12/8、名古屋の靴磨き職人・佐藤我久さんがスコッチグレイン銀座本店で1日店長として靴磨きイベントをされるということで、靴磨きYouTuberの奥野さんとお邪魔させていただきました。
そして、大変光栄なことに12/5に発売されたばかりのスコッチグレインの新モデル・インペリアルフランスの1016をご提供いただくことと相成りました。
銀座本店・店長さまより
本当にありがたいことでございます。
どうもはじめまして、くすみ(kusumincom)と申します。
というわけで、存分に写真を使ってご紹介をさせていただきたいと思います!
フランスの革を使ったハイエンドモデル
インペリアルフランスは、2018年12月に発売されたばかりのハイエンドモデルです。
インペリアルフランスという名前は、フランスの有名ブランドJ.M.ウエストンで使われている革と同じものを使われていることが由来になっています。
左が1016、右が1015というモデルになります。
革については後ほど詳しくご紹介していきます!
まずは外観について!
外観
まずは、インペリアルフランスの外観を徹底的に見ていきましょう!
ストレートチップと穴飾り
シンプルな穴飾りが全体的に施されたストレートチップ。
装飾だけ見ると、スコッチグレインらしい意匠です。
ただ、サイドからかかとにかけてはこのような意匠が施されていて、なんというか流れるようなエレガントなデザインです。
そして、全体的に細身のシュッとした印象。
ロウ引きの靴紐
靴紐は編み紐でロウ引きされているため、紐を締める感触もしっかりと味わえます。
平和
喜び
あ、こういうのも入れていきます。
コバ、靴底、ウエスト、かかと
まずはコバ。
コバは平面ではなく、矢筈(やはず)といって矢の末端を弓の弦にかける部分ように少し尖った形をしています。これによってソールの見た目が薄い印象になり、よりエレガントに。
そして、かかと。
ピッチドヒールと呼ばれる意匠で、ヒールの上から下にかけて傾斜がついており、ドレッシーな印象をより強調する仕上げになっています。
靴底に関して言うと、今までのスコッチグレインの印象とは大きく違った見た目になっていると感じました。
靴底の革については、今までのスコッチグレインのモデルと少し違います。
また、ウエストがかなりくびれています。細身の木型を採用されているということで、土踏まずのホールド感もかなり重視されていることが伺えます。
他のモデルと比べてみましょう。
かかとの裏側も今までのスコッチグレインのマークが入ったラバー素材ではなく、ラスターヒールを採用しています。
あ、関係ないですけど、かかとの外側が削れるのは正常なんですって。
高級ラインの仕様
以前からスコッチグレインのヒロカワ製靴さんでは、J.M.ウエストンの靴の修理を受けていることもあり、ウエストンの方が視察に来られることがあったそうです。
そんな経緯で、中底や本底を使ってみたいと依頼をしたところ承諾をもらい、さらに革も日本に送ってもらったのが、このモデルのきっかけとなったそうです。
革の特徴を詳しくご紹介していきます。
アッパーは仏デュプイ社
アッパーにはフランスのデュプイ社のニュービンテージカーフという革が使われています。
この見ため、一見マットな革に見えますが、仕上げるとこうなります。
そしてこの革、実は表面がバフィングされていて、うっすら起毛されています。バフィングというのは、サンドペーパーで表面を削って起毛させることを言います。
なので、カーフでありながら少しだけコードバンのような触り心地の革です。バフィングされているからかわかりませんが、すごく柔らかいですね。
本底・中底には仏バスタン社
本底と中底には同じくフランスのバスタン社のオークバーグという革を仕様しています。
バスタン社は伝統的なタンニンなめしで有名なタンナーで、あの硬いと言われているウエストンの靴底にも使われています。
とにかく硬いので、そのままでは使えず、革を一度機械で何度も揉まないと針が通らないほど。それによって作業工程が増えるので、手間と時間のかかる革なのです。
しかし、やはりその硬さ故、非常に削れにくいというのが特徴なのだそうです。
これはウエストンだけに提供されている革だったのですが、ヒロカワ製靴さんにも提供されることになったようです。
ライニングとカウンター
ライニングもデュプイ社のクロムなめしの革を使用しています。
今まではバングラディッシュのタンニンなめしのライニングでしたが、クロムなめしになったことによって少し色味も違うだけでなく、タンニンとは違うねっとりとした柔らかさも出ています。
そしてカウンターと呼ばれる芯材です。
かかと部分のカウンターは今までのモデルは、革の余った部分を粉砕して接着剤などで固めたベニアのようなものを使われていたのですが、今回のカウンターは革の厚さを調整するときに削られたものです。
なので、革としての性質を残したまま使われているため、より馴染みやすい。そして長さもあるので、よりホールド感も得られるとのことです。
カウンターの写真は撮り忘れました!
より細身な木型
木型もこちらのモデル専用のものを使われています。
もともとある6万円代のインペリアルの木型が元になっているとのことですが、多少このモデルに合わせて改良がされているようです。
甲の薄いツリー
木型はヒロカワ社長自ら削られているようですが、百貨店からの要望や諸々のフィードバックなどを反映されているそうです。
シングルE(1016:E)とトリプルE(1015:EEE)のモデルがあるわけですが、シングルEの方はピッチドヒールなので、それによって木型のかかと周りも削られています。先ほどのロングカウンターが使われていることもあり、かかとのホールド感は今までのモデルよりアップしているそうです。
左:1016、右:1015
ちなみに、こちらのシューツリーは後部がネジで回転でき、ツリーの長さを調整できるようになっています。画期的!
履き心地・サイズ感
まだ長時間しっかりと履いたわけではありませんが、足入れをさせていただいた印象を思うままに書かせていただきます。
ちなみに、足のサイズは23.5cmですが、今回ご提供いただいたのは24cmです。
今、23.5cmのスコッチグレインを履いていましたが、左足の小指の付け根が締め付けられて痛く感じます。
なので24cmでお願いしました。
まず、一番はかかと。
僕が持っているスコッチグレインの靴より圧倒的にかかと部分が丸くなっていることがわかります。
正直今まではかかとがしっかりついてくる感覚というのはありませんでしたが、この丸さ故、しっかり足を蹴り出すときにかかとがついてくる感覚を覚えます。
これは歩きやすさという面でもすごく気持ちが良い履き心地です。
アッパーはライニングも含めて非常に柔らかく、かなり歩きやすいです。
硬い硬いと思っていたソールもそこまで硬すぎるわけではなく、すごく歩きにくいという印象はありませんでした。アッパーが柔らかいから、痛みが吸収されて甲が楽なのかもしれませんね。
以前より細身にはなっているようですが、僕の足はそれよりさらに細いようで、土踏まずのあたりまで伸びているカウンターによるフィット感はそこまで強く感じませんでした。
でも足の角度によってはしっかり土踏まずが支えられる感覚はあるので、一般的な足幅の方であれは今までとは違うフィット感を得られることは間違いないと思います。
圧倒的特別感
今回の靴はスコッチグレインの中では少々高めの価格設定ではありますが、革質や作り・手間などを見ると絶対に8万、10万だと安い。
ライニングの革も10cm2の単価は100円も上がってるらしいですからね。
なので、コストに対するパフォーマンスという意味では非常に高い(コスパに優れた)靴です。
ただ、そのコスパとかそういう話ではなくて、スコッチグレインで8万10万円台の靴を作るという挑戦が素敵ではありませんか。
スコッチグレインらしいトラディショナルなデザインを残しつつも、今までとは違う革、それも単価も圧倒的に高い革を積極的に取り入れて、しっかりと若い人を意識した木型で作られた靴。
そこにヒロカワ製靴さんの企業としての靴づくりに対する姿勢を感じます。
革質にもこだわった間違いない靴をリーズナブルに提供していた、ヒロカワ製靴さんが作る8万円10万円台の靴。
そこにこだわりと、圧倒的な特別感を感じます。
もしかすると若い方は8万10万の靴を仕事で履くのは難しいと感じる方も多いと思いますが、スコッチグレインファンには是非手にとってほしい靴だと思いました。
今までの履き心地とどう違うか、8万10万たる理由を是非ご自分で感じていただきたいと思いました。
最後に
この靴をご提供いただくにあたり、靴の特徴を廣川社長から直接お話しをお伺いしました。
以前から、工場見学にお邪魔したりとこのように高額の商品をご提供いただいたりと、情報提示・情報公開にとても積極的だなと思っていましたが、今回も惜しげなく革の情報や製法の情報などをご紹介いただきました。
この情報が少しでも多くの方に伝わればいいなぁという思いでこの記事を書かせていただいています。
そういうところがいろんな形で伝わった結果なのかわかりませんが、銀座本店にいらっしゃるお客さんはスコッチグレインのファンという方も非常に多く、何足もお持ちの方もいらっしゃいました。
こちらのモデルは残念ながら銀座本店にしかありませんが、アクセス可能な方は是非手にとってみてください。
繰り返しになりますが、スコッチグレインファンの方にこそ、今までと違った靴を見ていただきたいです。
よければこちらの記事もご覧ください。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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