今週、欧州ブランドのメルマガを読んでみて驚きました。
- Crockett & Jones
- Joseph Cheaney
- Baudoin & Lange
- Jacques Solovière
4ブランドが揃って「スエード」を推している模様。
以前から欧州でのスエード需要の高まりは各所で聞いてました。
メインのテーマがスエードでないブランドもありましたが、各ブランドが今週何を語っていたかをまとめながら、その背景にあるトレンドを読み解いてみます。
スエードオックスフォードの「信頼感」について
英国・ノーザンプトンのCrockett & Jonesが特集したのは「The Suede Oxford(スエードオックスフォード)」でした。
メルマガの書き出しがこう。
“There is a moment — familiar to anyone who has spent time wearing fine shoes — where some styles need to be worn to be believed or even trusted.”
(革靴を履き込んだ人なら誰もが知っているある瞬間がある。実際に履いてみるまで、その良さが信じられないスタイルというものが存在する)
スエードのオックスフォードは、まさにそういう靴だというわけです。
紹介されたのはConnaught 2(Dark OakとDesertカラー)、Tresco(KhakiとPastel Blue)など。そしてこんな一文で締めくくられていました。
“Those who recognise it will know what they are looking at. Those who do not will simply notice that a man is well shod.”
(わかる人には、何を見ているかわかる。わからない人には、ただ良い靴を履いた紳士に見える)
扇情的でかつ、滲み出るイギリス人のプライドのようなものを感じる言い回しですが(笑)、目立たないけれど、わかる人にはわかる。それがスエードの魅力でもあります。
「英国の夏は読めない」からこそのスエードチャッカ
同じく英国・ノーザンプトンのJoseph Cheaneyは、チャッカブーツを特集していました。件名は「Smart Casual, Refined: The Chukka Boot」。
“Never underestimate a boot in the British summer, when sunshine and showers are equally likely.”
(英国の夏を甘く見てはいけない。晴れることも雨が降ることも同じくらいありうる)
このコピーがとてもCheaneyらしくて好きです。スエードのチャッカブーツは、そんな気まぐれな英国の夏に「軽くて、使えて、どこへでも行ける」靴として紹介されていました。
紹介されたのはTreen Apron Chukka(Dark Brown / Sorrel)とKnebworth Chukka(Birch / Leaf)。ジーンズにもチノにも合わせやすい、正統派の1足です。
「移動する人のための靴」
Baudoin & Langeからは、今週2通のメルマガが届きました。ビジュアルがもうね、さすがです。
1通目:The Pace – Life Between Places
“Designed for those who live between cities, between homes, and between commitments.”
(都市と都市の間、家と家の間、約束と約束の間に生きる人のためにデザインされた)
スエードローファー「The Pace」の特集で、「ローファーの優雅さとスニーカーの気軽さを兼ね備えた靴」というコンセプトが語られていました。テイラリングにもデニムにも旅のバッグにも合う、という現代的なスタイル提案です。
2通目は一転、週末発売の25足限定。
夏のウェディングシーズンを意識した、フォーマルな特別仕様のモデル。「海辺からテラス、そして夜の正装まで」という世界観が展開されていました。
同じブランドが同じ週に「万人向けのライフスタイル提案」と「25足限定の話題作り」を同時展開する。ブランドの世界観を広げるための戦略っぽい。
パリは「ラフィア」で差をつける
パリのJacques Solovièreだけは、少し違う軸でした。
件名は「The Epitome of French Chic」。
メインで紹介されたのは、レザー×ラフィア素材のサンダル「Franck」です。
“Crafted in supple leather and natural raffia, Franck reinterprets the fisherman sandal with effortless elegance.”
(しなやかなレザーと天然ラフィアで作られたFranckは、漁師サンダルをさりげなく洗練された形で再解釈する)
グルかサンダルっぽい要素もありますが、漁師サンダルをベースにエレガンスを加えるというアプローチ。再解釈という言葉選びもパリらしい。
その他のラインナップにはスエード素材のモデル(Ally SandalとMoli Muleのスエード版)もあり、「夏の自然素材」という文脈では英国勢と通じています。
価格は€325〜345。これ、いいですね!
サマリー
今週のメルマガを横断して読んで気づいたこと。
① スエードが「今季の共通言語」になっている
C&J、Cheaney、Baudoinの3ブランドが、スエードを今週のメインテーマに選んでいます。
夏に向けてスエードの需要が高まる季節感もあると思いますが、それ以上に「ドレスコードの境界が溶けている時代に、スエードは使いやすい」という共通認識がブランド側にあるのではないかと感じます。
② キーワードは「1足でどこへでも行ける」
各ブランドが口をそろえて言っているのは、「versatility(万能性)」です。
スーツにも、デニムにも、旅にも、フォーマルにも。生活の中でドレスとカジュアルを切り分けることが難しくなっている時代に、スエードという素材がその橋渡し役を担っています。
③ 英国とフランスで素材の方向性がやや異なる
英国のC&JとCheaneyはスエードで真っ向勝負です。一方、パリのJacques Solovièreはラフィアで独自のポジションをとりました。「スエードのカジュアルな品格」と「ラフィアのフランス的な遊び心」。どちらもドレスシューズの文脈を持ちながら、素材で個性を出しています。
革靴というプロダクトの、悪く言えば堅苦しい印象を塗り替える、そんな捉え方も欧州では主流になっていきている流れが伺えます。
まとめ
まとめです。
「スエードは今、フォーマルを拡張する素材として語られている」
かつてスエードは「カジュアル素材だからドレスには…」と言われることもありました。
でも今のブランドたちは、まったく逆の語り方をしています。スエードだからこそ、スーツでもデニムでも旅先でも使える。スエードだからこそ、「知っている人にはわかる」品格を持てる、そんな文脈が増えてきましたね。
参照: Crockett & Jones、Cheaney、Baudoin & Lange、Jacques Solovière 各メルマガ(2026年6月初旬配信)




































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