ブランドユニオンインペリアル [Union Imperial]

ユニオンインペリアルの木型、徹底解説!! [Union Imperial – U2002]

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以前、木型木型と騒ぎ立てたユニオンインペリアル [Union Imperial] のメーカー、世界長ユニオンさんの取材記事がございましてこちら、そのときオーダーさせていただいた靴が届きました。

 

黒の靴ってやっぱいいなぁって思う時期と、茶色の革をいい感じにエイジングしたいよねって時期とが、定期的あスパンで僕の靴欲を掻き立て、悩まされている今日この頃。
今回は好きな明るめの茶色でございます。

 

デザインはご覧の通りなのですが、今回は靴を作るときの木型について詳しくお話をしていきたいと思います。
つまり歩きやすさとか、履き心地とか、フィット感とかどうなのかって話。

 

 

アレデードセミブローグ

 

アデレードのセミブローグ。
靴のバランス、素敵です。形も丸みがあってかわいい。

 

 

ところどころ革の継ぎ目の接着が甘いところがちょっと気になりますが、今回はそんなに重要じゃないというか、メインでお話したいのは木型の話なのでもう少しお付き合いください。

 

 

 

底付け。
マニアックな話で恐縮ですが、ウエストからかかとまでの繋ぎ方、好きです。ボールガースからかかとまでストレートにつながっているこの感じ。

 

 

 

他の同じサイズの国産の靴と比べてみると、ウエストの外側の絞り込みが効いている印象です。
あとボールガースの位置も比較的前にあります。このあたりも履き心地に関係してる気がします。

 

 

 

ちなみにですが、キングヤードのシューツリーがしっくりきましたので、ひとつ買い足そうと思います。笑

 

 

 

 

グッドイヤーウェルテッド

ユニオンインペリアルには現在4ラインの商品展開があります。

 

プレミアム ハンドソーン ¥48,000
プレステージ ハンドソーン ¥39,000〜¥43,000
グッドイヤー グッドイヤー ¥36,000〜¥38,000
直営店限定モデル ハンドソーン ¥48,000〜¥63,000

 

今回はこの中でも一番安価なグッドイヤーウェルテッドラインのものです。
お値段は ¥36,000(税別)です。U2002というモデル。とにかくやっぱりこの色はいい。
うん、いい。

 

あのね、これアノネイの革だよ

 

3万円台なので、つまり入門靴としての価格設定と考えてよいと思うのです。
3万円台で購入できる革靴はいくつかありますが、その中でも特に木型の特徴を謳っているブランドですので、木型について詳しくご紹介してまいりたいと思います。

 

 

木型の特徴

ユニオンインペリアルの木型には5つの特徴があります。

  • かかとの形状:2種類
  • 靴の全長:2種類
  • つま先の形状:3種類
  • (ウィズ):2種類
  • 甲の高さ:3種類

 

 

この5つの組み合わせで、現在は全部で14種類の木型があるようです。

 

木型名 かかと 全長 つま先
S74 3E 後方屈曲 ショート スクエア 3E やや低め
S76-1 3E 後方屈曲 ショート ラウンド 3E やや低め
S50-1 3E 後方屈曲 ショート カントリー 3E やや低め
S42 3E ストレート ロング セミスクエア 3E 標準
S53 2E 後方屈曲 ロング ラウンド 2E 低め
S261 3E ストレート ロング ラウンド 3E やや低め
S54 3E 後方屈曲 ロング ラウンド 3E やや低め
S122 3E ストレート ロング ラウンド 3E 標準
S111 3E ストレート ロング スクエア 3E 標準
S27 3E ストレート ロング ラウンド 3E 低め
S60 2E 後方屈曲 ロング ラウンド 2E 低め
S65 2E 後方屈曲 ロング スクエア 2E 低め
S69 3E 後方屈曲 ロング ラウンド 3E やや低め
S77N 3E 後方屈曲 ショート ラウンド 3E 低め

スマホの方見にくいですね、ごめんなさい

 

かかとの形状:2種類

 

まず、ユニオンインペリアルの靴はかかとが小さめです。
さらに『後方屈曲木型』という、かかとが外側にぐいっとねじれている木型が使われています。
上の写真、中心線より外側にかかとがあるのがわかります。今回の靴の木型は S60 2E ですが、上から見るとやっぱりこの靴もかかとがねじれています。

 

 

 

こうすることで、足の向きを補正して小指が当たるのを防いでくれるようです。
まっすぐな人生を歩みなさいと、そういうことを教えてくれる靴なのかもしれません。

 

左:従来の木型、右:後方屈曲木型

 

履いてみると、確かにかかとの内側に程よい圧迫感を感じます。
足の向きが補正されているかどうかはわかりませんが、僕がいつも当たって痛くなる左足の小指付け根の骨は全く痛みを感じません。先ほどお伝えしたボールガースの位置が少し前なのも関係があるかも。
とにかく良い。

 

また、かかとの丸みもあって、歩いてもスポスポ抜ける感覚はありません。インポートブランド、特に英国靴はかかとが大きいものがほとんどなので、それが気になる方は是非足入れをしてみてほしいです。

 

靴の全長:2種類

 

靴の全長は2種類。
どちらかと言うと、全長というよりはつま先なのですが、ロングノーズとショートノーズの2種類。

 

今回の靴はロングノーズなのですが、そんなにロングノーズ感はありません。むしろオーセンティックな英国靴のような雰囲気です。ロングノーズかどうかは、もちろん木型の形で決まるわけですが、その他にもレースステイの部分の長さ、というか靴のデザインのバランスも影響してくると思います。

 

でもそれはあくまで見た目の話。足に合う合わないの話をするなら、細くて長い足には合いやすい形であると言えるでしょう。

 

ちなみに、ショートノーズのモデルも確かにショート感はあります。でも甲も薄くなっていて野暮ったさはないし、いやむしろこれはこれでバランスとしては素敵です。
これも見た目のスタイルの好みはあると思いますが、足が細くて長い人が履くとつま先に圧迫感を感じるかもしれません。

 

つま先の形状:3種類

 

つま先の形状は、スクエア、ラウンド、カントリーの3種類です。正確にはセミスクエアもあるので4種類です。

 

こちらはラウンド。
ラウンドはラウンドでいいけど、スクエアもこれはこれでいいですね。

 

ユニオンインペリアル公式サイト

 

ユニオンインペリアルの靴は内羽根の靴が多い印象ですが、一部ローファーや外羽根の靴もあります。
ローファーは紐がある靴のようにフィット感の調整ができませんから、ローファー用に調整した木型。そして外羽根の靴もカントリー系の丸みのある木型が使われているモデルもあります。

 

幅(ウィズ):2種類

 

基本的には3Eのモデルが多いですが、こちらは2E。

 

ウィズの表記ってすごくややこしくて、海外ではブランドごとにEとかFを自由につけてるわけですが、日本には JIS規格というものがあって、海外のものとは規格が違います。
日本の JIS規格は、靴の全長とボールガース(指の付け根)の寸法を一覧にしたものなので、足の幅が広いか細いかはなんとなく判断できても、甲が高いか低いかの判断はできないわけです。それはインポートブランドも一緒なので、そもそもJIS規格に関係なくウィズで靴を選ぶことって難しいわけですね。

 

僕はどちらかというと足は細い方ですが、JIS規格で換算すると、3Eと4E になります。
なので、インポートブランドで慣れている方はウィズの感覚が違うかもしれません。実際、世界長ユニオンの方も3Eが2Eくらい、2EがEくらいでちょうどいいかもしれませんとおっしゃってました。

 

甲の高さ:3種類

 

ユニオンインペリアルの木型は基本、甲が低めです。
今回の木型も一番甲の低いものでしたが、なかなかのフィット感です。指の上に隙間を感じませんし、甲全体でフィットしてくれる感覚と言いましょうか。甲とかかとでホールドしてくれてる安心感を覚えます。

 

靴によっては靴紐をキツく結ぶと、甲が圧迫されて痛くなる靴ってありますよね。この靴はそれがありません。恐らく、木型の中心線より内側にボリュームを持たせている足なりの木型だからなのかと思います。

 

 

これを知ってて履くのと知らないで履くのでは感じ方も違う気がしませんか?是非百貨店で履いてみてください。

 

 

 

日比谷OKUROJI

 

そうそう、日比谷OKUROJI というJRの都市開発のための商業施設に世界長ユニオンさんの直営店がオープンしました。
有楽町からアクセスすると近いです。

 

こちらは直営店限定モデルしか売られていないのと、スニーカーも置いてあるので、革靴はそんなに多くありませんが、近くを通られた方は是非。

日比谷 OKUROJI webサイト

 

 

最後に

 

ゆったりめで履くのがお好きな方もいらっしゃると思いますが、どの靴を履いてもブカブカだとかタイトで靴を履くのがお好きな方には、合いやすいように設計されている木型かと思いました。
甲が薄く幅が狭い方には是非知っていただきたい履き心地です。甲高幅広の方は外羽根のカントリーのモデル一択です。笑

 

それでも、万人に合う木型なんてありませんから、どこか一点に絞って設計された木型ならそれでいい。それを知っていただくことに意味があると思います。

 

個人的には、土踏まずをもう少し持ち上げてくれる感覚があると嬉しいなぁと思いましたが、気持ちよく履けたこの感覚を是非多くの人に知っていただければと思います。

 

 

Union Imperial 公式サイト

 

 

 

 

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

 

ユニオンインペリアルの木型設計について聞いてきました [Union Imperial]
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  1. […] 革靴ジャーナリスト/ブロガーの楠美皓平氏が、ユニオンインペリアルの木型を徹底解説してくださいました!! […]

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