世界には様々な歴史ある有名革靴ブランドが存在しています。
ブランドによって特徴は様々なのですが、おもしろいことに国別でも靴のつくりやデザインに特徴があるのです。
そこで、有名ブランドの存在するイギリス、イタリア、フランス、アメリカ、スペイン、ドイツ、日本の7ヶ国の特徴と国ごとの有名ブランドをまとめてみましたので、是非お時間のあるときに目を通してみてください。
シューラバーの皆さまはすでにご存知かもしれませんが、最近革靴に興味を持ち始めた方に是非知っていただきたいと願っています。もちろん長年シューラバーをされてる皆さまにも新しい発見があるかもしれません。
今後靴を購入される際に参考になれば嬉しいです。
長くなりますが、お付き合いください!
※掲載しているブランドは50音順になっています。
国別の特徴
長くなるので、まずは国別の特徴だけ先に比較してみたいと思います。
イギリス | ・歴史と伝統と普遍的なデザイン ・丈夫で耐久性に優れている |
イタリア | ・見た目重視のエレガントなデザイン |
フランス | ・イギリスとイタリアの良いところをもつ ・洗練されたデザイン |
アメリカ | ・履き心地や頑丈さ重視のデザイン |
スペイン | ・スタイリッシュでありながら丈夫 |
ドイツ | ・頑丈さと実用性重視のデザイン |
日本 | ・技術力が高い ・日本人の足にあったデザイン |
超ざっくりわけると…
機能性重視なのはイギリス、アメリカ、ドイツ
見た目重視なのはイタリア
その中間がフランス、スペイン
といった感じでしょうか。
日本はあえて外しています。技術力は高いみたいです。
それでは国ごとにもっと詳しく見ていきましょう!
イギリスの革靴
イギリスは、歴史が長く伝統的なデザインが特徴のシューブランドが多いようです。
靴の丈夫さとを裏付ける長い歴史と伝統があり、グッドイヤー・ウェルテッド製法でつくられた靴は10年、20年履き続けることができると言われています。
特徴 | ・歴史が長く伝統的なデザインが多い ・頑丈・耐久性に優れている ・質実剛健と表現されることも |
デザイン | ・普遍的なシルエットで伝統的なデザイン ・ドレスシューズや、カントリーブーツが多い ・甲の部分が自然にせり上がっている |
製法 | ・グッドイヤー・ウェルテッド製法 |
イギリスの有名革靴ブランド
- Alfred Sargent(アルフレッドサージェント)
- CHEANEY(チーニー)
- Church’s(チャーチ)
- CROCKETT & JONES(クロケット&ジョーンズ)
- EDWARD GREEN(エドワードグリーン)
- GAZIANO & GIRLING(ガジアーノ・アンド・ガーリング)
- GRENSON(グレンソン)
- GJ Cleverley(ジョージ・クレバリー)
- JOHN LOBB(ジョンロブ)
- Tricker’s(トリッカーズ)
CROCKETT & JONES
美しく機能性も追求した靴が特徴的です。革の質も良く、世界一多くの木型を持つブランドとしても有名で、靴のデザインの豊富さと素材選びが優れています。
Audley(オードリー)というモデルがオーソドックスかつ美しいストレートチップのモデルです。
EDWARD GREEN
洗練されていてとにかく高品質なのが特徴のブランドです。
他のブランドのような華やかさはないかもしれませんが、その品質故長く履けるのが素晴らしいところです。
Chelsea(チェルシー)やBerkley(バークレー)といったモデルが有名なストレートチップのモデルです。
JOHN LOBB
キングオブシューズと言われています。もともとはビスポーク(注文生産)の革靴で有名なブランドです。エルメスの傘下に入ったことにより既成靴としても有名になりました。革の素材や生産技術において徹底したこだわりを持っています。
PHILIP II (フィリップ2)というモデルはシューラバーの皆さまなら必ずご存知のモデルです。
イタリアの革靴
イタリア製の靴は、丈夫さよりも見た目重視のものが多いようです。
全体的に、シュッとして細身のフォルムだったり、染色や仕上げが特徴的な靴が多く、イタリアというお国柄が靴にも存分に現れています。
特徴 | ・丈夫さより見た目重視 ・染色や仕上げに凝っている |
デザイン | ・トレンドを取り入れたエレガントなデザイン ・スラッと締まったフォルム ・ソールが薄く、コバ飛び出していない |
製法 | ・マッケイ製法 ・ブラックラピド製法 |
イタリアの有名革靴ブランド
- a.testoni(ア・テストーニ)
- ARTIOLI(アルティオリ)
- Bettaccini(ベッタチー二)
- Dolch & Gabbana(ドルチェ&ガッバーナ)
- Enzo Bonafe(エンツォ・ボナフェ)
- F.lli Giacometti(フラテッリ ジャコメッティ)
- Salvatore Ferragamo(サルヴァトーレ・フェラガモ)
- Santoni(サントーニ)
- Silvano Lanttanzi(シルバノ ラッタンツィ)
- Stefano Bemer(ステファノベーメル)
ARTIOLI
デザイン性ファッション性に重きを置いたデザインの靴が特徴的です。
それ故、耐久性では少し劣る部分がありますが、革の品質は最高品質で製品のバリエーションも多いようです。
Santoni
洗練されたデザインを追求、アッパーのハンドペインティングが特徴のブランドです。
また、靴のデザインによっては製法を変えるほど、デザインや品質を追求していく姿勢を持っています。
フランスの革靴
イギリスとイタリアのいい所を併せ持ったデザインが魅力と言われています。
イギリス的な伝統的要素の強いブランドは「J.M.WESTON」「Paraboot」、イタリア的な芸術性の高いブランドは「Aubercy」「Berluti」「Corthay」などが有名です。
ただいずれにしても、伝統、芸術性、革新性のバランスに優れ、エレガントなデザインの靴が多いようです。
特徴 | ・イギリスとイタリアの良いところを併せ持つ ・伝統、芸術性、革新性がバランスよく混在する |
デザイン | ・洗練されたデザイン ・クラシカルなものもあれば、エレガントなものもある |
製法 | ・マッケイ製法 ・ノルウィージャン製法 ・グッドイヤー・ウェルテッド製法 |
フランスの有名革靴ブランド
- Aubercy(オーベルシー)
- Berluti(ベルルッティ)
- Corthay(コルテ)
- J.M.WESTON(ジェイ・エム・ウェストン)
- Paraboot(パラブーツ )
Berluti
伝統的でありながら、それ以上に芸術性における魅力が特徴的なブランドです。
エレガントで大胆なデザインの靴が多く、レザーに色を塗り重ねることで独特の色味や質感を表現した靴が多くみられます。
J.M.WESTON
ローファーが定番のブランドです。スタイリッシュでありながら、機能性も耐久性も高いローファーが人気です。もちろんローファー以外の靴もあります。
アメリカの革靴
ヨーロッパの靴づくりに見られるような、美しさや芸術性とは少し違い、履き心地や機能性に重きを置いた丈夫な靴づくりが特徴的です。
つくりもつま先がゆったりしたものが多く、歩きやすさを重視するあたり、なんとなくアメリカのお国柄を垣間見れます。
特徴 | ・履き心地、丈夫さなど機能性重視が多い |
デザイン | ・ゆったりしたデザインの靴が多い ・ビジネス、カジュアル、ドレッシーなものが揃っている |
製法 | ・グッドイヤー・ウェルテッド製法 |
アメリカの有名革靴ブランド
- Alden(オーデン)
- Allen Edmonds(アレンエドモンズ)
- Bass(バス)
- Cole Haan(コール・ハーン)
- FLORSHEIM(フローシャイム)
- Johnston & Murphy(ジョンストン&マーフィー)
Alden
高い品質の素材を使い、耐久性と履き心地の良い靴で有名なブランドです。
ランドセルにも使用されるコードヴァンと呼ばれる艶のある革を使い、ゆったりした丸みのあるデザインが特徴的です。
スペインの革靴
コストパフォーマンスが高いのが特徴です。
イタリア製の靴にみられるようなスタイリッシュなものが多い傾向にありますが、グッドイヤー・ウェルテッド製法による丈夫な靴が多いのも特徴です。
品質も良い割りに、値段もそれほど高額というわけではなく、コストパフォーマンスの良い靴が多い印象です。
特徴 | ・コストパフォーマンスが良い ・スタイリッシュでありながら丈夫でもある |
デザイン | ・イタリアのようなスタイリッシュさを持つ |
製法 | ・グッドイヤー・ウェルテッド製法 |
スペインの有名革靴ブランド
- BERWIXK(バーウィック)
- CORDWAINER(コードウェイナー)
- CARMINA(カルミナ)
- MEERMIN(メルミン)
- MAGNANNI(マグナーニ)
- TLB MALLORCA(TLB マヨルカ)
- YANKO(ヤンコ)
YANKO
グッドイヤーウェルテッド製法で作られた靴が耐久性と履き心地が特徴の一つです。
今までイギリスの靴に見られるような伝統的なデザインの靴が多かったのに対し、最近はロングノーズのエレガントなデザインのものも増え、ラインナップの多さも注目されています。
MAGNANNI
足を包み込むような履き心地が特徴的なブランドです。
オパンケという特殊なデザインで足を包み込む形をしています。履き心地だけでなく、ロングノーズでエレガントなデザインの靴も多く、品質・機能・価格ともに優れたブランドです。
ドイツの革靴
イタリアやフランスのような他のヨーロッパの国とは違い、実用性重視した靴づくりが特徴です。
そのせいか、厚底でソールが大きめのデザインが多い傾向にあります。
特徴 | ・実用性が高い |
デザイン | ・厚底でソールが大きいものが多い |
製法 | ・トリプルソールハンドソーンウェルテッド製法 |
ドイツの有名革靴ブランド
- EDUARD MEIER(エドワード マイヤー)
- HEINRICH DINKELACKER(ハインリッヒ ディンケラッカー)
HEINRICH DINKELACKER
高品質の素材で機能性を重視した靴が特徴のブランドです。
人の足の形状にかなったインサイドストレート&アウトサイドカーブというスタイルの木型を使い、履き込むと足に馴染むソールを使用しており、履き心地がよいことで有名です。
> HEINRICH DINKELACKERのウェブサイトはこちら
日本の革靴
欧米と比べるとまだまだ歴史の浅い日本製の革靴ですが、その技術力の高さは他国と比べても引けを取りません。色ムラは無く、ステッチが正確で、仕上げが非常に丁寧にと言えます。
さらに、日本人の文化『通勤』という苦行でも、ムレにくい・疲れにくい機能的な靴も増えてきているということもあり、やはり日本人の暮らしに合った靴が多いのではないかと思います。
オーソドックスなビジネスシューズ以外にもスタイリッシュなものやドレッシーなものも年々増えているようです。
特徴 | ・歴史は浅いが技術力は高い ・つくりや仕上げが丁寧 |
デザイン | ・ビジネスシューズは機能性も優れている |
製法 | ・セメント製法 ・グッドイヤー・ウェルテッド製法 |
日本の有名革靴ブランド
- MIYAGI KOGYO(ミヤギコウギョウ)
- OTSUKA M-5(オーツカエムファイブ)
- Perfetto(ペルフェット)
- REGAL(リーガル)
- SANYO YAMACHO(三陽山長)
- SCOTCH GRAIN(スコッチグレイン)
- SHETLAND FOX(シェットランドフォックス)
- UNION IMPERIAL(ユニオンインペリアル)
日本製の靴については我々日本人の足にあった靴づくりをされているということもあり、個人的に非常に興味があるので、また別の記事でいろいろ調べてみました!
最後に
とにかく国別の特徴を知っていると、我々シューラバーとしては靴を選ぶときにデザインなのか丈夫さなのか履き心地なのか、何を基準に選ぶのか参考にしやすいのではないでしょうか。
革靴って決して安いものではないじゃないですか。
せっかく買うのであれば、自分が一番納得して買える靴を選びたいですよね。そんな時に是非参考にしていただければと思います。ご自分にあった最高の一足に出会えることを祈っています。
そして、時代背景や歴史が大いに関係しているんだと思いますが、こうやって一覧にしてみると革靴にお国柄がでていておもしろいですよね。
最後までお付き合いいただきありがとうございました!
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