
黒の内羽根ストレートチップと言えば、定番中の定番。
ほとんどの革靴メーカーがその靴を製造する理由はやはり需要があるからで、コロナ前であればやはり黒の内羽根ストチが一番売れるというのはよく聞く話だった。
時代が変わった今、百貨店の靴売り場で何が一番売れているのかは知らないが、各所で割とよく耳にするのは「オンオフ兼用」カジュアルな靴への需要の高まりと、ある程度高価でも本当に欲しい1足をお求めになる方が多いということ。
結構高い靴も案外売れていくんですよという声すらある。
実用性から次の展開へ
ビジネス用のドレスシューズをメインで展開しているスコッチグレイン [Scotch Grain] も例に漏れず黒のストチだけで何型もあるわけだが、そんなスコッチグレインはどちらかというと「カジュアルよりはビジネス」であり、「嗜好的というよりは実用的」というポジションのブランドだと個人的には認識しており、だとするなら昨今の需要云々の話とは対極にある。
スコッチグレインの靴を何足も所有して履きまわすリピーターが多いのは、その価格と実用性が大きな理由のひとつのはずだが、つい先日スコッチグレインからカジュアル枠としてタッセルローファーと新色のコインローファーがリリースされたり、2月から上質なボルドーのアニリンカーフを使ったモデルが順次リリースされている。
以前からローファーも展開はされていたし、スコッチグレインならではのおもしろい企画の靴も期間限定で販売されていたが、この時代に合わせてカジュアル需要や我々生活者の要望に応えてくださる様子が伺える。
恒例となったショップスタイル

スコッチグレインでは、店舗の販売員の方がお客さんからの要望などを集約して企画する限定モデル「SHOP STYLE」が恒例のイベントとなっている。今回も各直営店からそれぞれリリースされるので4モデルの展開だ。
効率化を重視する製造上の都合で月に1モデルのリリースとなるので、2月下旬から3、4、5月にそれぞれ1モデル発表されている。
ドレスもあればカジュアルが強めのものもあり、各ショップ非常にバラエティーに富んだラインナップになっているが、他店舗からの取り寄せもできるので、最寄りの店舗でお好きなモデルをお求めいただくこともできる親切なシステムになっている。
過去の SHOP STYLE ではダークブラウンなど他の色の革も採用されてきたが、今回のボルドーの革は、他のモデルで実績のある仏アノネイ社のベガノカーフを採用し、それを大量に仕入れているため上質な部分を優先して革を裁断できるというメリットがある。
実際、いつも通り靴の仕上がりはとても美しく、つくりは今までのとおり丁寧で堅牢。
しかし今回一番おもしろいのは、各ショップのアイデアと解釈、そしてその土地の客層に合わせて、上質なボルドーの革が靴に生まれ変わっているかというところ。写真からもキメが細かさが滲み出ているが、想像以上に柔らかい革が使われているので、馴染みも早いのではないかと予想している。
尚、価格は全て同一の ¥55,000(税込)の木製ツリーが付属されている。
1. 珍しさ故、人目を引くギリーシューズ

銀座本店では、廃盤になったシリーズの復刻版としてスコットランド発祥のギリーシューズをリリース。
珍しいデザインではあるがその珍しさ故、人目を引くこと請け合いの限定品ならではというモデル。プレスティージと同木型を採用し、丸すぎない現代的なシルエットのカジュアルシューズという位置付けだ。
2月の発売後、順調に売れ続けて残りは数足と伺っている。


ボルドーの靴は黒や茶よりも足元が目立ちやすいため、その色を活かす個性的なデザインをチョイス。色とデザインの、個性と個性を掛け合わせたモデルになっている。

| デザイン | ギリー | 
| ウィズ | EEE | 
| 同一木型 | インペリアルプレスティージ No.956、959 | 
2. 革の色艶を活かすクオーターブローグ

大阪店からは、派手になりすぎず程よい装飾感のあるクオーターブローグをリリース。
畏まりすぎない実用的なデザインを少し個性的な色で展開したいという発想だ。当初はセミブローグというアイデアもありながら、大阪の顧客の声を反映してのクオーターブローグ。


素材にこだわったラインナップ「インペリアルシリーズ」の「インペリアルブラック No.946」と同木型を採用しており、シャープなシルエットが特徴だ。もともとその木型で色違いやデザイン違いのモデルが欲しいという声も多くあったのも、このスタイルをチョイスするに至った所以でもある。
スーツにも合わせやすい仕様ではあるが、まわりと少し差をつけたいという方に向けたモデル。

| デザイン | クォーターブローグ | 
| ウィズ | E | 
| 同一木型 | インペリアルブラック No.946 | 
3. 大人カジュアルなロングウイング

ecute上野店からは、以前の展開でも好評だったロングウイングの復刻モデルをリリース。
土地柄、ビジネスマンの来店が多いお店ではあるが、リモートワーク増加によってオフィスカジュアルに合うデザインを希望される方が増え、そんな要望に応えるカジュアル寄りなチョイス。
今までのスコッチグレインのイメージとは少し違った変化球的デザイン。そしてそれを際立たせる木型とスパイシーソールの組み合わせ。


元々ロングウイングはカジュアル感の強い靴であり、ジーンズ・チノパンはもちろん、ジャケパンスタイルとの相性も良いが、無難になりがちなスタイルにボルドーの色味でスパイスを少々、というニュアンスも込められたデザインだ。
ナチュラルな仕上げのスパイシーソールと丸すぎない2Eの木型選定も特徴ではあるが、何よりシューレース先端のタッセルによって、どこか愛嬌を感じさせる「大人カジュアル」を提案するモデルだ。

| デザイン | 外羽根フルブローグ | 
| ウィズ | EE | 
| 同一木型 | ネイキッド No.604〜610 | 
4. 目新しさのあるブラインドブローグ

そして5月、ソラマチ店からはこれまた珍しいブラインドフルブローグの復刻版をリリース。
15年程前にフラッグシップモデルのインペリアルシリーズとして直営店で展開されていたモデルを、オデッサと同木型でリバイバルしたモデル。
長くスコッチグレインを愛用されている方々からの要望も強く、若年層ユーザーには目新しく映るモデルであることは間違いなさそうだ。


ボルドーは穴飾りが映える色でもあるが今回はあえて穴飾りを排除し、ドレスシーンにも対応できるようなボルドーとして展開。
デザインの珍しさと色味の珍しさもあり、かなり個性的なモデルになっている。

| デザイン | ブラインドフルブローグ | 
| ウィズ | E | 
| 同一木型 | オデッサI、II、III | 
希望モデルの取り寄せも可

今までのスコッチグレインのスタイルを貫き通すモデルも、そのイメージを覆すモデルもあり、今までと違ったスコッチグレインの表情が垣間見える企画だ。
各ショップはそれぞれが企画したモデルを責任を持って販売しなければならないはずなのでプレッシャーもあることと察するが、申し上げた通り他店から希望モデル取り寄せもできるということもあり、リピーターの多いスコッチグレイン顧客の中でも、さながらなんちゃら総選挙のような「どのモデルが人気なのか」「どのモデルを推すのか」というところに注目が集まりそうだ。
スコッチグレイン SHOP STYLE 2022 公式サイト
























 
										 
										 
										 
										 
										 
										 
										 
										 
								 
								 
								 
								 
								
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