見たことのない革靴を作りたい企画・アイデア集

以前こちらの記事でお話をさせていただいた靴職人のケンさんとYouTube上で進めている企画『見たことのない革靴を作りたい』。婦人靴やスニーカーは色味やデザインが豊富なのに、紳士靴はそうでもないくないですか?というところから始まった企画です。
革靴に対する懐古的な思想はひとつおもしろいところでもありますが、新しいものがあってもよいでしょうという想いではじめました。

話の中で和をコンセプトにした靴のデザインを考えてみましょうか、という話になり、3回ほどライブ配信をする中でアイデアがある程度出てきました。
5/11の21:00〜 YouTubeの配信で実際にひとつ決めるところまでいきたい。そんな風に思っております。集まったデザインをひととおり掲載してみます。

よければご覧になってみてください。まずはケンさんの作品から。



帯靴

シンプルなホールカット(紐穴なし)にソールごと帯で足を固定する。スケッチは貝の口結びが大胆に靴に乗ったもの。
帯は付け替え可能だったり、布だったり革だったり。

着物エラスティック

着物の合わせを模したスリッポン。
履き口のラインが全部ゴムになっている。着物の襟の補強のラインを模してトゥは非対称。

着物二回結びサイドレース

剣道着や旅館の浴衣等に見られる内側の結びと外側の結びを靴に応用した。内側で一回結び、被せるように外側のサイドで結ぶ。
二カ所で結ぶことで少ない鳩目(1個ずつ)でもそれなりの固定が可能と思われる。

草鞋(わらじ)ギリー

草鞋の紐のラインがスコットランドの民族靴、ギリーシューズに似てるなと思い、そんな雰囲気で考えてみたが、変!笑

巾着アンクルブーツ

和装の必需品、巾着を靴にした。アッパー下部はビスポーク同様、心材をいれた固めのアッパー。
上部は巾着を模して鹿革等の柔らかい素材を使い、足首部分の紐で巾着のように縛る。ギャザーが柔らかい印象を与えるかも(?)
モックシューズみたいな。

着物チャッカ

着物の合わせのラインを靴に落とし込み(左)そこに着脱を考えたアッパーデザインを描き込んだ。
足首のあたりで一回小さく結び、甲のあたりで帯紐のようなもので結ぶ。
着物の襟元の形は首元を覆いつつ、首(頸)の自由度は確保した結果の形だとおもうので、足首を頸に見立てて襟元デザインとした。ブーツのように足首はホールドしつつ、足首の動作の自由度は高くなっている。
下駄のどっしりとした雰囲気になぞらえて、スクエアトゥやダブルウェルト、ダブルソールなどの意匠もあり。

下駄ブローグ(左)ワラジェーゼ(右)

下駄や草履の鼻緒を模したブローギングをシンプルなアッパーに施した靴
ブローギングの形は丸じゃないのもあり(◇等)
穴の裏に和柄なんかをあてて、柄が透けるのも面白そう。
ブローギングではなく和柄のテープみたいなのを縫いつけても面白い

草鞋の紐を模したラインを革の切り替えやステッチによって施した靴。面白いことに歌舞伎の隈取りのようにも見える。
ノルベジェーゼ製法の飾り糸に稲藁を用いてチェーンステッチをかける。

富士山カウンター(左)と扇子靴(右)

アッパーのカウンターパーツ(かかとの部分)が富士山に似てるなと思った(左)
甲部分が扇子のように蛇腹になっており、蛇腹を畳むことで履く靴(右)

十二単靴

十二単のように重ね着した靴。実際十二単は12枚重ねることはないらしいが。笑
十二単の重ね着の意味は襟元や袖元を色彩豊かにするお洒落だそうで、この靴も二回つり込むことで内と外のアッパーの色で個性を出すことが可能。
内側のアッパーに柔らかい革を使うことで、フィット感を高めることができる(かもしれない。)

金継ぎ靴

陶器の金継ぎから着想を得て、ランダムなパターンをゴールドの革で継ぎあわせる。
ただ、金継ぎの美しさは造形美だけでなく、壊れた部分をも美しく変え、物を長く使うという意味そのものにあるため、最初から金継ぎされたアッパーだと金継ぎの良さを十分に表現できないかもしれない。
よりコンセプトに合うのは使えなくなった靴のアッパーを継ぎ接ぎする等。

わびさびの靴

日本の美学「わびさび」をテーマに、シンプルで飾らないことをコンセプトにした靴。
アッパーはヌメ革のような素の表情の革を使い(カンサビルもいいかも)ソールのレザーはロウやクリームを使った光らせる仕上げをしない。
アッパーデザインはロングヴァンプのキャップトゥ(バルモラル)で、これは礼装用の靴の古い形であるバルモラルブーツから由来。
紳士靴の基本ともいえるスタイルに飾らないマテリアルで作るのがわびさびの靴。

下駄をイメージ

インスタで頂いたアイデア。
つま先の部分が下駄の鼻緒をイメージされたものです。

イラストお上手!ありがとうございました。

和柄ホールカット

ここからは僕のアイデアになります。
和柄を靴に落とし込んだもの。例として七宝つなぎという和柄を採用しました。和コンセプトであるということが一目瞭然です。
ただ明瞭ではあるが安直な発想。もう少しひねりを加えたい欲求が出てまいります。

着物襟元ローファー

フランス靴を履いた青年と題された着物姿で革靴を履いた当時の人写真(明治20年)は、革靴を遡ると必ず出てくる資料のひとつですが、そんな日本と革靴との出会いを体現したような革靴です。
ケンさんのチャッカブーツのアイデアと似ていますが、僕のはローファー版。着物のレイヤーを表現した履き口はセンターエラを想定しています。装飾が少ないので革で遊んだり、木型特につま先のシルエットはこだわりたいところ。

スニーカーですでにやってるものがありました!笑

ちなみに女性の着物の帯もつけてみましたが、このイラストは超微妙でした。笑

隈取り・大入り

着物のレイヤーから着想を得て、かつライブ配信中にいただいたコメントにあった『隈取り』というワードも参考にして、隈取り(歌舞伎の特徴的な化粧)と大入りという縁起の良いワードを掛け合わせたデザイン。色味こそイメージしていませんが、日本の伝統芸能の中でもかなりインパクトのあるビジュアルを靴に落とし込みました。
エドモンド本田の銭湯のバトルステージには大きく『大入り』と書かれた提灯があったなぁというジャストアイデアです。
歌舞伎については全く明るくありません。

最後に

今回和のコンセプトを…という話になったときに表現したいと思ったテーマは、日本人の国民性でした。
滝川クリステルさんのオリンピック誘致スピーチにあった『おもてなし』のような、人を慮ったり、感情の機微を察したり、言葉にせずとも協調性でもって人間関係や社会を築いていく日本人の文化的特徴です。

しかし、それを靴のデザインに落とし込むことはできませんでした。デザインの引き出しが圧倒的に無い。
例えば「心に秘めていても表面には出さない」というようなものを、ステッチが表面には浮き出てこないスキンステッチで何かモチーフを描いたりとか。とかとか。
アイデアは思いついてもそれがかっこいい靴かと言われれば全然そうではなくて、そのギャップが難しくおもしろいところでした。
でも何か靴とは関係のないコンセプトを靴に落とし込んで表現するという試みは僕はおもしろいと思った企画でした。

どうなるか非常に楽しみです。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。

和というコンセプト以外にも建築とか絵画を見ていて、ダリの絵画に着想を得たアイデアがこちらなのですが、他の方がもう既にやられていました。

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『革靴の魅力や靴磨きの楽しさをもっと多くの人に知ってほしい』という想いでブログやYouTubeで情報発信を行っています。 前職の経験からシューメーカーのブランドサイトやオンラインショップの制作・カスタマイズ、広告運用を受け持ったり、ブランディングや商品開発のコンサルなども手がけています。
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