足に合う靴を、足長と足幅からのアプローチで選べるというおもしろい取り組みがあり、以前動画を撮影させていただきました。
足が細い方や幅が広い方、また、購入する革靴がいつもイマイチフィットしないなあ、と感じている方に是非知っていただきたいサービスです。
簡単にお伝えするとこうです。
- 計90の試着サンプル
- 24.0〜28.0cm
- C〜EEEの5ウィズ展開
- ドレスとローファーの2木型
- 低反発インソール
- セメンテッド製法
中でも最も重要なのは3つめ。
ひとつのサイズに対してC〜3Eまでの5つの幅で試着サンプル(基準靴と呼ばれます)を展開していて、足長だけでなく幅という概念を理解した上で、合う靴を選べるというサービスなのでございます。
Tokyo Foot Tailor というブランドで、3月に虎ノ門ヒルズで開催されていたイベントにお邪魔して、そのときオーダーした靴が届きましたので、その靴とあわせてご紹介させていただきます。
基準靴は各5ウィズの計90種類
ウィズ(width)というのは靴の幅を意味する言葉で、多くのメーカーはウィズを表記していないか、そもそも同じサイズでウィズ違いの靴を展開していないメーカーが多い状況。
しかしメーカーや販売店としては、同じサイズの靴でウィズを展開しようと思うと、在庫を抱えるというデメリットがあるので、こればっかりは難しいところです。
足長は標準的だったとしても足が細い方や幅が広い方は、なかなか足に合う靴が見つからないという話はよく聞くわけですが、このサービスでは、同じサイズの靴でも、C、D、E、EE、EEEという狭いものから広いものまで5つの幅の基準靴があります。
そんな幅の展開を広く持つことによって、靴選びの難しさを解消するのがこのサービスです。
仮に足の長さが25.0cmだったとしても、人によって足幅が細い方や広い方がいるので、幅という概念を認識してもらいたいという目的も兼ねたプロジェクトでもあります。
サイズは24.0〜28.0cmの9サイズで、それぞれに5ウィズの基準靴があるので、基準靴の種類は45種類。
さらに、紐靴用木型とローファー用木型の2種類があるので、45種類 × 2木型で、90種類の基準靴の中から足に合うものを選べます。
さらに靴の難しいところは、少しキツめが好きな人や、逆にゆったりめが好きな人など、人によって履き心地の好みがあることです。
このサービスでは、基準靴を履き比べてその好みを知ることができます。
ブランドや靴のデザインで選ぶのも靴の楽しさのひとつですが、足を支えて歩行を補助する道具という側面から靴を見ると、足長や足幅からアプローチして足に合う靴を選べるという、靴選びの本来あるべき姿を体現したようなサービスです。
オーダー後、約2ヶ月で納品
常設の店舗があるというわけではなく、定期的にスペースを借りてイベントをされているようです。なので、商品の在庫はなく、基準靴を履いて気に入ったらオーダーをするというかたちで展開されています。
90種類もの基準靴を保管するとなると、販売する商品の在庫を保管しておくスペースはないでしょうから合理的かと思います。
ただ、オーダーのいいところは好きな革を選べるところ。
革によってアップチャージがかかる場合もありますが、複数の色を組み合わせたり、好きなようにオーダーできます。
1足1足オーダーを受けて作るので、量産靴のように単価を下げるのは難しいようですが、それでも4〜5万円程度で靴がパターンオーダーできるのと、何より足に合うものを探せるので、その2点は魅力ですよね。
僕は普段23.5cmの靴を履いていますが、基準靴が24.0〜28.0cmだったのが残念でした。
それよりも足の小さい方、逆に大きい方もいらっしゃるので、そういう方のためにも、サイズの展開は増やしていただきたいところです。
オーダー靴なら尚更、在庫を抱える必要はないわけですから、JIS規格の20〜30cmを全て網羅していただき、「基準靴」という名前とこのサービスを世の中に知らしめていただきたい。
ちなみに23.5cmが無かったわけですが、僕は24.0cmのCウィズの靴でも履けたので、3月頭にオーダーして5月中旬に届いたという感じです。
約2ヶ月なので、割と早いですね。
でもほんとは、23.5cmのCとかDで履いてみたかったというのが正直なところ。
ローファーならもっと薄いソックスを履くので、極限まで攻めたフィッティングでも試したかったからです。
サイズが網羅されてないのは、やはりちょっと寂しいですよね。
マネージャーの方へ、是非展開増やしてくださいとお伝えしておきました。笑
底付けはセメンテッド
Tokyo Foot Tailor の靴の底付けはセメンテッド製法です。
特許製法なので正式名称は「セメンテッド製法」ではないみたいですが、それに近い製法です。
修理には向かないけど、柔らかく楽な履き心地が特徴。
低反発のインソールが入っているので、クッション性も高めです。
今の時代、3万円出せばグッドイヤーやハンドソーンの靴が買えるわけですが、修理をして長く履けるという点で見れば、当然ウェルト靴の方がコスパはいいですね。
3〜5万で良いウェルト靴はたくさんありますからね。
しかし、セメンテッドの靴も侮ることなかれです。
とにかく楽なのが最大のメリット。足元もすっきり見えるのもよいところ。
僕はウェルト靴も大好きですが、最近はセメンテッドやマッケイのような柔らかい靴も好きでして、特にセメンテッドには履き心地の楽さという魅力を感じています。
ソールの屈曲が良いので、毎日毎日バンバン履かなければ、ソールがゴリゴリ削れることもありませんので、カジュアルなローファーなんかにはむしろいいのではないかとすら思っています。
このあたりは好みが分かれそうな部分ですかね。
ちなみに、Tokyo Foot Tailor の靴は、1度のみオールソールが可能という記載が説明書にあります。
本底の張り替えと中底の交換をして、17,600円です。
中敷の交換も8,800円で対応してもらえるようですね。
ダブルモンクローファー
デザインはダブルモンクのローファーにしました。
私事ですが、ローファーと名のついた靴は一通りコンプリートするのが夢ですので、その夢に向かって着実に歩みを進めている最中。
アノネイのスムースもエイジングを楽しめそうで魅力的でしたが、楽を選びました。最近はスエードが好きで履く機会も増えましたので、エイジングはええかなと。
革は英CFステッドというタンナーの少しくすんだブラウンのスエード。
ブラウンでもダークブラウンでもないこの色、スーパー好みです。デザインバランスもかわいいですよね。
ダブルモンクですがローファーなので、当然のことながら履き口が広めです。
セメンテッドなのでソールのボリューム感がなく、足元はかなりすっきり見えそうです。
フルインソックで低反発のクッション素材が入っています。
上から見ると、ストラップのバックルは結構外側についてるように見えますが、斜めから見るとそうこまででもないかなぁという印象です。
かかとまわりもすっきりしてていいですね。
甲の部分は革が重なっているデザインなので、どうシワが入るのか気になるところです。
スエードスプレーとライニングにデリクリという簡単なプレメンテで、晴れの日を待ちたいと思います。
次回は2023年秋以降にFITTING EVENTを予定とのことです。
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