ご縁があって、ご自身の革小物ブランドPRO-MENER(プロムネ)を展開されている池田 耕平さんにお会いさせていただきました。
東京の蔵前駅から歩いて数分のところにあるアトリエです。
「上質な革に出会わないと製品を作らない」という、革自体にも非常に強いこだわりをお持ちの池田さん。
革のどういうところをご覧になっているのか、また、どういうところにこだわって作られているのかお話をうかがってきました。
ちなみに、革小物の書籍も出されている方です!
PRO-MENERの革小物一覧
まずはPRO-MENERの革小物の写真ご覧いただきたいのです。
やっぱり僕があれこれ説明するより、お写真ご覧いただいた方が早いですからね!
イタリアンレザー ”アリゾナ”
エイジングしやすいタンニンでなめした革とのことです。
発色の良くてすごく柔らかい革です。
シボもあり、カジュアルな仕上がりですね!
水染めコードバン
透明感のある色。
発色も良く、ツヤ重視というよりもすごく自然な仕上がりのコードバンです。
お財布もさらっと仕上がって、贅沢ですね!
ワープロラックス
エルメスとかでも使われてる型押しの革です。
型押しの革って圧縮するからどうしても固くなるんですって。
でもすごく柔らかい触り心地でした。
女性向けの商品が多そうですね。
スペインラム
めちゃくちゃやわらかいです!
そして、めちゃくちゃ軽い!
柔らかさで言うと、枕にしたいくらいです。
トスカーナリーショ
ベジタブルタンニンでなめした牛革です。
薄く仕上げてあるものばかりですが、すごく張りのある革です。
こちらは、逆に紳士用の財布や小物という印象ですね。
素敵です。
なんというか全体的に、すごく綺麗に作られているのと、どれも触り心地が柔らかいので素人の僕でも手に馴染む感覚を覚えるほどです。
大げさじゃなくて!
触り心地がこんなにも革小物の印象を左右するのかと、新鮮な気持ちです。
あと、手作りで仕上げられているにもかかわらず、良い意味でどれもハンドクラフト感がありませんね。
すごく整った仕上がりの製品ばかりで驚きです。
革のイメージからプロダクトのアイデアが生まれる
革小物のサンプル受注製作もされている池田さん。
メーカーから革を支給される機会もあるので、その中で新しい革に出会われて、気に入ったものを使われたりするそうですね。
革を見て、この革に合う革小物のイメージが浮かぶというか。
だから、これを作りたいからこういう革を探そう!という流れではないんです。
革小物って革の厚さがかなり重要なようです。
でも、例えばシボ革って薄くするのが難しそうなのってなんとなくイメージできますよね。
デコボコしてるので薄い部分とそうでない部分ができてしまったりと。
なので、この革にはこれが向いているとか、この革はこんな印象だからこの製品に向いているとか、そういうイメージで革を選ばれているということです。
良い革、そうでない革って見分けるのすごく難しいんですよね。
キメの細かさ程度なら見分けられると思いますが、それ以上のところは正直わかりません。笑
最適な革の選び方
ただ、革小物ってそんなに革を選ばないようです。
だから好みで選んだらいいと思うんですけど、やっぱり革の厚みはパーツによって調整が必要なので、その厚さを担保できる革を選ぶ必要があるとのことでした。
革小物は、1.2mm前後に厚さにするのが一般的な厚さですが、マチの部分は場合によっては0.3mm程度の薄さにすることもあるようです。
1.0mmもあれば、1.1mmもあるし、1.4mmもあるんです。
それは革の特徴に合わせて使い分けていらっしゃるんだそうですね。
薄くすると耐久性が失われます。ただ、分厚いとゴツい印象になってしまう。
すっきり作りたいけど、耐久性は持たせたいというような場合とか。
これはもう池田さんの感覚やセンスによるところで判断されているものなんだと思います。
この革だとこういう革小物がいいんだろうなぁとか、革を見るとなんとなくイメージが湧くんですね。
革の良さを最大限に活かしたいという想いが伝わります。
革小物は革の厚みが重要
そうそう。
どうやら、お話をうかがっていると革小物に関しては、革を漉く(すく:薄くする)ことにすごく難しさとこだわりをお持ちだと感じました。
革小物ってパーツが多いんですね。
全然知らなかったんですけど、30〜40パーツもあるんです!
これ、型紙です。
多い!!
さらに、池田さんは型紙の寸法なんかもなんとなく頭に入っているので、こういうものを作りたいと思ったらそれに合わせて型紙がつくれてしまうんです。
ただ、難しいのは、型紙ではできても革になると話が違うようで、革になると縫えないということもあるようです。
ミシンに入んないとか、革によっては硬いからこの寸法は厳しそうとか、そういう難しさもあるようです。
これは間違いなく、ご経験のなせる業だなぁという気がします。
もともと、お直し系の企業でバイトをされていた池田さん。靴もそうだし、バッグの修理から洋服の丈詰めまでやられてる企業さんです。
その後、革製品のサンプルを作られる会社へ就職され、そのご経験を経てこの世界で独立されたのだそうです。
ちなみに、最初にご紹介した池田さんの著書『本格革財布の仕立て方』。
本の中に財布や小銭入れの型紙も入ってますよ!
手作りワークショップ
ご自身の工房、Atelier K.I. では、ご自身のブランド以外にスクールとワークショップも運営されています。
スクールでは、先ほどご覧いただいた本に則って財布や小銭入れが作れるんです。
スクール
スクールはこういったお財布や小銭入れなどの作っていきます。
こういう財布とか…
こんな小銭入れとか…
こんな財布も…。
毎週月曜日・火曜日・木曜日のうち、18時~22時の間から2~4時間を自由に選択して受講ができます。
詳しくは Atelier K.I. のwebサイトをご覧ください。
ワークショップ
月に1度、1日で革小物を作り上げるワークショップです。
簡単なものであれば6時間程度、バッグになると12時間程度かかるものもあるようです。
こちらも詳しくは Atelier K.I. のwebサイトをご覧ください。
革漉き体験!
革を漉いて薄くする工程、僕も体験させていただきました!
革漉き機という機械を使って行っていきます。
革小物のキモでもある革漉き(かわすき)。
コバの処理など細かい仕上げのためには必要不可欠な工程です。
ちょっとだけ革漉き機を体験させていただきました!
留め具も仕上げに合わせてご自身で削られて使われています。通常は4種類だけなんですって。
こだわりですね。
機械の設定ができれば革を機械に通すだけなので、そこに難しさは無いようなんですが、革の厚さの見極めと機械の設定が難しいのだそうですね。
流石に、この仕上げを素人が機械を使わずにやるのは難しそうですね。
こんな風に漉くことができました。
ネン引きと呼ばれる仕上げも。
やっぱり精度の高いものを作ろうと思ったら、こういった機械が必要なんでしょうね。
思った以上に手間もかかるし、何より細かい作業でした。
職人さんによるコバ処理
池田さんが作業されているところを見せていただきました。
『玉縁仕上げ』と呼ばれる仕上げで、コバ処理のひとつです!
これがこうなるわけですね!
本を読まれて難しさを感じられた方は、スクールに行かれることをおすすめします!
来年からは靴も
今後は靴も展開される予定です!
年内は難しそうですけど来年には、という予定なのだそうです。まずはレディースから。
これが来年新作で出される予定のパンプスです。
まだ試作品のようですが、すごくキメの細かいイタリアンカーフで、革小物にも使えそうな革なのだそうですね。
シンプルで素敵。
ちなみに、アトリエには靴を作られていた方もいらっしゃるようで、過去の作品も飾られていました。
これはドストライクです!
ステキすぎる!
最後に
池田さん、はじめましてでしたがすごく気さくにお話してくださいました。
いろいろとご丁寧にありがとうございました。
そして最後に珍革小物です。
水染めコードバンのジュエリーケース。
贅沢ですね。
個人的にはこういうのもたまんないですねぇ。笑
このように革でなんでも作れてしまうのを見ると、物が作れるっていいなって思いますね。
東京の革小物手作り体験ができるお店
PRO-MENER と Atelier K.I. はどちらも蔵前の同じビルにあります。
普段はオフィス街ですが、おしゃれなカフェや革小物やさんもたくさんあるので、是非足を運んでみてください。
あと、本格的に革小物を学びたいという人は、こちらの本もオススメです。
僕は素人なのでそう思うのはもちろんですが、超マニアック…いえ、細かいところまで紹介されていました!笑
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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