けになっています。

 

コバは基本フラットですが、ウエストのコバ部分だけラウンドにするという選択もできるようです。さらにヒールカウンターも長いものが使われていて、土踏まずの内側までしっかり固定されている印象です。

 

 

 

コバの目付けもとても綺麗に仕上げられています。
履き心地や屈曲性を持たせるためにハンドソーンウェルテッド製法で仕上げることもできたそうですが、やはりハンドソーンにすると手間がかかり価格も跳ね上がってしまうため、グッドイヤーウェルテッド製法での底付けです。

 

 

 

ヒールとコバの境目にも一工夫施されています。
ご覧の通り段差があり、コバやソールを見るだけで既にビスポークや高級紳士靴に見られるような存在感を放っています。海外の何十万もする既製靴ブランドでも、ここまで手の込んだものは多くありません。
ちなみに、かかとはシームレスが標準仕様となります。

 

 

アデレードフルブローグ

 

密に刻まれている贅沢で派手なパーフォレーション(大小の穴飾り)。そして、アデレードやウイングチップのゆったりとした大きな曲線も特徴的です。
革のツヤも相まって大変ゴージャス。ライニングはデュプイの革で、速乾吸水性と保形性に優れているそうです。

 

 

この色めちゃめちゃ渋いですね。
いやぁ、いい。

 

 

パンチドキャップトゥ

 

内羽根の靴ってレースステイからかかとにかけてのパーツを内側・外側の2枚で取ったり、かかとはパーツを分けて取ったりするのが一般的かと思います。
しかし先ほども申し上げた通り、シームレスヒールが標準仕様なので1枚のパーツです。かなり贅沢なパーツの取り方をされています。

 

シルエットやデザインや革で革靴の顔はほぼほぼ決まってきますので、製造上の都合を考えるとかかと側ってそこまで気にしなくても良さそうなもんですが、やはりロマンと強いこだわりを感じます。

 

 

 

 

ステッチも繊細です。シボもよい。
ていうかこのレンズ買ってほんとによかった。

 

 

ダブルモンクストラップ

 

ダブルモンクストラップでございます。
バックルもオリジナルで作られるこだわりよう。

 

 

これはオーダーサンプルだからかわかりませんが…

 

ストラップの穴が1つしかない!

 

 

ドレスチロリアン

 

こちらも独特です。

 

 

この型押しの革の雰囲気と、ハトメの金具が印象的です。個人的に今回のコレクションの中で一番遊び心を感じた一足でした。
今回見せていただいた靴は既成靴ではなくパターンオーダーサンプルなので、バリエーションを持たせているとは思いますが、ここまで綺麗なドレスシューズが揃っている中に毛色の違うサンプルが一際目立って見えたわけですね。

 

 

 

作りも綺麗です。素敵。
バスケットボールのような革ですが、こちらはイタリアの型押しのコードバンです。

 

 

フルサドルコインローファー

 

ローファーも好みが分かれると思いますが、こちらはドレス感を意識したメリハリのあるシルエットのローファーです。履き心地も気になるところですが、何よりこのモカシン縫いの存在感ですよ。
サドルの模様もドレスを意識している印象です。

 

 

今回の受注会ではこちらのローファーは注文できないようですが、とても素敵ですね。
サンプルの一部をご紹介させていただきました。

 

 

オープンロケーションコード

 

世界長ユニオンがあるのは千葉県の鎌ヶ谷市です。
その鎌ヶ谷の工場を世界共通の座標で表すとこの文字列になります。オープンロケーションコードと呼ばれているものだそうです。
鎌ヶ谷工場の職人さん達の手で発信・製造されているという強いメッセージを感じます。これ、社内では不評だったようですが、コンセプトに忠実なだけでなく徹底したブランディング、僕はすごくおもしろいと思います。

 

 

オーダーについて

オーダーについてご紹介させてください。
サイズは 23.0〜28.0cm の11サイズ。今回のオーダー会では8デザインの展開です。乗せ甲も対応してもらえるというのも親切です。

 

基本 ¥80,000〜
乗せ甲 ¥3,000
メダリオン(つま先のみ) ¥3,000
アッパー コードバンのみ ¥60,000
表ハトメ ¥1,000
ソール ・CMC:¥3,000
・レンデンバッハ:¥8,000
・バーカー:¥8,,000
ヒール ストレート、ピッチド選択可
シューツリー ¥10,000
ハーフラバー ・2mm:¥4,000
・1mm:¥4,000
トゥスチール ・ビンテージ:¥4,000
・トライアンフ:¥4,000
・ガードプロテクタ:¥2,000

※価格は全て税抜きです

 

今回ご紹介させていただいた写真の他にもマニュファクチャーズのインスタに素敵な写真が掲載されていますので、是非ご覧になってみてください。

@manufacturers_official

 

 

最後に

 

今回の受注会の告知対談をYouTubeにて公開させていただいています。
ちょっと長めの動画ですが、各社の想いなども伝わる内容になっていると思いますのでよければご覧になってみてください。

YouTubeへリンク

 

 

トレーディングポスト青山本店も移転リニューアルされたようですので、受注会に行かれる方はご注意ください。

 

 

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

 

履き心地と自在なパターンを実現する革靴ブランド・レンド [Rendo]
...

COMMENTS コメントを投稿する

  1. ttt より:

    マニュファクチャーズ気になっていたのでとても参考になりました。
    一つだけ、ベベルドウエストが標準との表記、フィドルバックではないでしょうか?(ベベルドにもフィドルバックにも見えないですが、立体的という言葉はフィドルバックの方が合う気がするので)

    • くすみ より:

      コメントありがとうございます。
      僕の書き方がふさわしくなかったようで失礼しました。立体的と書いたのがよくありませんでしたね。
      メーカーに確認し、ウエストが絞られた仕様 = ベベルドという認識で問題ないようです。

  2. […] Manufacturersの靴については楠美皓平氏ブログでも詳しく取り上げていただいています。 […]

タイトルとURLをコピーしました