銀座てつじ屋さんに聞く、足と革靴と健康のお話

 

銀座のてつじ屋さんというお店のオーナーさんでもあられる、上田さんにお話を伺ってきました。
過去にはイタリアのマンニーナで靴を作られていたこともあり、現在はオーダーシューズはもちろん、靴と足と健康に関する講演などもされている方です。

 

 

ちなみにこちらの本『紳士靴完全バイブル』の監修もされている方です。

 

 

 

 

アポを取るためにご連絡をしたときにいただいた返信があまりに刺激的で。笑

 

「今の日本の靴業界にとって劇薬になるかもしれません」

 

ちょっとドキドキしながら当日上田さんのお話が聞けることをとっても楽しみにしていました。

 

 

今回僕がご紹介する話はかなり触りの部分なので、劇薬のビンのフタを開けたくらいのところ。僕にもわかりやすいようにかなり噛み砕いてお話してくださったのですが、ビンを覗くともっともっと強い薬が詰まっている気がしました。笑

 

 

いろんなこと書きますが、こちらの記事ではこんなような内容で記事を書いていくつもりです。

 

  1. フィッティングに関する間違い
  2. 足と靴と健康
  3. じゃあ我々はどうすればいいの?

 

少々長くなってしまいましたので、お時間のあるときに読んでみてください。

 

 

ウィズを気にしすぎている

ウィズを気にするのは日本とアメリカくらい。我々の靴選びに大きな間違いがあるとおっしゃいます。

 

ウィズを気にしても満足度は低いでしょ?って。それはそこに答えはないからなんです。
海外はウィズを表記してないところが多いです。それよりも大切なのはバランスだってことがわかってるからなんだそうです。

 

 

日本人は農耕民族だからか比較的筋肉が弱い。
そうなると立位と座位では、立位の時の方が内側アーチがぐっと落ちます。
でも世の中の木型は、潰れて外流れを起こした状態の足をもとにして作られている。そうなると内側のアーチを持ち上げることはできません。
土踏まずで矯正しようと市販のインソールを使うと、足の外側も持ち上げてしまうことになり、足が内に寄って親指をぶつけます。

 

結果、革靴は足が痛いからという認識が広まり、ふわふわのスポンジのような靴ができるということです。

 

 

斜めの履きジワ = 足に合ってない

 

靴の履きジワが斜めに入ってしまうのは、返りの位置があっていない…つまり靴の曲がるところと足の曲がるところが合っていないからなのだそうです。

 

ウェルトの靴は履き慣らしに時間がかかるのも間違いで、そりゃ足が曲がりたいところで曲がってくれないわけだから、違和感を覚えるのは当然だよねという話。

 

逆に足に合う靴は履きジワがまっすぐ横に入るのだそうです。
お話の中でいろいろ足の骨の名称らしきワードが出てきてもひとつもわからなかったのですが、要するにそういうこと。

 

上田さん曰く、紳士靴で言えばカルミーナはバランスがよくて、おすすめだということです。

 

 

内振りの解釈

 

土踏まずが内側に入っていることを内振りというのではなく、靴の中心線からどれだけ靴の内側が中に入っているか、ということが重要とおっしゃいます。
踏まずを入れるのであれば、カウンターを深くいれるのであればまだしも、カウンターが短いのであれば、踏まずのサポート力は強く足は落ちやすくなりますから。

 

僕は内振りがどうのという話をそれほど知らなかったんですが、気にされてる方多いんでしょうか?

 

 

上の写真、木型の中央線(履き口のあたり)から、前足部がどれだけ内側に張っているか、というところを見比べてみてください。
ちなみに、右は昔の日本のメーカーの木型だそうです。

 

 

中底の調整をしてもらう

 

ということで、おもむろに入れてもらったこちらのインソール。
なかなかの厚さだってこともあると思いますが、足裏をガチッと固定してくれるような安定感を覚えます。

 

靴底の形は決して変わっていないのに、足裏がより地面を捉えている感じ。
この状態で、足を90度に開いてお尻に力を入れて深呼吸をするとすごく背筋が伸びていることに気付きます。
姿勢に関しては全くの無意識だったのと、とにかくこの安定感には感動です。

 

 

好きだけどどうしても合わない靴をお持ちの方には、この中敷を是非体験してほしいです。
7,000円と少々お値段はかかりますが、適当に選ぶインソールよりよっぽど安心です。まだこの後にもいろいろ書きますが、この記事で一番お伝えしたいことはこのインソールの話です。
この感覚を是非知っていただきたい。

 

さらに、履きジワが親指に当たって長時間履くと痛く感じる靴でしたが、このインソールを入れてもらったらすぐその痛みが解消されました。
柔らかいインソールは足が固定されないので、よくないそうです。
履き心地は優しく感じますが、足の形や姿勢には悪い影響を与えかねません。

 

 

手際よくインソックを剥がし…

 

 

 

 

カットして貼る。

 

 

インソックもちゃんと貼り直してもらえます。

 

 

 

ちなみにインソックを外すとこんなスポンジ状の敷物が出てきます。
これは靴に足を入れた瞬間はいいのですが、このクッションによって足が固定されない要因のひとつになるため、ふくらはぎのあたりの筋肉が疲れます。
だからこれを外す。

 

アウトソールが柔らかくなるぶんにはいいのですが、足を固定するための中底を過度に柔らかくするのは、靴屋さんで試着したときの印象をよくするためだけとおっしゃいます。
なるほどね。

 

 

足と靴と健康寿命

足に合わない靴を履くことへのデメリットについてもお聞きしてきました。

 

 

足が本来の形を保てないと足や腰が傾き、姿勢が悪くなります。
姿勢が悪くなると肩甲骨が前に出て肺の容量を圧迫するため、呼吸の効率が悪く脳も活発に働きません。

 

最近効率がよくないなぁとか、ルーティーンワークも遅くなってきたなぁとかそういうのを年のせいかと思えばそうではなく、姿勢のせい。
気力がないのも姿勢のせい。

 

「精神疾患が増えてるのも全部姿勢のせい!」

 

 

横隔膜が使えないと体幹も弱まる。内臓は体幹があってはじめて正しい位置にとどまるのに、体幹が弱ることによってずれる。
そうすると胃腸系を壊す。

 

というように、足と姿勢、姿勢と健康は大きく関係しているとおっしゃいます。

 

 

健康寿命と寿命の差は10歳と言われています。
もし仮に、余命で10年で80歳を迎えた時、まったく歩くことができない終末期を迎えるのって幸せですか?
もし今足に合った靴を選ぶことができたら、足、腰、姿勢を本来の状態で保つことができ、より健康な状態を保ったままその終末期を迎えられるとしたら、それはすごく幸せなことだと思いませんか?

 

 

ちなみに、足にはある程度の刺激が必要です。
刺激を与えないと将来的に足の力が落ち、さらに足に合ってない靴を履き続けることで、姿勢が悪くなることもあります。

 

姿勢がいいとは、耳たぶ、肩、腰が全て一直線になっている状態。
姿勢によって人間の健康状態が大きく左右されます。だから、足に合う靴を選んで、人間本来の姿勢を保ち健康に人生を歩みましょう、ということです。

 

 

足に合わない理由を考えることが大切

足に合う靴を探すこともひとつの楽しみですが、なぜ足に合わないかってことを考えたことありますか?
革靴なんて決して安い買い物ではありませんから、それは失敗と思ってもしまっても当然ですが、それをきっかけになぜ自分の足に合わなかったのかをしっかり考えて次に繋げないといけません。

 

木型が合う合わないはちょっと置いといて、自分の足の特徴を知るところからはじめてみませんか?

 

 

だからまずは自分の足を測ってみましょう。
ただ闇雲に一般的に合うと言われている靴を履くのもいいけど、それと同時に自分の足にはなぜこの靴が合わないのか考えてみましょう、ということです。

 

いやぁ、ここが難しいんですけどね。
まぁ、でも確かなことは上田さんに会いにいけば、確実に自分の足への理解が深まります。

いろいろ試して足に合う靴を探すというアプローチではなくて、足を知ってどういう靴が足に合うのかを考える、という言い方の方がよいでしょうか。
さっきのインソールの話も含めて、是非銀座のてつじ屋さんで直接お話を聞いていただければと思います。

 

 

選び方のポイントとしては、ウィズ(ボールガース)のフィット感を判断するのではなく、その少し上の二の甲(ウエストガース)の部分で強く締めるあげるかどうかが正解です。
そうすればアーチが落ちるのを補正し、足が外に流れるのを防ぐことができます。

 

 

靴の売り方の話

靴のサイズ感や履き心地をもっと可視化できないかというのが上田さんのご提案。
今、靴売り場はどうしてもブランド別で靴を並べています。

 

デザインやブランドで選ぶ方がいるのは当然。
好みの靴を探すのも革靴の楽しみ方のひとつだと思います。間違いない。

 

 

でも、例えば靴がすべて、サイズ、甲、幅、バランス…というようにでこんな感じのグラフで見えるようになっていれば、もっともっと選びやすいですよね。
そういう取り組みをしていきたい、とおっしゃいます。

 

ちなみに、上田さんが監修されの本にも、足で選ぶ靴のブランドのページがあります。
是非参考にしてみてください。(108ページ〜)

 

 

 

世界共通のサイズ表記があるといいですよね、と。
足長や足囲だけでなく、かかとのサイズとか他の部分のサイズ感も全部、例えばアルファベット表記ですべて世界共通のものをつくって、世界中の靴業界を繋げることでもっとビジネスを発展させたり、靴の需要と供給のマッチングをさせたり、できたらいいのにという規模の大きなお話をされていました。

 

おもしろかったです。

 

 

スニーカー『だけ』はおすすめしない

足って刺激することで脳が活性化されるのご存知ですか?

 

本当なら革靴くらいの硬さの靴がちょうどいい。
今後スニーカーが増えてしばらくすると足の骨折が増えると思います、と。

 

年齢が年齢だと寝たきりになり、足も脳も使わないので余計に認知症が増える。経営者がよく体への投資を怠らないみたいな話ありますが、それに通ずるところがあるように思います。
だから、スニーカーだけを履く生活はおすすめしません。

 

ちなみに箱根駅伝のある区間で履かれているスニーカーのブランドはナイキがほとんどなんだそうです。
日本人のランナーが履く靴が海外の靴という事実。

 

メーカーは売れるからつくる。足にいいかどうかは、その次ですよね。
それを変えたいと上田さんはおっしゃいます。

 

 

靴業界の見えない敵

「靴業界は見えない敵と戦ってるんですよ。」

 

と業界を揶揄するのは決して悪意があるからではなく、靴の業界に対して今一度木型と向き合ってほしいという上田さんの想いなのだと思います。

 

 

やはり靴を形作る上で一番重要なのは木型。

 

確かに木型を難しいと考える人は多い。なんとなくそう思い込んでしまうのは、あまり情報がないからかもしれません。(我々一般人にとってわかりやすい情報という意味)
医学的な論文なんかは多分たくさんあるんでしょうけど、それを読み漁ってまでどうのこうのというのはなかなかエネルギーが必要です。

 

 

革靴は世の中でこんなにも履かれている靴なのに、多くの人が革靴のことで苦労しているという今の現実。
それを変えるために、上田さんの中に湧き上がる溶岩のようにグッツグツに煮えたぎった劇薬のビンの中を覗きたいと思ってくださる方が増えればという想いで、この記事を書いています。

 

革靴が売れないと嘆かれます。
スニ活のことはどうでもいいけど、世の中から革靴というものがなくなってしまうのは寂しい気がしてなりません。

 

 

そういえば少し前に「スーツがつまらないものになったのは我々のせいです」っていうスーツカンパニーかどっかの広告をスマニューで見たのを思い出しました。
ズルい広告ですけど、このコピーでページを開いちゃうんですよね。笑

 

 

最後に

可能なら足と木型の相対性理論をアインシュタインと話したいとおっしゃってましたが、上田さんの内側からは何というか湧き上がる溶岩のようなモチベーションを感じます。

 

足の感覚が敏感な人は、経営感覚とか分析能力にも長けているらしいです。
足が鈍感な人は全て鈍感と。(耳が痛い

 

 

はじめてお会いするのに、いろんなことをお話してくださいました。
このとき伺ったお話をすべて的確に記事にできたかというと正直自信がありませんが、読んでくださる方にわかりやすいように僕なりに掻い摘んでご紹介させていただきました。

 

この『紳士靴完全バイブル』も、足の測り方も細かい計算式も載っていますし、かなり盛りだくさんな本です。
上田さんの要素が100%詰まった内容ではないようですが(図らずも!)、基本的なことだけでなく靴選びについてかなり濃く紹介されています。

 

 

気になった方は是非ご覧になってみてください。

 

 

あと、先ほどご紹介したインソール。
好きな靴だけどどうも履き心地が…という方は是非銀座のてつじ屋さんに相談に行ってみてください。
今までにない履き心地が体験できると思いますよ。

 

 

 

定休日 火曜、水曜
営業時間 10:00~19:00
住所 〒104-0061 東京都中央区銀座1-20-6 HFシングルレジデンス1F
電話 03-3564-1192
webサイト https://tetsujiya.com/

 

 

大丈夫です。
怖い方じゃないですからね!

 

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

革靴の磨き方もご紹介しています!

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レザーシューメディア・くすみ
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1986.9.25 愛知県生まれ
趣味で靴を磨いて8〜9年。革靴・靴磨きに関して情報発信をしています。自分のやりたいことをして生きる人生を模索しています。
音楽と甘いものも好きです。
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