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クリーム・オイル

革靴の雨対策完全ガイド|防水スプレー・クリームの選び方と梅雨の必須ケア

更新: 2026.06.25
革靴の雨対策完全ガイド|防水スプレー・クリームの選び方と梅雨の必須ケア

「今日は雨だけど、どうしてもこの革靴を履きたい!」

 

そんなとき、何も対策せずに履いて出かけると、革靴は雨ジミ・塩吹き・銀浮き(革表面のデコボコ)といったダメージを受けてしまいます。

 

でも、事前にきちんと対策をしておけば、雨の日でも安心して革靴を履けます。この記事では、革靴の雨対策の二本柱である「防水スプレー」と「防水クリーム」について、僕が実際に検証した結果をもとに、選び方から使い方、梅雨シーズンの備えまでまとめて解説します。

 

濡れてしまった後の対処法ではなく、「濡れる前」にやっておくべきことに絞ってご紹介します。

 

 

なぜ革靴に雨対策が必要なのか

日本では、全国平均で年の約1/3は雨が降っていると言われます。単純計算で、平日のうち週に1〜2回は雨に当たることになります。革靴を毎日履くビジネスマンにとって、雨は避けて通れない相手です。

 

革は水に弱い天然素材です。雨に濡れると、次のようなトラブルが起こります。

 

  • 雨ジミ……水分が乾くときに革の油分やアクを道連れにして、輪ジミになる
  • 塩吹き……革に含まれる成分や汗の塩分が、乾いたあとに白い粉となって浮き出る
  • 銀浮き……革表面(銀面)がデコボコに波打つ
  • 型崩れ……濡れて柔らかくなった革が、そのまま乾いて形が崩れる

 

こうしたトラブルは、一度起きてしまうとケアに手間がかかります。濡れてから対処するより、濡れる前に防ぐほうが圧倒的にラクです。そして雨対策は、大きく分けて次の2本柱で考えます。

 

  • 防水スプレー……革の表面に撥水の膜をつくり、水を弾く
  • 防水(撥水)クリーム……革に油分・ロウ分を補い、水を浸透しにくくする

 

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

 

革靴の防水スプレー|選び方と使い方

 

雨対策の定番といえば防水スプレーです。革の表面に撥水成分の膜をつくって水を弾く、最も手軽で効果が分かりやすいアイテムです。

 

成分の違い:フッ素系とシリコン系

防水スプレーには、大きく分けてフッ素系シリコン系の2種類があります。革靴に使うなら、結論から言ってフッ素系がおすすめです。

 

  • フッ素系……水を弾く粒子が革を覆う。通気性を保つのが最大のメリット。効果の持続力はやや短く、値段は高めの傾向。
  • シリコン系……樹脂が革の表面を覆う。即効性が高く持続力も長いが、通気性を損なう。革に浸透して劣化させる恐れもある。

 

シリコン系は一見メリットが多く見えますが、通気性を損なうのが革にとっては問題です。通気性が落ちるとカビが生えやすくなり、革も劣化しやすくなります。靴の内側にかかると汗が抜けにくくなり、汗に含まれる塩分や尿素が革を硬化させる原因にもなります。

 

その点、サフィール・コロニル・モウブレイ・コロンブスといった靴好きにおなじみのブランドの防水スプレーは、基本的にフッ素系なので安心して選べます。(ちなみに、100均で売られているスティックタイプの靴墨にはシリコン樹脂が含まれていることが多く、僕はおすすめしていません。)

 

おすすめの防水スプレー

僕が実際に使って効果を確認した防水スプレーをご紹介します。

 

■ サフィールノワール ウォータープルーフスプレー

 

フッ化炭素(フッ素系)を含有し、通気性を損なわずに水分・油分・泥やホコリの染み込みを防ぎます。ツヤ革・起毛革・テキスタイル素材まで幅広く使えるのが魅力(※エナメル・爬虫類などのエキゾチックレザーには使用不可)。
パッケージのデザインもかっこよくて気に入っています。

 

 

■ コロンブス アメダス [AMEDAS]

防水スプレーの大定番。見覚えのある方も多いはず。サフィールノワールに比べて圧倒的にリーズナブルなので、まず1本試してみたい方にもおすすめです。

 

 

そのほか、コロニルの防水スプレーも定番です。いずれもフッ素系なので、革靴に安心して使えます。

 

防水スプレーの正しい使い方

防水スプレーは、ただ吹きかければいいわけではありません。正しい手順で使うことで効果が大きく変わります。

 

  1. ブラシや布で、全体のホコリをはらい落とす
  2. スプレーをよく振り、20cm以上離して全体にムラなく吹きかける
  3. 30分ほど放置して乾燥させる。乾いたら、スムース革は柔らかいクロスで軽く磨き、起毛革は軽くブラッシングする

 

ここが最重要ポイント。防水スプレーは、かけてすぐに効果を発揮するものではありません。乾燥時間が必要です。目安は次の通り。

 

  • サフィールノワール ウォータープルーフスプレー……約30分
  • コロンブス アメダス……約15分
  • コロニルのスプレー……約20分

 

つまり、お出かけの直前ではなく、15〜30分前にスプレーしておく必要があります。また、距離が近すぎるとシミの原因になります。

 

防水スプレーを近距離でかけてシミになった失敗例

 

実際に5cmの距離で吹きかけたところ、成分が分散せずシミができてしまいました。必ず20cm以上離すこと、そして気持ち多めにかけるのが、僕が検証して得たコツです。

 

注意点として、鏡面磨き(ハイシャイン)をした靴にはスプレーをかけるとツヤが消えてしまうことがあります(機能ではなく見た目の話です)。
ピカピカに仕上げた靴には不向きかもしれません。

 

※左:クリーム仕上げ、右:防水スプレー噴霧

 

また、フッ素系スプレーは吸い込むと人体に有害です。必ず屋外(戸外)で使用し、吸い込まない、火気を近づけないを守ってください。製品によっては安全のためあえてニオイを強くしてあるものもあります。

 

効果が持続する期間と使う頻度

「一度スプレーしたら効果はどれくらい持つの?」という疑問について、革の切れ端にスプレーして毎日水をかけ、検証してみました。

 

防水スプレーをかけた面が水を弾いている様子

 

  • 1日目……しっかり水を弾く
  • 2日目……まだ大丈夫
  • 3日目……まだまだ撥水効果あり

 

少なくとも3日間は効果が持続しました。

 

防水スプレーの効果は3日後も持続していた
さらに数日もちそうな印象です。つまり、靴を履くたびに毎回スプレーする必要はなく、1日履いたら数日休ませて、また履くときにかけ直すくらいの頻度で十分です。

 

むしろ、スプレーに含まれる溶剤が革表面のクリームやワックスを少しずつ溶かす可能性もあるため、頻繁にかけすぎないほうが革にとっては優しいです。定期的に汚れ落とし(クリーナー)でスプレー成分をリセットしてあげるのもおすすめです。

 

スプレー跡(シミ)ができたときの対処

近い距離でスプレーすると、どうしてもシミができやすくなります。もしシミができてしまったら、少し強めのクリーナーで落としてあげましょう。それでも落ちない場合は、無理せずプロにお願いするのが安心です(発送でクリーニングしてくれるサービスもあります)。

 

ある程度はシミを気にせず使えるスプレーですが、心配な方は靴の内側など目立たない部分で試してから本番に使ってください。

 

 

防水クリームという選択肢|実験で検証

 

防水スプレーと並ぶもう一つの雨対策が、革に油分・ロウ分を補う「クリーム」です。「使うクリームによって、水の浸透しやすさは変わるのか?」を、実際に実験してみました。

 

クリームの種類で防水性は変わるのか(油性 vs 乳化性)

検証方法はシンプルです。紙に各クリームを同量塗って一晩乾かし、水滴を垂らして、どれくらい水が浸透するか(しないか)を時間ごとに観察しました。本来革靴に塗る量よりかなり多めに塗っているので極端な結果になりますが、クリームごとの傾向はよく分かります。

 

テストしたのは油性クリーム2種・乳化性クリーム7種の計9種類です。

 

検証した油性2種・乳化性7種のクリーム

 

油性クリーム(水分を含まない)

  • サフィールノワール クレム1925
  • ブートブラック アーティストパレット

 

乳化性クリーム(水分・油分・ロウ分を乳化させたもの)

  • サフィール ビーズワックスファインクリーム
  • コロニル 1909シュプリームクリームデラックス
  • モウブレイ クリームナチュラーレ
  • モウブレイ シュークリーム
  • ブートブラック シルバーライン
  • ブートブラック 通常ライン
  • BRIFT H ザ・クリーム

 

検証結果:ロウ分・油分が水に強い

時間ごとの観察結果がこちらです。

水滴実験2分後、シルバーラインが浸透し始める

 

  • 2分……ブートブラック シルバーラインの水滴が早くも紙に滲みはじめる
  • 5分……ナチュラーレ、モウブレイ シュークリームも浸透開始
  • 10分……乳化性の数種がかなり浸透
  • 20分……油性2種は水がまったく浸透する様子なし
  • 30〜60分……乳化性のブートブラック通常ライン、コロニル シュプリームも徐々に浸透
  • 180分……油性クリームは最後まで浸透を許さず、紙の上で水が乾いていった

 

結論として、ロウ分と油分が豊富な油性クリームは水に強いことがはっきり分かりました。
水分を含まない油性クリームは、成分が水に溶けにくく、撥水的に働くわけです。

 

水滴実験180分後、油性クリームは最後まで水を弾いた

 

一方で乳化性クリームの中でも、コロニルの1909シュプリームクリームデラックスは例外的に水の浸透が遅いのが印象的でした。これはフッ化炭素系の樹脂を含み、撥水性をうたっているだけのことはあります。
乳化性で使い勝手が良いのに撥水も効くという、バランスの取れたクリームです。

 

 

防水スプレーとクリームの使い分け

ここまでの検証を踏まえて、2つの使い分けをまとめます。

 

  • 防水スプレー……表面に撥水膜をつくる。即効性があり手軽。雨の日に履く直前(15〜30分前)の備えに最適
  • 油性クリーム・撥水クリーム……革そのものに油分・ロウ分を補って水に強くする。日常のお手入れと雨対策を兼ねられる

 

理想は「日頃のお手入れで油性または撥水クリームを使い、雨の日に履く前に防水スプレーで仕上げる」という合わせ技です。
ただし、どちらも万能ではありません。油性クリームを塗っていても、雨に濡れれば銀浮きや雨ジミができることはあります。コバの縫い目や靴底から水が染み込むのも防ぎきれません。あくまで「ダメージを軽減する」対策だと考えてください。

 

 

梅雨シーズンの革靴ケア

1年でもっとも革靴に厳しいのが梅雨です。連日の雨に備えて、シーズン前後でやっておきたいことをまとめます。

 

  • 梅雨入り前……お手入れで油分を補給し、防水スプレーをかけておく。雨に強い状態を作っておく
  • 梅雨の間……同じ靴を毎日履かない。1日履いたら2〜3日休ませるローテーションで、しっかり乾かす時間をつくる
  • どうしても雨の日に履くなら……黒など濃色の靴を選ぶ(万一シミになっても目立ちにくい)。または最初から雨に強い靴を用意する

 

そして、対策をしていても濡れてしまうのが梅雨。濡れてしまった後の正しいお手入れについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

 

雨に濡れた革靴の白い粉・塩吹きと凸凹・銀浮きのお手入れ方法!
大事な革靴が雨に濡れて、それが乾くと… ほらーーー(;´༎ຶД༎ຶ`) 塩吹き こうですよ! さらに… 銀浮き ...

 

また、そもそも雨に強い革靴を1足持っておくと、梅雨はぐっとラクになります。ゴアテックス搭載のビジネスシューズなど、雨用の革靴選びについては別記事でご紹介します。

 

 

雨に濡れてしまった後のケア

どんなに対策をしても、革靴が雨に濡れてしまうことはあります。濡れた後の対処を間違えると、シミや型崩れ、ひび割れの原因になるので、正しい手順を知っておきましょう。

 

1. すぐに水分を拭き取る

帰宅したら、まず乾いた布で表面の水分をやさしく拭き取ります。泥はねがある場合は、乾いてからブラシで落とすときれいに取れます。

 

2. シューキーパーを入れて陰干しする

シューキーパー(なければ丸めた新聞紙)を入れて型崩れを防ぎ、風通しのよい日陰でゆっくり乾かします。直射日光やドライヤーは絶対にNGです。急激に乾かすと革の油分が抜けて硬くなり、ひび割れの原因になります。

 

3. 乾いたらクリームで保湿する

雨に濡れると革の油分や水分が抜けてしまうため、しっかり乾いたあとにクリームで栄養を補給してあげましょう。これをするかしないかで、革靴の寿命が大きく変わります。

 

白い粉(塩吹き)が出てしまったら

乾いた後に白い粉のようなものが浮き出ることがあります。これは革に染み込んだ汗や雨の塩分が原因の「塩吹き」です。対処法はこちらの記事で詳しく解説しています。

 

雨に濡れた革靴の白い粉・塩吹きの対処法

 

 

革靴のカビ対策

梅雨時期にもっとも気をつけたいのがカビです。カビは湿気を好むため、雨で濡れた靴をそのまま下駄箱にしまうと、一気に繁殖してしまうことがあります。

 

カビを防ぐ3つの習慣

  • 濡れた靴はしっかり乾かしてからしまう(湿ったまま収納しない)
  • 下駄箱を定期的に換気・除湿する(除湿剤や乾燥剤も有効)
  • 同じ靴を毎日履かず、1〜2日休ませる(靴のローテーション)

 

シューキーパーには湿気を吸って乾燥を助ける効果もありますが、入れっぱなしが逆効果になるケースもあります。詳しくはこちらをご覧ください。

 

シューキーパーを入れてもカビが生えないか検証

 

もしカビが生えてしまったら

カビを見つけたら、無理にこすらず専用のクリーナーで除去するのが安全です。革を傷めずにカビを落とす方法を、こちらの記事で紹介しています。

 

革靴のカビの落とし方とおすすめのモールドクリーナー

 

 

雨の日に履く革靴の選び方

そもそも、雨の日には「雨に強い革靴」を選ぶというのも大切な対策です。靴の構造や素材によって、雨への強さは大きく変わります。

 

ソール(靴底)で選ぶ

レザーソール(革底)は水を吸いやすく、雨の日には不向きです。雨の日には、水に強いラバーソール(ゴム底)の革靴を選ぶと安心です。お気に入りのレザーソールの靴には、ハーフラバーを貼って保護するという方法もあります。

 

素材で選ぶ

意外かもしれませんが、撥水スプレーで手入れしたスエードは水を弾きやすく、雨の日にも活躍します。一方、ツヤのあるスムースレザーの一張羅は、雨の日を避けるのが無難です。

 

雨の日用に一足持っておくと安心

大切な革靴を雨から守るいちばんの方法は、雨の日用の革靴を1足用意しておくことです。ゴム底で雨に強いモデルを選べば、急な雨でも安心して履けます。

 

雨の日におすすめのゴム底の革靴(Paraboot)

 

雨に強い革靴のおすすめ4選(撥水レザー)

 

 

まとめ|雨に負けない革靴の事前対策

革靴の雨対策のポイントをおさらいします。

 

  • 雨対策は「防水スプレー」と「防水(撥水)クリーム」の二本柱
  • 防水スプレーはフッ素系を選ぶ(通気性を保つ)。サフィールノワールやアメダスが定番
  • 使うときは20cm以上離して、お出かけの15〜30分前に、気持ち多めに。効果は約3日持続
  • クリームは油性や撥水タイプ(コロニル1909など)が水に強い。日頃のお手入れで雨にも備えられる
  • どちらも万能ではないので、濡れてしまったら早めのお手入れ

 

少しの手間で、雨の日でも好きな革靴を履けるようになります。憎い梅雨も、靴のケアごと楽しみながら乗り切っていきましょう。

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楠美皓平
EDITOR / 運営者

楠美 皓平Kohei Kusumi

content creater, web marketer, videographer
革靴の取材は累計250件以上。記事や動画制作の傍ら、革靴ブランドのメディア運営・マーケティングサポートに携わっています。