頭のいい人たちが生み出した様々な「物事を測る尺度や単位」によって科学の進歩し、我々の生活を豊かにしてくれている。でも実際、あのとき勉強した物の単位や計算式が日常生活で役立って「あのとき勉強しといてよかったなぁ」と思える例なんてほとんどなく、こんなの何のために勉強すんだろ…と思いながら学んだケルビンという温度単位は、案の定未だに日常生活で使う気配がなく、そもそも-273度という概念が腹落ちしていない。
ただ当時、絶対零度という響きはなんか無性にかっこよく思えた。
素材、構造、路面によっても変わるはず
受験や単位のための受動的な学習は興味がないせいか全然おもしろく感じないけど、興味がある分野だったり自分に関係がある分野だったりすると俄然学習意欲が湧くから不思議だ。大人になってから勉強がおもしろいと感じたことは何度もある。
例えば先日知ったのは、「硬度」という素材の物理的な特性を測る硬度計というものが存在し、さらにゴムやプラスチック専用の硬度計で靴のメーカーではゴム底の硬さを計測して、靴の仕様に合ったものを選定しているようなのだ。
昔、雨の日にダイナイトソールの靴でつるんといったことがあった。
幸い転倒には至らず、何食わぬ顔でその場をやり過ごしたのだが、それが一度や二度でなく何度もあったので、あ…ゴム底でも滑るのね、と「ゴム = 滑らない」という先入観を覆されることになった。そもそも、ダイナイトって硬くてなんか足疲れるなぁと感じていて、レザーソール特有の履き心地が好きなこともあって、それ以来僕はラバーソールと聞くと毛嫌いしてしまう。
しかし、どうやらダイナイトはラバーソールの中でも特に硬い素材らしく、そりゃ履き心地に影響するわいなということで腹落ちした。
硬さによってグリップ力や耐摩耗性なんかも変わってくるが、どうやら硬さだけで全てが決まるという単純なものでもないらしい。
レザーソールにはレザーソールの馴染み方があったり、独特の弾力のある履き心地というロマン志向的魅力はあれど、靴を道具として捉えるならゴム底の機能性についてもっと深く追求してみたいと思ったのだ。
先日、パラブーツのソールが割と柔らかいのに安定感があると申し上げたが、それもきっかけのひとつだ。
ラバーソールの種類を知りたい
普段車に乗らない僕は「グリップ」と聞いてもあまりピンとこないが、ソールにおける路面を掴む力、つまり滑りにくさという意味では、どうやら硬すぎるものよりも柔軟性というか素材の粘性があるほうがいいと聞く。
ただし、ソールの構造や路面の状態にもよるので単純な話ではなさそうだというのは、計算式など全く覚えていないが物理で摩擦係数というというワードを聞いたことがある僕にとって想像に難くなく、今になってようやく理系出身だったことに感謝する。
英ハルボロラバー社 [Harboro Rubber] が製造する、リッジウェイソール [Ridgeway] も、ダイナイトソール [Dainite] も硬度が違えは接地面も違うため、グリップや耐摩耗性や防滑性が違って当然だ。ダイナイトは意外と摩耗しやすい素材のようだ。
また、伊ビブラム社 [Vibram] に至っては、ガムライトやViライトなど、配合名に名前がつけられるほどソールの種類が多岐にわたり、軽さや耐久性、用途に応じても配合を変えている。また、シューメーカーの要望に応じて独自の配合でソールを提供したりもする。
伊フィンプロジェクト社 [Finproject] のエクストラライト ソールも名前の通り、軽量で柔軟な底材を製造する。
最近はカジュアルなスタイルの靴の需要が高いこともあり、こういったラバーソールのメーカーの名前を目にする機会も多い。
ドレスシューズにおいては見た目の美しさも当然大事なことなのだが、先の話、道具として靴を捉えるのであれば、住んでいる地域や天候、用途によってソールの違いがあることを知り、状況や好みによって使い分ける選択肢があることを知っておきたい。
年末年始、雪の多い愛妻のご実家にお邪魔した際に感じたことだ。
梅雨に備えたい
というわけで雪の季節はまだしばらく先だけど、我々を悩ます「梅雨」という時期に向けて目下、僕は…
- 防滑性の高いラバーソール
- 機能よりも重厚感メインでストームウェルト
- 銀浮きの心配がない型押しかオイルドヌバック
- 濡れても脱ぎ履きがしやすいダブルモンク
という仕様の靴をオーダーしたい。
スーツに合わせたいとまでは言わないが、暑くてベタつく季節にTシャツとセットアップでも履けるよう、ちょっと落ち着いた色味がいい。この靴のおかげで、なんなら梅雨や雪道が楽しみになりそうな気配するある。
学生時代の教科書の内容なんかひとつも覚えていないが、どういうわけか人生を楽しく生きる知恵だけは身についているようだ。

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