拘りと趣向の賜物、アメリカンヴィンテージを再現するアーチケリー [Arch Kerry]

 

アーチケリーというブランドの展示会にお邪魔しました。
アメリカのヴィンテージシューズのデザインを基調に非常に独特でこだわり抜かれた靴ばかりでした。普段なかなか目にすることも少ないデザインの靴や仕様もたくさんご紹介しますので、ご覧になってみてください。
新鮮でした。

 

 

アーチケリー[Arch Kerry]について

 

もともとヴィンテージシューズがお好きで e-Bay などでコレクションを集めていたオーナーの清水川さん。100足以上コレクションをお持ちなのだそうですが、集めていくうちにご自身でもヴィンテージシューズのブランドを立ち上げたいということで、約2年前からの練っていた構想を実現されたブランドです。
アーチは足のアーチという意味もありますが、過去に購入されたすごく質の良いヴィンテージシューズの持ち主さんがアーチさんだったということと、ケリはアイヌ語で靴という意味だったことから付けられたブランド名です。

 

製甲は日本の職人さん、そして吊り込みと底付けは以前別の記事で取材をさせていただいたサンタリ [Santari] の舘さんが担当されています。

 

そんなアメリカのヴィンテージシューズを自由にオーダーできる、そんなブランド。

 

価格 ¥93,000〜(税別)
納期 4ヶ月
製法 グッドイヤーウェルテッド
オーダー パターンオーダーのみ

※革や仕上げ、仕様によってアップチャージがかかります

 

 

アメリカンヴィンテージのデザイン

こだわりのひとつめ。まずはデザインです。
昔は主流だったUウイング [U-Wing]、今ではあまり目にすることはありません。(Uウイング好きの知人がいらっしゃったので存在は知ってました)これぞアメリカンヴィンテージシューズというべき、象徴的なデザインです。

 

 

文字通りUのウイング。
全てレザーのものもありますが、こちらは部分的にメッシュ素材が使われています。

 

サイドエラもあるよ

 

ライニングに布(キャンバス生地)が使われているところもヴィンテージシューズならではの仕様という感じです。

 

 

 

また、アルゴンキン [algonquin] と呼ばれるVチップのデザイン。

 

 

トゥの先端の縫い目が特徴ですが、このデザインのみ違う木型が使われています。他のデザインは現在は同じ木型ですが、これだけつま先の形状が違うんです。先端の縫い割に合わせて木型が山になっているのがわかります。吊り込むたびにズレる、職人さん泣かせの仕様です。

 

ほら、つま先

 

ホワイトバックスキン(鹿革)のコンビシューズもあります。

 

 

 

7アイレット。

 

 

キャップトゥやヴァンプのまわりに5本ステッチが入っています。ステッチの糸は細いですが、5本重なると存在感がありますね。
出し縫いの糸も際立っています。製法はグッドイヤーウェルテッド製法。

 

 

パンチドキャップトゥ。

 

 

 

銀つきのスエード、とても綺麗です。色も質感も。

 

 

これもヴィンテージシューズに見られるUスロート [U-Throat] という装飾。ホールカットに手縫いで施されています。

 

 

さて、これでいよいよ量産だ、というタイミングで木型を変えたいと清水川さんから依頼があったようですが、木型を変えるということはパターンから全て変えなければいけません。
職人さんにとってみればそれはすごく手間になるわけですが、逆に舘さんはそんな清水川さんを見て「このブランドは大丈夫だ」と安心されたようです。(その時は怒りで震えたと思いますけど…笑)
僕がお邪魔する前にもう数名お客さんがいらっしゃってたみたいですが、すでにオーダーが入っていたり、カッコいいですね!と好評だったりと、清水川さんのこだわりに共感をされる方が多くいらっしゃるわけです。
100以上のコレクションの中から『これぞアメリカンヴィンテージ!』という要素を集め、その魅力と清水川さんの持つ趣向を今の時代に再現した、そんなブランドです。

 

それがお客さんだけじゃなくて職人さんまでをも納得させてしまうんです。

 

 

柔らかい革とアッパー

こだわりのふたつめ、アッパーと革
通常、メンズの靴であれば1.4mm程度の厚さの革が使われるわけですが、こちらは1mm〜1.1mmという薄い革を使われています。
なので、アッパーがとにかく柔らかく、履き心地も優しく軽い印象です。

 

アッパーも柔らかい、ライニングもキャンバス地なので、間にフェルトを入れているようですが、これもヴィンテージシューズを分解して研究を重ねた結果出来上がったもの。ただ決して、フェルト入れときゃいいんでしょ?ってわけではないのです。

 

 

とはいえ、先ほどのメッシュ素材のものもそうですが、レザーライニングほどの強度は出ないため、吊り込みの力加減が難しいと舘さん。それをこの形に仕上げるという、まさしく職人技。

 

 

 

カーフ以外には、コードバンもあります。コードバンはアップチャージが60,000円。
他にもシボ、スエード、メッシュなどがあります。

 

 

木型

先ほども書いたとおりVチップ(アルゴンキン)のモデルのみ、つま先が山になっていますが、基本的に木型は1種類です。今後は木型も増やしたいとおっしゃっていました。

 

靴下お借りしましたありがとうございます

 

履き心地はすごく柔らかいです。
試着サンプルはセメント製法だったからかもしれませんが、軽く、優しく足を包んでくれる木型、という印象です。僕はもう少しだけ小さいサイズでもいいかなと思ったけど、どこかが緩すぎずキツすぎずで、日本人の足のために作られた木型だなという感じがしました。

 

 

アメリカンヴィンテージ感を損なわないように工夫をされたのではないかと推測しています。

 

 

最後に

 

夕方から開催されたレセプション。
名だたるアメリカのシューメーカーは100年以上の歴史があるわけですが、それと並ぶくらい長い歴史のあるブランドにしていきたいという清水川さんの強い想いが語られました。将来的にはアメリカに工場をつくりたいと。
もともと神保町のミマツ靴店でバイトをされていた頃からお世話になっていたという店主の方も清水川さんの門出が嬉しそうで、素敵な夜でした。

 

いい写真すぎ

 

 

また、アーチケリーのこのロゴ、イラストレーターの綿谷寛さんによって手書きで書かれたものです。

 

 

似顔絵描いていただきました、家宝

 

綿谷さん、清水川さん、舘さん

 

 

定期的にアーチケリーのオーダー会が開催されるようですので、SNSやwebサイトなどもチェックしてみてください。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。

@archkerry

 

 

 

— Special Thanks —

@tate.shoes

@fg_trente_patina

@yumiko_izawa

 

ネルチャン登録よろしくネ

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くすみ
東京
1986.9.25 愛知県生まれ
『革靴の魅力や靴磨きの楽しさをもっと多くの人に知ってほしい』という想いでブログやYouTubeで情報発信を行っています。
前職の経験からシューメーカーのブランドサイトやオンラインショップの制作・カスタマイズ、広告運用を受け持ったり、ブランディングや商品開発のコンサルなども手がけています。
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