機会をいただき、山陽山長やトレーディングポストの革靴を作られている、セントラル靴さんの工場にお邪魔させていただきました!
ツイッターで告知をさせていただき、8名でお邪魔しました。
工場では底付けがメイン
アッパーは外注に出されているそうで、この写真の状態のものを木型に合わせて底付けしていくという作業を主にこちらの工場でやられています。
パターンオーダーなどで受注を受けた靴に限って、工場で製甲(アッパーをつくること)もやられているのだそうです。
山長でもRENDOでも、パターンオーダーをやられています。
例えば、ワインハイマーの靴を使った靴をあるけど、アノネイで作りたい、というようなお客さんがいらっしゃったら、その要望に応える形で作られているそうです。
なので、こちらの工場にも製甲のできる職人さんがいらっしゃるようです。
こちらの工場では釣り込みから、コルクやシャンクを入れて底付けと仕上げまで、すべて1人の職人さんがやられるのだそうです。
個人的にはここが驚きでした。
他社ではかなり分業制だったりするところもあるので。
1日に仕上げる靴の足数は30足程度。
1人1日だいたい6足くらい、若い職人さんによっては4〜5足だったり、という量を生産されています。
実際、1人の職人さんがこの工程をすべて担当されることはなかなか珍しいようです。
製品の個体差が多少出てしまうというデメリットはあるようですが、製品の良し悪しのバラツキというよりは、靴底の化粧釘の場所に若干の差があるとかその程度の違いという印象でした。
基本的にはグッドイヤーばかりですが、稀にトレポスの靴でウエストを絞るために踏まずだけマッケイにするというようなものもあるようです。
ちなみに、これが山長の木型!
職人さんの”業”
基本的に、釣り込みは専用の大きな機械を使われるようですが、木型によって難しいものもあるため、職人さんがワニと釘を使って手作業で釣り込まれています。
手作業で釣り込まれたものがこちら。
つま先の部分、釘が出てますね。
こうやって職人さんが椅子に座って作業されている姿も撮らせていただきました。
コバの形をしたカッターで、丸コバ、平コバなどコバの形状に合わせて刃を変えて削られます。
一番難しいのは、やはり左右の大きさを揃えることのようです。
最初はそこで苦労されるのだそうです。
ヒールからコバのサイドにかけて、すごく綺麗ですね。
ヒールカップも美しい。
こんなボタンブーツもあって、気になってました。笑
こちらの工場で作られた靴を修理をされることもあるようで、使用感のある靴もいくつかおいてありました。
靴ができてから、木型を入れた状態で3日ほど寝かせることで革に木型の形を覚えさせるのだそうです。
そうして出来上がった靴を仕上げて梱包する、というところまでがこの工場での作業です。
アッパーが上がってきてこの状態になるまで、最短で1日。
普段は3〜4日程度というスピードで靴を作られています。
納品後、そのお店でワックスで仕上げをされることもあるそうです。
また、ほぼ白い革の状態で納品をして、そのお店で染められたりするようです。
人間味溢れる代表の中沢さん
戦後の1950年に創業されて、最初は糸と針があればできるということで、地方からも多くの労働者が出稼ぎに出てこられました。
という経緯で、それに付随する革屋さんとか糸屋さんなどが増えて行ったのだそうです。
そんな中、エドワードグリーンの社長がセントラル靴さんの靴をご覧になったとき、これがほんとにジャパニーズ製か?と驚かれたり、クロケット&ジョーンズやオールデンの社長もいらっしゃって、器用だなぁと言われたという逸話があるようです。
海外の革靴は大量生産が多かったようですが、当時から日本の靴の丁寧さが評価されていたということがよくわかります。
アッパーは機械でやることが多いのですが、やはり手でつくることの良さは底周りの仕上がりに影響が大きいのだそうです。
昭和50年頃、アパレル業界が靴を売り始めたときにすごく大きな利益を上げられたり、その後バブルをご経験されたりと。他にも、いろんなお話を聞かせていただいた代表の方、2代目としていろいろ苦労をご経験されたようでした。
「人生いろいろあるよ」とおっしゃってたあの表情が個人的にはすごく魅力的に感じました。
靴以外のお話もたくさんありましたが、うちの靴は自慢できないとご謙遜されながらも、うちの職人はいい人が揃っていると仰ってました。
すごく人間味溢れる方でした。
靴関係なく個人的にまたお会いしたいなって思いました。笑
最後に
職人さんがアッパーを釣り込んでいらっしゃる姿はいつまででも見ていられる気がしました。
どこにどう力をかけるのかとか、どういうところに意識をされているのか、くわしくお伺いしてみたいなぁと思った。
僕にもっと靴の知識があったら、職人さんがつくることの素晴らしさをご紹介できたのかもしれませんが、残念ながらパッと見の綺麗さ程度しかわかりませんでした。
僕はただただ、世界が評価した日本の技術がこれからも残り続けることを願って、職人さんが作る靴の世界があることを少しでも多くの方に知っていただきたいという思いで記事を書かせていただきました。
興味を持っていただけたら嬉しいです。
最後までお付き合いいただきありがとうございました!
あ、ちなみにアルバイトも受け付けていらっしゃるようです。
最後に、恒例のシューサークル。
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