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革靴のかっこいい理想の履きジワについて考える

小さいサイズのスエードタッセル入荷!
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先日、綺麗に履きジワが入ってますねと言っていただく機会がありました。
そう言われてふと思いました。

 

キレイな履きジワってどんなだろうか、と。

 

 

そこで今回は革靴の履きジワについて考えてみたいと思います。
どんな履きジワが綺麗で、どんな履きジワが汚いのか…。個人的な意見も存分に含まれますが、よければお付き合いください!

 

 

革靴の履きジワとは

 

革靴の履きジワとは、上の写真のように足の甲の部分の革に入るシワのことです。
この部分が革靴の中で最も頻繁に屈曲する部分で、負担のかかる部分でもありますね。

 

なので、この履きジワが入ってしまうのはある程度仕方ないと考えます。逆にそれが、革靴の経年変化の醍醐味であり、革靴の味そのものと言えましょう!

 

履きジワの原因

履きジワが入る原因は、靴のつくりや革質などいろんな要因があると思いますが、一番の原因は靴のサイズじゃないかと考えます。

 

足に対してジャストサイズの靴であれば革が足に沿って屈曲するため、過剰に革が屈曲することはありません。しかし、足に対して靴が大きすぎて革が余るような場合、余った革が屈曲してより深いシワが入るのは、なんとなく想像ができます。
もしかしたら歩き方もシワに影響しているかもしれませんが、ここは少々判断が難しいところです…。

 

 

履きジワを軽減するために、靴に入れるシューキーパーがちゃんと足の甲の部分を伸ばせているかというのも非常に大切です。
シューキーパーの選び方

 

履きジワを柔らかく保つクリーム

履きジワを柔らかい表情に保ちたいというのが、個人的な好みです。
それには水分の多いクリーム(乳化性)よりも、油分ベースのクリームの方が油分が革にとどまるので履きジワが柔らかい表情に保てると思っています。

 

こちらの記事でご紹介しているレーダーオイルも革がぷっくり柔らかくなるのですが、ちょっと香りが強いのと塗ったり時間を置いたりするのがちょっと手間です。このミンクオイル1本で革に油分補給ができるのと、香りも良く使いやすさを感じています。
とても気に入ってます。

 

ミンクオイルのご紹介はこちらの記事

 

 

きれいな履きジワ?

さて、ここからがようやく本題です!
どうもはじめまして、くすみ(kusumincom)と申します。

 

まずは、綺麗だと思う履きジワについて考えてみましょう!僕の持っている靴を例にいろいろ見ていこうと思います。
まずは横一直線に入った履きジワについて考えてみましょう。

 

ホールカットの横ジワ

 

例えばこれ。

 

甲の部分全体に大きなうねりのようなシワが生まれ、なかなか面白い表情になっています。
その周りに入った細かいシワも相まって、革らしい仕上がりです。

 

割と好き。

 

ストレートチップの横ジワ

 

次にこれ。

 

ストレートチップの履きジワですが、ストレートチップと内羽根下の装飾のちょうど中間あたりにシワが入っています。
これはいいバランスなんじゃないでしょうか?

 

革の性質なのか、小さなシワが集まってひとつのシワを形成しているようにも見えます。
まだ新しい靴なので、シワからも革の硬さが滲み出ているようにも思えます。これからが楽しみな靴でもあります。

 

右は奥さまの靴。愛妻家アピールです。

 

スリッポンの横ジワ

 

まだシワが浅いけど、こんな感じの履きジワもあります。
左右非対称ではありますが向かって右(左足)、特に黒と赤のグラデーションのちょうど中間にシワが入っていて、なかなかおもしろい履きジワです。

 

あえて左右非対称に染めたので、それが良くも悪くも味になってます。(言い訳
この靴を染めた記事

 

ブローグ(ウイングチップ)の横ジワ

 

こちらは割と好みのシワの入り方をしています。
大きく革がうねったようなシワで、革の表情がよく出ています。

 

ただ、シワが『ウイングチップ中央の出っ張った部分』をまたぐのは気持ちが悪い!
特に向かって右側。靴のデザイン上しかたないのでしょうか…

 

まだそれほどシワが深くないのでそんなに気にはなりませんが、ウイングチップとその上のブローグの中間でシワが入ってほしかった…。
これは中古で購入した靴なので、なおさら仕方がないかもしれません。

 

前の持ち主の方は捨て寸(靴とつま先の間の余った部分)がほとんどない状態で履いていたようです。
それが履きジワにどう影響するか、気になるところでもあります。

 

 

サイズによるものなのか靴の形によるものなのかは正直わかりませんが、横一直線で入ったシワは全く悪い気はしません。

 

 

斜めに入った履きジワ

次に、斜めに入ったシワについて考えてみましょう。

 

コードバンホールカットの斜めジワ

 

これは反則ですね!

 

履きジワのために作られた靴と言っても過言ではない。笑
足の内側から外側にななめに入っているのが印象的です。さらに、親指の付け根あたりに小さなシワが入っています。それがまた革のうねりを表現していて美しい。

 

自分で写真選んでおいてなんですが、これはズルい!!笑

 

ストレートチップの斜めジワ

 

こちらもストレートチップに入った履きジワですが、少々不格好です。
親指の付け根の上あたりにポコっと変なシワができています。決して悪いわけではないけど、ちょっと好きになれないタイプのシワです。

 

ただ、鏡面の仕上がりは最高なのでよしとする

 

ストチダブルモンクの斜めジワ

 

これは個人的にはあまり好きじゃないシワの入り方です。

 

ストレートチップとモンクストラップの境界線が平行に入っているのに対して、シワがそれに逆らうように斜めに入っている。
光の具合もあるかもしれないけど、その位置が若干つま先寄りになっている。さらに若干ではあるけど左右非対称。

 

この靴は最高に好きなんですが、この履きジワだけはちょっともったいないと思っています。

 

柔らかい斜めのシワ

 

逆にこちらの靴はななめにシワが入っているけど、おおきく柔らかいシワなので全く気になりません。むしろ好き。

 

コードバンホールカットと同様に親指付け根辺りに小さなシワが入っていて、かわいらしいとすら思います。
とても上質な革なのがよくわかります。

 

 

というわけで、斜めのシワが悪いかといえば決してそうではなく、靴のデザインやシワの入り方によって印象が違うようだということがわかります。
あとはやっぱり個人の好みに左右されそうです。

 

左右非対称の履きジワ

最後に左右の足で非対称になったシワを見ていきます。

 

ローファーのシワ

 

これは、個人的には一番失敗と言えるシワです!
左右で違うだけでなく、特に向かって右側がかなり深くシワが入ってしまいました。

 

靴のデザインや色味は嫌いじゃないのですが、シワだけが気に入らない…
シワの本数もこれだけ多いと、靴本来のデザインを損なってしまう気がしてなりません。

 

 

 

続いてタッセルローファーです。
これも左右非対称ですが、幸いタッセルがあってそれほど目立ちません。

 

ストチのシワ

 

左は斜め、右は横にシワが入っています。

 

シワがそれほど深くないので、これだけ左右非対称でもイヤな感じはしません。つまりシワの深さが問題なのかもしれません。
だからもしシワが深くなりすぎると、やっぱりキライ!ってなるかも…。笑

 

これは完全に僕の好みですね。
このシワが気に入らない方もいらっしゃると思いますが、鏡面の仕上がりが最高なのでよしとする(ピンボケすんません

 

プレーントゥのシワ

 

雨の日用の靴。

 

これも同じく左は斜め、右は横というシワの入り方です。
歩き方や足の形が影響しているんでしょうか。

 

外羽根プレーントゥだからか靴のデザインとシワがケンカすることなく、そんなにイヤな感じがしません。

 

 

 

こちらも同様に左右非対称ですが、そんなにイヤな感じはしません。
とは言え、そんなに左右で大きな差がないのですが…。笑

 

プレーントゥだとホールカットのようにシワを許容しやすいデザインなのかもしれません!

 

 

汚い履きジワ?

逆に汚い履きジワについて考えてみようと思います。

 

ひび割れ(クラック)の履きジワ

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ひび割れが起こってしまうと、補修するのがすごく難しいんですね。
これは汚いと言うか、すごく残念なシワであることは間違いありません。

 

シワが深くなりすぎる前に是非シューキーパーを使っていただきたい!

 

白い履きジワ

 

こんな風にシワが白っぽくなってしまう場合があります。
無色のクリームやワックスを使っていると、それのロウ分によって白っぽくなりやすいです。靴の色が濃いとこの白いシワも目立ちやすいですよね。

 

もしこれが気になると言う方は色付きのクリームを使われるのがよいでしょう!

 

 

新品の靴に履きジワを入れる

新品の靴を履き下ろす前に、履きジワを入れる『シワ入れの儀』というものがあります。
綺麗なシワが入るか不安だという方は、先にシワを入れてあげるといいかもしれません。

 

ペンでシワ付け

一応かかと浮いてます笑

 

新品の状態の靴を履き、シワを入れたい部分にペンを当てたまま、靴を屈曲させます。
別にペンでなくても大丈夫です。

 

これで思った場所にシワ入れをするという儀式ですね!

 

 

最後に

いろいろ見てきて、感じたことをまとめてみました。

 

・靴のデザインによって履きジワ映えするものとしないものがある(プレーントゥ、ホールカットは映えやすい)
・シワが深すぎると靴のデザインの良さを損ねる
・横でも斜めでも左右非対称でも、それ自体が履きジワを悪く見せるわけではない
・履きジワがひび割れになることだけは避けたい

 

 

好き勝手書きましたが、履きジワの良し悪しは結局のところ好みによるところが多い気がしています。
でも個人的にはストレートチップが好きなので、これからストチにだけは人口の履きジワを入れてから履き下ろしをしようかな…笑

 

履きジワつけないのは無理

というわけで、靴を履いて歩き回ると履きジワをつけないというのは無理!笑
履きジワを前向きなものと捉え、うまく付き合っていきましょう!

 

完全に消すことは難しいのですが、革靴の履きジワを伸ばすお手入れはこちらの記事でご紹介しています。
革靴の履きジワを伸ばす方法

 

 

 

僕にとってはシワって結構靴の見た目を左右する存在だと思っているので、がっつり記事にさせていただきました。個人的な好みに基づいた話でしたので、意見の一例としてお考えください。
また、履きジワを柔らかくする油分ベースのクリームも是非試してみてください。

 

 

最後までお付き合いいただきありがとうございました!

 

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  1. かずや より:

    ブローグ(ウイングチップ)の横ジワで画像にあげている御靴はどこのか知りたいです!
    教えてもらうことはできますか?

    何卒よろしくお願いします‍♀️

  2. かずや より:

    返信ありがとうございます!
    参考にさせていただきます

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