革靴の個人輸入というものをやってみました。サンクリスピン [Saint Crispin’s] というブランドです。以前伊勢丹でサンクリスピンの靴が半額になっていたのがサイズが合わず、さらに海外からも仮縫いありのオーダーが可能ということを聞いて思わずオーダーをさせていただきました。
結果、なかなか高くつきましたが、仮縫いもありのサイズ感も十分納得のいく仕上がりにしていただいたので、大変満足でございます。
グローバルでユビキタスな、大変貴重な体験をさせていただきました。よければご覧になってみてください。
サンクリスピン [Saint Crispin’s] とは
サンクリスピン [Saint Crispin’s] というブランドです。
靴好きの方はご存知かもしれませんが、非常に綺麗な靴を作られているブランドでルーマニアで製造をされています。年間に1,500足という少ない足数ではありますが、世界中の靴やファッション愛好家の間で高く評価されています。
Cyber Fitting
今回はサンクリスピンのサイバーフィッティング [Cyber Fitting] というものを体験させていただきました。サイバーなんて言われると、すごくデジタルでテクノロジックな感じがしますが、特にそうではなく、簡単に言うと自宅でできるオーダーができる、みたいなものです。
サイバーフィッテングの流れはこんな感じです。
- 自宅で自分の足を採寸・送信
- 仮縫いの靴(トライアルシューズ)が届く
- フィードバック
- 完成した靴が届く
サンクリスピンのwebサイトからサイバーフィッティングについて問い合わせると、メールが届きます。足の採寸方法の動画もありますので、それを見ながら採寸をして写真をサンクリスピンに送ります。欲しい靴のデザインも指定するのと「他のブランドは何履いてるの?サイズも教えて!」みたいな質問にも回答をしました。
仮縫い、届く!
約2〜3週間で仮縫いの靴(トライアルシューズ)が届きます。トライアルシューズは 250ユーロで、本番の靴の値段から差し引いてくれるというので親切です。今回は送料もかかるので、もともとの靴の 値段 + 関税他 という感じでした。なので、安くはなりませんでしたが、仮縫いもあるので百貨店でプロパーで買うよりもおトクと言うことはできると思います。
また、仮縫いはあくまでサイズ感を確認するものなので、装飾も簡易的なもので、底付けもセメンテッドの貼り付けただけのものですね。
DHLで配送
DHL で配送してもらうのですが、サンクリスピンの担当の人が発送したときに invoice をメールで送ってくれます。なので、DHL のトラッキングナンバーで靴が今どこにあるのかも追跡できます。
そして、配達してもらうとき関税を支払います。正確には関税だけではありませんが、確か合計6,000円か8,000円くらい払いました。現金でしか払えないので注意が必要です。
サイズ感を確認
かかと周りゆるめ
足の写真を見てもらった結果、サイズ5・ウィズFのトライアルシューズを提案してもらいましたが、履いてみると結構デカかったです。
他のブランドだとサイズ5とか5.5を履くことが多いので、比較的大きめなサイズ感かもしれません。
履き口まわりもゆるめ
そのあたりをフィードバックして、4.5のEで行きましょうとなりました。
トライアルシューズの2足目を依頼することもできますが、2足目以降は完成靴の値段からは差し引かれません。2足目の仮縫いは100か150ユーロと書かれていました。
仕様の確認
本番の靴はファイナルペア [final pair] という呼び方をされていましたが、ファイナルペアに入る前に靴のデザインや仕様の確認をされます。
- 4.5E classic last
- model 174
- leather in black crust
- GE 8 bottom sole
- with metal tip
こんな感じでお願いをしました。この後詳しくご紹介してまいります。
ちなみにですが、サンクリスピンのオーナーでいらっしゃるフィリップ・カー [Mr. Phillip Car] 氏はビジネストリップで不在にしてることもあり、1〜2週間返信が来ないときもあります。そういう時は「その後どぉ?」ってメールすると、他の担当の方から「遅くなってごめんね」とすぐ返信が来ます。
すごく親切ですので、もしオーダーされる方はご安心ください。
本番の靴
サンクリスピンのサイトには model 174 、Long wing full brogue Oxford with plain tip と買いてあります。
『内羽根のロングウイングブローグ』みたいな感じでしょうか。
こう見ると結構複雑なブローグが施されていますが、ゴチャゴチャ感はなく、非常に端正な仕上がりです。個人的に、このブローグの大小の穴のバランスと密度がとっても好きなのですが、マニアックすぎてすんません。
とにかく品のあるパーフォレーションだなと思います。
mod.174:ロングウイングブローグ
恐らく、ブローグシューズによく見られる、革の継ぎ目のギザギザ(ピンキング)がないのと、革の継ぎ目が薄く加工されているのと、革の色も黒なので、落ち着いた印象に見えません?
でもよく見るとすごい華やかな装飾なんですね。重なっているバラの花びらを見ているような、そんな装飾です。我ながら良い表現だなと思っているのが、何か
優しい装飾です。
平紐のボリューム感が結構あります。
木型:Classic Last
横からの眺め。
他のブランドのサイズ5の靴と見比べると靴の全長はほぼ同じなのですが、この靴は全体的にボリューム感というか肉付きがあります。そして、形がすごく複雑で立体的です。
二の甲から三の甲にかけて、しっかりとした立ち上がりが見られます。これでまだ室内を歩いていないので、歩き心地が気になるところ。
ボリューム感があるというのは、木型の形も関係していると思いますが、靴のつくりも影響しているものと思われます。かかとや土踏まずが非常に固く作られていて、分厚い芯材と補強用の革なども使われているものと想像します。
その厚み故、靴全体のボリューム感があるように見えるのではないかと。
かかとの外周もなかなか大きく見えますが、履いてみると全然そんなことはなくて、厚みの出るつくりなんだろうなということもわかります。
でもおもしろいことに、メリハリがあってねじれた木型なので、ボリューム感があることによる野暮ったさみたいなものは一切感じないのがこの靴の魅力です。
写真と文字だけでどこまで伝わるか不安なのですが、靴の底から履き口にかけて外側に傾いているような木型のようです。
正面から見てもなんとなくそんな感じ。
靴の中心線を想像すると、かかとも外側にねじれているような印象です。あ、ちなみにシューキーパーもついてきます。嬉しいね!
今回は僕の23.5cmの足に対して、サイズは4.5Eがぴったりでした。
ソール:GE8 + metal tip
ソールはこんな感じ。こんな仕上げをされたら履くのもったいないんですけど。笑
トゥスチールを最初から付けてもらうこともできます。あと、8mm のソールなので、他の靴と比べるとぱっと見厚みがあります。
4 1/2 E
ちなみに GE8 というソールの名前、どういう意味?って聞いたら、サンクリスピンの一般的なウェルテッドレザーソールで、ベベルドウエストで木釘で補強されています、と説明がありました。
ベベルドウエストという程くびれているわけではなさそうですが、ウエスト部分には木釘が刺さっていて、その部分は出し縫いがされていません。(出し縫いと靴の底付けについてはこちら)
ソールも厚め、木釘が刺さっている部分は硬そうなので、馴染むまでに時間がかかりそうです。先ほども申し上げましたが、アッパーもかなり硬くしっかりとしたつくりの靴なので、いきなり履き下ろしとはいかなさそうですね。笑
長い戦いが強いられそうです。燃えます。
合計の値段
完成の靴で支払った金額は、€ 1.230 でした。さらに DHL 配送時に現金で支払った関税等は 26,100円でした。なので、合計金額は
- 仮縫い:30,394円
- 関税他:6,000円
- 本番:162,350円
- 関税他:26,100円
- 合計:224,844円
結構高くつきましたね!
しばらくは買いませんが、いつか他のデザインでも欲しいのがあるので、またいつか。笑
でも、もし木型が同じなら、仮縫いは必要ないので19万くらいで1足作れそうです。それでも結構高いな!
でもいい経験になりました。
最後に
6/25にサイバーフィッティングのメールを送って、約3ヶ月。ワクワクな体験をさせていただきました。
個人輸入をご検討中の方に少しでも参考になれば幸いです。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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