その他のブランド

革の個性を価値として打ち出し、日本的な靴を体現するブランド・KOTOKA(コトカ)

小さいサイズのスエードタッセル入荷!
その他のブランド

 

兼ねてから独自のブランドコンセプトに興味があり、機会をいただいて KOTOKA のブランドディレクターである鈴木 理也さんにお話を伺いました。

革の個性を活かしたものづくりと、革という素材の特性を活かした履き心地の靴とはいったいどんなものなのか、お話を伺ってまいります。

 

FANS.新橋店で撮影した動画はこちら

 

 

ブランドコンセプト

インタビューのご承諾ありがとうございます!
早速ですが、この KOTOKA(コトカ)というブランドが生まれたきっかけを教えていただけますでしょうか?

 

KOTOKA(コトカ)は奈良の革靴メーカー7社が共同で開発し、奈良で製造する、新しいタイプの革靴のブランドです。ブランド名は古都の靴という意味。日本の古都、奈良に因んで名付けられました。

 

なるほど!
靴は「か」と読みますから、「古都靴」がそのままブランド名になっているということだったんですね!

 

奈良は日本有数の革靴の産地です。
長年、紳士靴、特にビジネス靴を中心として様々なタイプの革靴を生産してきたのですが、この事実を知る人はあまりいません。

 

 

あまり類を見ない試みとして、複数のメーカーにより共同で KOTOKAというひとつのブランドを開発し、商品ごとに分担して製造され、(2020年春に)発売された背景には、革靴産地としての奈良を知っていただこうという目的もあるのです。

 

靴好きの方であれば、オリエンタルシューズさん、北嶋製靴さんあたりは、奈良のメーカーさんとしてご存知の方も多いかもしれませんね。
複数メーカーさんで各商品を分担されているのも、なかなか珍しいと思いますが、立ち上げまでご苦労があったかとお察しします。

 

ちなみに、KOTOKAを開発した7社の革靴メーカーは奈良靴産業協同組合に所属しています。
この組合が皮革産業連合会の基金を活用して奈良の靴づくりを活性化するための事業を展開する中で生まれたのが、KOTOKAです。

 

背景として、革靴の産地としての認知を広げたいという想いもあったのですね!

 

 

「日本的な靴」という独自の価値

飛鳥ホールカット

 

個人的にとても気になっているのがブランドコンセプトなのですが、奈良を表す「古都」を、どうプロダクトに落とし込んだのでしょうか?

 

KOTOKAの開発に取り組み始めたのは2019年のことでした。
それは、奈良らしい革靴とはどのようなものだろうか、という自問自答から始まりました。奈良は日本という国が始まった地でもあります。
奈良らしい革靴とは、とても「日本的な靴」である、と考えました。

 

日本的!?とおっしゃいますと?

 

日本の革靴づくりは西洋にその範を見て、それに倣って行われてきました。しかし、もし日本が西洋の靴を見る事なく革靴をつくっていたら、どのようなものになっただろうか?そんな想像を廻らせました。

 

そうして、私たち、奈良の革靴メーカー 7社が行き着いたのは、日本の感性に素直に従ったつくりの革靴でした。
それは、

  • 日本料理のようにいたずらに手を加えずに素材を生かし
  • 日本建築のように簡素さの中に美を表現し
  • 奈良の古寺の柱のように年月と共に味わいを深める

という、私たちが伝統的に受け継いできた価値観に基づく靴です。

 

食や建築など、靴以外の要素からブランドのアイデンティティを見出しているのは、めちゃめちゃおもしろい!

 

素材は選りすぐった日本の革。
茶の湯の器のように素朴な風合いの革です。しなやかで厚手の、年月と共に風合いを増す革でもあります。

 

日本で鞣された革だけを使われているんですね!
徹底してコンセプト準拠!

 

一枚革サイドゴア

 

また、革が本来もつ、トラ筋、血筋、バラ傷、などを隠すことなく、そのまま革の風合いとして生かすタイプの革で、今まで靴にはあまり使われてこなかったタイプの革ですが、ろくろを回して作った陶器の器の様に、出来上がった靴のひとつひとつが持つ個性を楽しむことができると考えました。

 

サイドゴアブーツ、トラが強く出ていますね!
ここまで強く出ているのはむしろ魅力的!

 

素材の良さを最大限生かし、簡素でシンプルなものが持つ美しさを込めた靴にすべく、できる限り縫い合わせのない一枚の革の靴とし、ライニングを付けずに靴にしました。
結果、KOTOKAは 「一枚の革がやさしく足を包む」 履き心地の軽快な革靴になりました。

 

僕も試着させていただきましたが、「やさしく包み込む」という言葉はぴったりだと思いました!
コシとハリのあるしっかりとした厚みのある革ですが、ライニングがないのでとても柔らかい履き心地ですね。

 

 

革素材について

現在 KOTOKAが使っている革は以下の4種類です。

 

1. 栃木レザー

ヌメ革のタンナーとして評価の高いタンナー、栃木レザーがつくる様々なタイプの革のの中でKOTOKAが使っているものは、植物タンニンでなめした後、たっぷり揉んで(一晩中回転ドラムで空打ちして)柔らかくして、ふんだんにオイルを加えたものです。

 

一枚革ダービー

 

仕上がった革には不規則なシボが入る部位とスムーズな部位が生まれます。それを靴にすると、スムーズなもの、シボが入ったものなど個体差が生じますが、どちらも、非常に良い個性を持つ、自然な風合いの柔らかな革です。

 

飛鳥ホールカット

 

一枚革モンク

 

同じ革でもスムースな部分とシボの強く出る部分で表情が全然違って、個性という言葉が合いますね!
均一なものづくりだけが正解というわけではない、個性を価値として打ち出す画期的なブランディングだと思いました!

 

一枚革スリッポン レディース

 

※栃木レザーは現在、メンズ4型、レディース2型、サンダル1型 に使用

 

2. たつの蝋引きレザー

鎌倉時代より革をつくってきた日本有数の革の産地、兵庫県たつの市で、革の芯まで蝋(ワックス)を染み込ませ、最後に軽く揉んで仕上げた珍しい革です。
履いていない時は張りがありますが、履くと体温で革の中の蝋が柔らかくなり足によく馴染みます。

 

足なりダービー

 

足なりダービー レディース

 

古都ホールカット

 

独特の色の陰影も特徴です。
この色の濃淡は靴を履き込むとその表情を変え、味わいを深めます。仕上げの最後に軽く揉まれていることで、シワやシボなど経年変化で生まれるような風合いを最初から持っている場合があります。

 

一枚革サイドゴア

 

一枚革サイドゴア レディース

 

また、革本来が持っているトラと呼ばれる筋なども敢えて消さない仕上げ方をしています。靴にすると一足ごとに違った個性を見せる革ですが、素朴で自然な表情が魅力的な革です。蝋分をたっぷり染み込ませてあるので水濡れにも強く、雨の日でも履いていただけます。

 

動画でもご説明いただいてますが、シワの部分にロウが浮き出てているのと、革の継ぎ目がないので、エイジングという言葉がぴったりな表情が出ている!

 

足なりダービー

 

吉野チャッカ

 

オリンピアン

 

※たつの蝋引きレザーは現在、メンズ6型、レディース5型 に使用

 

3. たつのハンドワックスレザー

歴史ある革の産地、兵庫県たつの市のタンナー(革製造業者)で、植物タンニンでなめされた目の詰まったヌメ革を丘染めし、オイルを加えた後、一枚一枚手作業でワックスを擦り込んでつくる革です。

 

一枚革ダービー

 

温めて溶かしたワックスを大きなハンドアイロンで革にしっかり染み込ませる。この工程を3〜4回繰り返して仕上げます。これにより、深みのある色合いとしっとりとした肌ざわりが生まれます。

 

一枚革ダービー 経年変化後

 

ビフォーアフターがあるとすごくわかりやすいですね!

 

染色には顔料よりも染料、つまり革に染み込む色を使います。手作業で擦り込むワックスがその色に深みを与え、均一に塗られた色とは違う、柔らかな色ムラを持つ透明感ある色に仕上がります。靴を履き込むと風合いの深まる、経年変化が楽しみな革となっています。革芯の色が茶色な「茶芯」レザーです。

※たつのハンドワックスレザーは現在、メンズ1型、サンダル1型 に使用

 

4. 姫路丘染めレザー

兵庫県の城下町、姫路は、隣のたつの市と並び日本の革づくりの中心地。多くのタンナー(革製造業者)が分業体制を取りながら、それぞれの専門分野で技術を磨いています。
原皮を素揚げの革にする一次なめし専門のタンナー、染色や仕上げ工程を行うタンナー、などです。

 

飛鳥ホールカット レディース

 

この革も、姫路、たつの地域のいくつかのタンナーが分業体制でつくったものです。
革の染色は通常、大きな回転ドラムに染料と多くの革を一度に入れて行われます。これに対して、革を台に乗せて、一枚ずつ染めていくのが「丘染め」と呼ばれる染色方法です。

 

染めには顔料を多く含ませた染料を用い、色ムラの少ないスムーズで艶やかな肌目の革に仕上げます。オイルも含ませ柔らかに仕上げた革なので、足馴染みも良く、やさしい履き心地の靴となります。

※姫路丘染めレザーは現在、レディース1型 に使用

 

ドレスシューズが西洋のティーカップと例えるなら、KOTOKA は日本の茶器という表現がぴったりですよね!
ひとつひとつに趣があって、素朴でミニマル。天然の素材である革の個性を広く認知してもらう、比較産業にとっても非常に価値のあるものづくりだと思います。

 

 

 

今までなかったタイプの、履きやすく、男性でも女性でも楽しめ、天然の革だけが持つ良さを感じていただける靴。
一足一足が異なる表情を持ち、その靴だけの個性を味わっていただける靴。
奈良らしい落ち着きと安らぎを感じられる靴。
そして履く人と共に歴史を刻み、味わいを深める革靴。

 

KOTOKA はそんな靴になったと信じています。

 

鈴木さんの商品を魅力的に見せる説明と、ブランドのコンセプトを的確に伝える言葉選びがとにかくわかりやすい!
ありがとうございました!

 

 

試着可能な店舗

 

 

僕はFANS. 新橋店さんで試着をさせていただきましたが、レディースの24.0cmがぴったりでした!
試着の様子もご覧いただけますので、動画も是非ご覧ください。

 

 

 

 

試着可能店舗

  • FANS.エキュートエディション新橋店
  • 乃屋(大阪)
  • 奈良 蔦屋書店
  • ならざき靴店(福岡)

 

公式webサイト:https://nara-shoes.jp/kotoka/

 

COMMENTS コメントを投稿する

タイトルとURLをコピーしました