ジョージ・クレバリー [George Cleverley] とアンソニー・クレバリー [Anthony Cleverley] 。
英国靴ブランドとしては比較的新しいブランドですが、その見た目やフィット感の高さ故、多くの革靴フリークを虜にしているブランドです。
価格については特にアンソニー・クレバリーは世界の既成靴の中でも比較的高価な部類のものなので、なかなか手に取ることが難しい靴ではありますが、計8足お借りすることができました。
僕の持っている2足と合わせて両ブランドの違いなんかもご紹介してまいりますので、是非参考にしてみてください。
ジョージ・クレバリーとは
まずはジョージ・クレバリー [George Cleverley] というブランドについてご紹介をしてまいります。
両ブランドともイギリスのロンドンのお店を構えるブランドです。
創業者であるジョージ・クレバリー氏は1898年に生まれ、ロンドンのニコラス・トーセック氏のビスポークブランドで約40年間修行をしたのち、1958年に自身のブランド George Cleverley をスタートします。
一時ブランドが休止することもありましたが、1990年代になって甥のアンソニー・クレバリー氏が Anthony Cleverley を立ち上げ、同じ頃ジョン・カネーラ氏とジョージ・グラスゴー氏によってブランドが再開します。
ラウンドトゥと、つま先から履き口にかけて緩やかな上昇ラインを描くブリティッシュスタイルがその他多くの英国靴ブランドに見られる靴のシルエットですが、ジョージクレバリーとアンソニークレバリーは緩急のある立体的なシルエットと、チゼルトゥというつま先のシルエットが特徴的です。
アンソニークレバリー
アンソニー・クレバリー [Anthony Cleverley] はジョージクレバリーのプレミアムライン的なブランドになります。
両ブランドともシルエットは大変美しいため、一見よく似ていますがジョージクレバリーよりも手の込んだ作りをされているのがアンソニークレバリーです。
ジョージクレバリーは12〜14万円、アンソニークレバリーは25〜27万円と価格も倍近く違います。
アンソニークレバリーには青く仕上げられた木製のシューツリーが付属しているというのもありますが、後者の方がかなりプレミアム感があることがわかります。
ジョージクレバリーはクロケット&ジョーンズの工場で、アンソニークレバリーはエドワードグリーンの工場で、ロンドのお店ではビスポークシューズを作られているようです。アルフレッドサージェントの工場で作られていたこともあるとか。
アイコンモデル紹介
ジョージクレバリーとアンソニークレバリーのそれぞれのモデルを比較しながらご紹介してまいります。
両ブランドへの理解も深まると思います。
Michael と Bodie
ジョージクレバリーの黒のキャップトゥ・マイケル [Michael] でございます。デザイン自体は非常にオーソドックスですが、チゼルトゥとエレガントなシルエットによって、そう見せないのが不思議です。
そしてこちらはアンソニークレバリーの黒のキャップトゥ・ボディー [Bodie] です。
こちらもデザイン自体は非常にオーソドックスで一見どちらもすごく似ていますが、実はよく見ると少しずつ違います。
まず、わかりやすいところだと、かかとの曲線、ヒールの高さや形などが違います。アンソニークレバリーはピッチドヒールになっていて面積も小さめです。
ジョージ / アンソニー
底面ウエスト部分が盛り上がった仕様(フィドルバック)になっていたり、ビスポークシューズに見られるような意匠が施されています。アンソニーの方がやはり手の込んだ仕様になっていることがわかります。
アンソニーうっすらフィドルバック
ジョージかかと広め
また、こちらのマイケルとボディーは同じ7Eのサイズですが、つま先のチゼルトゥのエッジがアンソニーの方が強く出ていたり…
ジョージ / アンソニー
タンの位置や甲の立ち上がりも全然違って見えます。かかとの高さが違うことも多少影響していると思いますが、木型の設計には明らかな違いが見られます。
ここがやはりこの2つのブランドのおもしろいところ。
ジョージ / アンソニー
写真でどこまで伝わるかわかりませんが、革のツヤ感もアンソニーの方がより自然で柔らかなツヤを放っています。(僕の好みかもしれませんが)
ちなみにですが、アンソニーの靴にはデフォルトでつま先に化粧釘が施されており、トゥスチールの役割も果たします。
Winston と Churchill、そして2
こちらはアンソニークレバリーのアイコンシューズ・ご存知チャーチル [Churchill] です。
そしてこちらは、ジョージクレバリーのウィンストン [Winston] です。
どちらも靴紐のような装飾が施されているのできちんとした靴に見えますが、実際にはサイズ調整はできません。サイドに伸縮性の素材が縫い付けられているので、脱ぎ履きも楽なことからレイジーマンとも呼ばれるモデルです。イギリスの政治家ウィンストン・チャーチルのビスポークシューズがモデルになっていることでも有名です。
ウィンストンとチャーチルはデザイン的には非常に似ていますが、一番の違いはメダリオンがないこと。あとは、ブローギングの穴の大きさも少し違います。他にも細かいバランスの違いなどありますが、まぁまぁまぁ。
さらに、チャーチル2 [Churchill II] もございます。
こちらは、ステッチと革の継ぎ目のない一枚革でできています。ブローギングも大小2種類の穴の組み合わせのみの装飾が、この靴のシルエットを強調しています。これはこれですごく魅力的です。
ちょっと変化球で攻めたい人向けの一足。
他の2つと機能的には同じ靴ですが、見た目の印象が全然違います。
Adam と Cameron
ジョージクレバリーのアダム [Adam] です。
アンソニークレバリーのキャメロン [Cameron] です。
どちらもアデレードの装飾が施されていますが全く印象が違います。アダムは丸みのある柔らかい印象。木型もエッジの効いたチゼルではありません。一方でキャメロンは角ばった印象が強めです。
まぁ別に比較対象として作ってるわけではないと思いますが、とにかく綺麗です。
アダムだけ、インソックが全敷きになっていて、ツヤのある革が中底を覆っています。この革がまだ綺麗なこと。
Nakagawa
こちらはパンチドキャップトゥです。
靴のリペアやケアの専門店・ユニオンワークスの中川一康氏の名が付けられたモデルです。
ジョージクレバリーやアンソニークレバリーのトランクショー(オーダー会)は日本でも年に数回行われてきましたが、日本に限らずビスポークシューズ生産するなかで「お、この靴いいね!」となった場合、色や一部デザインの変更を施してそれを製品として採用することもまれにあるそうです。
Porter
シンプルなストラップデミブーツ・ポーター [Porter] です。
甲の部分の革はとても柔らかく設計されています。内側にはセンターに伸縮素材が備え付けられているので、履き心地はかなり柔らかそうです。
George
アンラインド(裏地無し)のコインローファーです。
やはりつま先のエッジは強めでロングノーズなシルエットです。アンラインドなのでアッパーの革も柔らかい革が使われていて、なかなかに気持ち良い履き心地のローファーです。
この靴についてはこちらの記事でご紹介していますので、よろしければご覧になってみてください。
最後に
両ブランドの違いについて少し理解が深まったのではないでしょうか?
これ以外にもまだまだ様々な靴を展開しているブランドです。今回ご紹介したモデルは動画でもご覧いただけますので、よければこちらもご覧になってみてください。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
※撮影協力:トモエ商事様(オンラインショップこちら)

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