紳士靴の種類とのデザイン、仕上げの方法などについてご紹介します!
いやほんとに、世の中にはいろんな種類の靴がありますよね。
是非最後までご覧いただていて靴選びの参考にしてみてください!
内羽根ストレートチップ
つま先に横方向の線が入っているデザインの靴です。キャップトゥ [cap toe] とも呼ばれています。
フォーマル度も高く、黒の内羽根ストレートチップは冠婚葬祭いつでも履けるので、是非1足持っておいていただきたい靴です。
外羽根プレーントゥ
つま先に装飾のないデザインの靴です。
ビジネスでもカジュアルでも履けるので、人気のデザインです。
内羽根プレーントゥ
こちらもプレーントゥですが、内羽根なので外羽根の靴よりもフォーマルな印象になります。
内羽根式・外羽根式の違い
靴紐を通す部分(レースステイ)が甲の下に潜り込むようになっているものが内羽根、外側に乗っかっているものが外羽根と呼ばれています。内羽根式の靴の方がフォーマルで品があり、外羽根式の靴の方がよりカジュアルというのが、一般的な認識になります。
内羽根の靴の特徴
内羽根の靴は羽根をそれほど大きく開くことができません。
靴によっては履いているうちに底が沈み込んで履き心地が緩くなる場合が多いので、最初から羽根の部分が完全に閉じてしまう靴を選ぶと靴が馴染んだ時にそれ以上靴紐をきつく締められなくなってしまいます。
なので、靴を選ぶ際は羽根の部分が閉じきらないサイズのものを選んでいただくことをおすすめします。
外羽根の靴の特徴
外羽根の靴のメリットは、羽根の可動域が広いので靴紐でフィット感の調整がしやすいので、足の甲が高い方には楽に履いてもらえる靴です。
調整しやすいという理由から、革靴にまだあまり慣れてないという方やサイジングが不安という方にはちょっと楽かもしれません。
ブローグ
ブローグは穴飾りの装飾です。穴飾りが多いデザインの靴は、穴飾りがないものと比べるとカジュアルになりがちですが、靴によってはビジネスで履いても問題はありません。
もともとは靴に染みた水を排出するための穴だったそうで、カントリーシューズとかアウトドアシューズが起源であると言われています。
穴飾りの種類によって、クオーターブローグ、セミブローグ、フルブローグなどと呼び方が変わります。
詳しくはこちらの記事もご覧ください。
ブローグの種類について
フルブローグ
フルブローグは、最もブローグの要素が多い靴です。
- パーフォレーション
- ピンキング
- メダリオン
- ウイングチップ
の4つの要素でできている靴です。
ブローグもやはり外羽根のものの方がよりカジュアルになります。
ちなみに、こちらはロングウイングチップというウイングチップがかかとまで伸びているデザインです。
セミブローグ
セミブローグです。
フルブローグのウイングチップがパンチドキャップトゥになったものです。
- パーフォレーション
- ピンキング
- メダリオン
- パンチドキャップトゥ
の4つの要素でできています。
クオーターブローグ
クオーターブローグです。
セミブローグからメダリオンをなくしたデザインです。
- パーフォレーション
- ピンキング
- パンチドキャップトゥ
パンチドキャップトゥ
パンチドキャップトゥだけが施された靴です。
ストレートチップのデザインに近いので、比較的フォーマルに近いデザインとされています。
ブラインドフルブローグ
フルブローグのメダリオン、パーフォレーション、ピンキングがないものです。
全体的につるんとした印象で比較的フォーマル寄りな位置付けになります。
※イラスト無し
ホールカット
ホールカットです。
一枚革なので革の継ぎ目や装飾が一切ないデザインの靴です。ワンピースとかシームレスなんて呼ばれることもあります。
革質も木型が際立つので、そのブランドの考え方が出る靴です。
フォーマル寄りでシーンを選ばない靴です。
Uチップ・Vチップ
甲の部分のモカシン縫いがU字のものがUチップ、V字のものがVチップです。
外羽根のものが多いのでエプロンダービーと呼ばれることもあります。
モンクストラップ
修道僧(モンク)が履いていた靴にヒントを得た、ベルトのような装飾がついている靴です。
シングルモンクストラップとダブルモンクストラップが主流です。
ストラップがサイドについているサイドモンクストラップと呼ばれるものもあります。
ローファー
ローファーです。
紐履にはない履きやすさが特徴です。
しかし、紐靴のようにフィット感の調整ができないのでサイジングがむずい靴でもあります。
一般的にローファーはカジュアル寄りの靴ですので、スーツに合わせるというよりはジャケパンのスタイルで合わせてもらうのがいいと思います。
コインローファー
甲の部分にサドルと言われる革が貼られているデザインです。サドル中央の切れ込みの装飾が特徴です。
途中までしかサドルがないものがハーフサドル、下まで全部あるものがフルサドルと呼ばれています。
ビットローファー
馬具の一種である轡(くつわ)の形をした飾りが施された靴です。
ローファーやモカシンに多く、ドレスシューズの代表とも言える靴です。
タッセルローファー
房飾りが特徴的な靴です。
かつてアメリカでは弁護士の靴という印象が強いようです。
キルトローファー
ギザギザの切り込みがあるデザインが特徴的なデザインの靴です。
伝統的でゴルフシューズなどによく見られるデザインです。
サドルシューズ
サドルシューズです。
色や種類の違う革を甲の部分にまたがらせるようなデザインで、革の色や種類が違うので派手でカジュアルな印象になりがちです。
サイドエラスティック
サイドエラスティックです。
伸縮性のある素材で足にフィットさせるため、足入れしやすいという特徴がありますが、歩くと若干ルーズになりやすいというデメリットもあります。
スリッポン
靴紐や留め具がなく、足を滑り込ませるだけで簡単に履ける靴の総称です。
チャッカーブーツ
機能的なアンクルブーツで、元は英国のポロ競技に由来するという説から、その名前がつきました。
サイドゴアブーツ
両サイドにゴムを織り込んだ生地を挟み込んだ深靴です。アルバートブーツ、チェルシーブーツとも呼ばれています。
つま先の形状
次に、つま先の形状についてご紹介します。
なかなか見分けるのが難しい場合もありますが、好みの形状を認識してもらうという意味では知っておいて損はないと思います!
アーモンドトゥ
オーソドックスなアーモンドトゥは英国の伝統を感じさせるデザインで、よく目にするタイプの形状のひとつです。
ラウンドトゥ
ラウンドトゥも英国の伝統を感じさせるデザインですが、アーモンドトゥよりは丸くサービスシューズなどによく見られる形状です。
スクエアトゥ
ソールのつま先部分が四角く角が張ったような形状になったデザインです。スタイリッシュな印象になります。
チゼルトゥ
チゼルトゥ(chisel:たがね、彫刻刀の意)もスタイリッシュな印象でソールだけでなくトゥのアッパーも四角く釣り込まれているデザインです。
イタリアやスペイン、日本で好まれる形状です。
オブリークトゥ
足の形に忠実なオブリークトゥはドイツ系に多い健康靴やウォーキングシューズによく見られる形です。
ポインテッドトゥ
ポインテッドトゥは本来婦人靴に多いデザインで紳士靴に使われるのは稀です。
ソール(靴底)やヒール(かかと)のデザイン
最後に、ソール(靴底)やヒール(かかと)のデザインや仕上げについてご紹介していきます。
テーパードヒール(ピッチドヒール)
ヒールが先端に向かって細くなっている仕上げです。
通常の垂直のコバが安定感のあるどっしりとしたつくりと表現すると、こちらのテーパードヒールは華奢な雰囲気になり、ドレッシーな仕上げ、という印象になります。
ピッチドヒールと言われたりもします。
また、ヒールカップからつながるラインが滑らかで美しいカーブを描くので、後ろからのルックスに特徴が出ます。
それほど目立つ仕上げではありませんが、ドレッシーな装いには非常に合わせやすい仕上げです。
ダブルソール
アウトソールとウェルトとの間にミッドソールを挟んで仕上げた靴底です。
ミッドソールを2枚入れるとトリプルソールになります。靴としての丈夫さが増すだけでなく、見た目にも重厚感のある、ワイルドな仕上がりになります。
しかし、単純に重くなったり返りが悪くなって、足なじみが悪くなってしまうというデミリットもあります。
ワークシューズやカントリーシューズなどで多く見られる仕上げです。
カラス仕上げ
このようにソール前面を黒く染めた仕上げをカラス仕上げと言います。
また接地しないウエストの部分のみを黒く染める仕上げを半カラス仕上げと言います。
黒染めのアッパーが最もフォーマルになるのと同様に、ソールも黒く染めて仕上げることによって、よりエレガントな印象になります。
引き締まったシャープな印象になるのが特徴で、元々は絨毯や床を染料で汚さないための処置だったと言われています。
フィドルバック
出典:阪急メンズ館ブログ
靴底の土踏まずの部分(ウエスト)のセンターラインが盛り上がったような仕上げのことをフィドルバックと言います。
シャンクの加工や内側のコルクの量を調整して作り上げる意匠で、手間がかかるためビスポークシューズのような高級靴で見られる仕上げになります。
ベベルドウエスト(べヴェルドウエスト)
土踏まずの内側をできるだけ絞った仕上げをベベルドウエスト(beveled:面取りされたの意)と呼びます。
靴全体を引き締めて凛とした印象を持たせることと、はき心地の良い足を包み込むようなホールド感がメリットの仕上げです。
ウェルト部分の出し縫いがミシンでは難しい仕上げなので、高級ラインやビスポークシューズに多く見られる仕上げになります。
ラスターヒール
最も磨耗して削れやすいヒールの後ろ側のみラバーが埋め込まれたものがラスターヒールです。
写真のように三日月型ものや、他にはくさび形やV字型のものもあります。近年では大抵の紳士靴には紳士靴に付けられている定番のヒールでもあります。
確かに多くの靴で見るかかとです。さらにかかとの修理屋さんなどでもこのタイプのヒールを取り扱っているお店もありますね。
ヒドゥンチャネル
アウトソールを縫い付けたときの出し縫いの糸を隠す仕上げです。
革に切り込みを入れ、その内側を縫うことによって、縫い終えた後に縫い目を接着して隠します。
見た目がすっきりと美しくなるだけでなく、磨耗で糸が切れたり、水の染み込みを防止する役割も果たします。
糸で縫ってあるとは思えないほどの美しさです。
トゥチップ
ソールの先端に取り付け、磨耗から守るものです。
金属のものだけでなくラバーのものもありますが、金属製の製のものはヴィンテージスチールとも呼ばれており、つま先を磨耗から守ってくれます。
人によっては、歩くときの金属音が好まれない場合があるようです。
最後に
個人的には別に名前なんて知らなくてもいいんじゃないかなって思ってます。
ただ、いつかビスポークシューズを作るときに、デザインの種類や仕上げの方法を知っておいた方が選択肢が広がる気がしますよね。
あと、靴が好きな人たちと共通の言語で話ができるのも、楽しさのひとつじゃないかと思います。
靴底の製法についても詳しくご紹介しています。
靴底の製法まとめ
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
革靴の磨き方もご紹介していますので、よければこちらの記事もご覧ください。
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