この革(タンナー名)ってどうですか?
良い革ってどんなですか?
みたいな話は、今まで何度かいただいてきたご質問のひとつです。
これはですね、
「ココイチのカレーって美味いですか?」
という質問とある意味同じだと思います。
つい先日、こんなご質問をいただきました。
僕も同じような視点で革というものを捉えていたことがあるので、非常に共感できる疑問です。

A社(タンナー)のボックスカーフで仕立てようかなと思っているのですが、こういったパターンオーダーの革ってどうなんでしょうか?
例えばA社ですと、〇〇や●●、他の国産・海外問わず様々使われていますが、質というか等級のようなものはどうなのかなと思いまして。やっぱり既製品のものの方が良い革を使っているのかなと。
A社だから良いとか悪いとか、そういう話とはちょっと違う気がしています。
すごく革に詳しいわけではないのですが、基本的にどのタンナーでも考え方は同じでいいんじゃないかと思います。
また、パターンオーダーだからいいとか、既製品だからいいというわけでもないと思っています。
これは、
- どういう革がご自身にとって良い革なのか
- もしくはどんな靴に使われてる革なのか
- その革やタンナーの特徴って何なのか
を知ることができると、この疑問は解放されるんじゃないかと思っています。
ちなみに、ココイチってお好きですか?
僕はカレーは好きですしココイチは美味しいと思うけど、ココイチがあったら絶対入りたいかというと、正直そこまでではありません。カレーはもう少しどろっとした質感のものが好きだからです。
僕は白米が好きなので、カレーでも牛丼でも親子丼でもなんでも、白米に液体が混ざるのが好きじゃありません。だから、汁だくという食べ方には共感しないし、なんならカレーも牛丼も白米とは別のお皿で提供してほしいとすら思うほどです。(少なからず常識はあると思ってるので、そう思うだけであって、注文したことはないです笑)
ココイチのルーは結構液体に近いというかスープのような質感ですよね。学校給食のカレーは割とどろっとした質感だったので好きだった記憶があります。大学生のころはよくなか卯のカレーを食べてました。あと欲を言えば、牛すじがゴロゴロ入ってて具も大きい、どろっとしたカレーがベスト。
ただ、カツを乗せたりほうれん草を乗せたりソーセージを乗せたり、いろんなカレーを楽しめるのはココイチならではで、牛丼のチェーン店のカレーではできない食べ方ですよね。
だから、人によっては万人受けするあの味が好きかもしれないし、自由にトッピングできるシステムが魅力かもしれないし、僕のようにカレーの種類としては別のものが好きという人もいるかもしれません。
例に挙げて恐縮ですが、皆さんご存知・ウエストンのローファー。ウエストンに対して、「良い革」だって言ってるのをインスタで何度も目にしたことがあります。
ただ、何をもって良いとするのか、そこが十分語られていないケースが多い気がします。
僕はウエストンの靴は2足しか持ってないので、その靴のイメージだけで話しますが、ウエストンは見た目も履き心地もかなり硬いですよね。
ウエストンの革はすごくしっかりしているので長持ちするという利点があるかもしれません。ただ一方で、抜群にキメが細かいかというとそういう類の革ではないかなと思います。
しっかり仕上げがされていて発色は非常に良いですが、よく「革の風合い」と表現されるような透明感はないですよね。育つ革というよりは、劣化させない仕上げの革という印象です。
耐久性や発色という面においては、いい意味で群を抜いていると思いますが、馴染むまでに時間がかかるという見方もできます。
特に大量生産しているメーカーは、クレームや製品のばらつきがでてはいけないのでそういう革を使っているケースが多いように思います。
別にウエストンを批判したい意図は全くないのですが、あえてわかりやすいように、表と裏というか、多面的に書かせていただきました。
つまり、革を良いと評価するポイントは、ぱっと思いつくだけでも、硬さ、ハリやコシ、耐久性、発色や質感、キメ細かさ、あとは希少性など、いくつかあると思っています。
さて、冒頭のご質問では、既製靴のほうが良い革を使っているということが書かれていましたが、実際はどうでしょうか?ここで少し革の等級の話にも触れておきたいです。
例えば、A社であっても他のB社であっても、原皮の時点で極端に等級の低いものは当然あると思いますが、そもそも靴用の革になってないんじゃないかな?(詳しい人教えてください。)タンナーが原皮を仕入れるルートとかは詳しく知りませんが、極端に等級の低いものは別の用途に使われたり、そもそも我々が知っているタンナーでは仕入れてなかったりするんじゃないか?もしくは、スムースレザーとして扱われるのではなく、スエードやヌバックになっているんじゃないか?と勝手に予想しています。
つまり何が言いたいかというと、我々が知っている有名タンナーの革はその名がついている時点で十分良い革なんじゃないかということです。
ただ、必ずばらつきはありますので、同じ革でも「今回入ってきたものはちょっと薄いね」とか、「シワが強めに入るね」とか、そういうことも多々あります。
部位によっても全然質感が違うので難しいですね。
例えば同じA社の革でも、特に良いとされる革は、スコッチグレインでは上級ラインにあてられてるというケースもあります。たしか三陽山長も同じです。
すごく極端な例で恐縮ですが、4万ほどのパターンオーダーブランドもありますが、やはりそこで選べる革はA社など有名なタンナーの素材は多くはなく、そういう革と比べたら良い革と言えそうです。
ただ、パターンオーダーを4万円で受けてくれるのはすごく良心的ですし、逆にその価格を度外視すれば既製靴のほうが良い素材を使っていると言えるケースもあるかもしれません。もはや比較するもんじゃないと思いますけど、一応ね。
パターンオーダー(以下PO)で選べるような革は、種類も多く好みに合わせて自由に選べます。
ただ、POのブランドでもお話聞いてみると「実はいい革残ってるんですよ〜」といって同じタンナーの革でもすごく良い革を出してくださることもあります。
あと、POの場合は革によってアップチャージがかかる場合もあり、それは製造上の都合によるものでもあるけど、良い革や希少な革を選べることによるアップチャージでもあるはずです。
なので、既製靴というくくり、POというくくりだけで、一概に革質の優劣を判断できるものではないだろうと思っています。
話が長くなりましたが、申し上げたいことは、皆さんご存知のA社と名前がついている革であればある程度いい革なんだけど、そんな有名なA社でも多少のバラつきは絶対あるし、そもそも革の良さを判断する上でいくつかポイントがあるので、革ひとつとって良し悪しを判断するというよりは、総合的に判断するのがよさそう、というのが僕の意見です。
じゃあ、何をもって良い革とするのか?どうすれば良い革を選べるのか?
いろいろ書きたいことはありますが、そのためにまずは「革の特徴を知ること」が一番だと思います。
そして次に、どんな靴が自分にあっているのかだと思います。
柔らかい革だと足馴染みもよく履きやすいかもしれないけどデザインによっては柔らかすぎて保形性が低くなるし、逆に硬くてしっかりした革だと保形性が高くて足をしっかりホールドしてくれるかもしれないけど木型が合わないと局所的に当たって痛くなるかもしれないし、でもやっぱりドレスシューズなら艶があってしっかり黒い革を選びたくなるかもしれないけど、逆に茶系の靴ならツヤは控えめだけど透明感がある革のほうが経年変化が味わいやすいかもしれないし、キメの細かさで選ぶならベビーカーフがいいかもしれないけど薄くて柔らかいけど耐久性は劣るかもしれないし、硬い雰囲気のシワが入るのがいいのか、柔らかくうねったようなシワが入るのがいいのか…などなどなど。
挙げればキリがないですけど、革の特徴を知っていれば好みに合わせて、もしくは靴に合うかどうかで「良い革」を選べるのではないでしょうか?
長くなるので割愛しますが、どんな靴にしたいかでも変わってきますよね。
つまり、何を重視するかで良い革かどうかが変わる、ということだと思います。
黒のスムースレザーでもすんごいいろんな種類のものがありますから、タンナーの名前だけで優劣を判断するのではなく、質感とか足馴染みとか経年変化とか、デザインに合うかどうかで良い革かどうかが変わってくると思ってるんですが、いかがでしょうか?
僕にとってココイチは美味しいけど、それはカレーという食べ物が好きだからであって、カレーとして食べるならココイチよりもなか卯のカレーが好き…
という話は、
僕にとってA社はもちろんいい革だと思うけど、それは一般的に高級紳士靴に使われている上質な素材としてであって、内羽根の靴ならいいけど最近は内羽根履かないのでローファーとか外羽根で作りたい、それならツヤとかキメの細かさで選ぶA社のカーフよりも、ローファーならスエードとか型押しでもいいかもしれないし、外羽根ならマットで肉厚でオイリーな素材がいい…
という話と似てるのか、それともこじつけなのか、どうでしょうか?笑
ちなみに、質問者さんはタッセルローファーをPOしたいとのことでしたが、もちろんドレス感強めのキレイめカジュアルな黒のタッセルローファーが1足あってもいいと思ってます。























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