全国の百貨店で展開されているブランド・鞆ゑ(ともえ)。
デザインが多く価格もかなりリーズナブルなので、革靴を初めて購入されたい方のエントリーブランドとしてもご紹介したいと思っていたブランドでした。
というお話をしたところサンプルの革靴をいくつかお借りできましたので、一部のモデルですがご紹介させていただきます。よければお付き合いください。
鞆ゑとは
鞆ゑは、全国の百貨店に紳士靴を卸販売している商社・トモエ商事さんのオリジナルブランドです。「日本のこころを履く」というコンセプトで 4 + 1 種類のシリーズ展開です。
粋 | 日本製のハイエンドライン(4万円台) |
墨 | オーセンティックなブリティッシュテイスト(3万円台) |
桜 | マッケイ製法のイタリアンテイスト(2万円台) |
藍 | ローファーがメインのフレンチテイスト(2万円台) |
結 | 他メーカーとのコラボライン(3万円台) |
長年の販売や接客から日本人の足に合う形や履き心地、好まれるデザインなどを具現化したブランドです。
ご覧の通り、2〜4万円台とかなりお求めやすい価格帯です。また、デザインもかなり豊富で色違いモデルも含めると70種類くらいあります。
ということもあり、革靴のエントリーモデルとして非常におすすめなブランドです。
2019年から『結』というラインが追加されましたが、今回は当初から展開されていた、粋、墨、桜、藍の4ラインから靴をご紹介させていただきます。
粋:ストレートチップ
技術の粋(すい)を詰め込んだ、ということで粋(いき)。4万円台(税別)の価格帯です。
粋はホールカットとストレートチップの2種類しかありませんが、鞆ゑの中でも最上級ラインですので、靴のつくりにもこだわりが詰まっています。
こちらのストレートチップは正統派ラウンドトゥの、非常にオーソドックスで飽きのこない堅実なデザインです。
粋にはフランスのタンナー・アノネイの革が使われています。
粋は唯一、ソールの出し縫いがヒドゥンチャンネル(伏せ縫い)の仕様になっています。ホールカットの方はフィドルバック、ピッチドヒールなども。
こだわり抜いた2デザインの展開です。
半カラスのソール中央には鞆ゑのロゴマークの刻印。
トンボの羽は足跡、頭は靴クリーム、胴体はブラシ、尻尾は靴べらというように革靴にまつわる道具でできています。
トンボは前にしか進まない昆虫なので、その精神を表すものとして、『勝ち虫』とも呼ばれ、一種の縁起物として昔から認知されています。 戦国時代には兜や鎧、刀の鍔(つば)などの武具、陣羽織や印籠の装飾に用いられたりもしたそうです。
ストレートチップはビジネスシューズとして履かれる機会も多いわけですが、『勝ち靴』として履いてもらいたいという意味が込められているロゴでもあります。
いやぁ、粋ですね。
墨:外羽根Uチップ
墨(すみ)。
オーセンティックなブリティッシュテイストの3万円台のラインです。
こちらの外羽根Uチップは、38,000円(税別)にも関わらず、手間と高い技術が必要なライトアングルスキンステッチが施されているモデルです。
少し焦がしの入ったアンティーク調の仕上げですが、こちらはドイツのタンナー・ワインハイマーの撥水レザーを使用していますので、雨にも強い仕様。
他にもスペインカーフを使ったモデルもあります。
展示サンプルなので少々キズあり
こちらはグッドイヤーウェルテッド製法のレザーソールですが、ヒドゥンチャネルにはなっていません。そして撥水レザーでレザーソールっていう攻めた仕様がいいですね。
同じくロゴマークの刻印。
墨:外羽根プレーントゥ
墨の外羽根プレーントゥです。
カジュアル寄りのラウンドトゥの外羽根プレーントゥもありますが、こちらはセミスクエアトゥでドレス寄りのモデルです。
セミスクエアトゥ
グッドイヤーウェルテッド製法のビブラムソールです。こちらもビジネスでも活躍しそうなモデルです。
桜:アデレード
桜です。
イタリアンテイストのマッケイ製法、2万円台のラインです。マッケイ製法なのでソールのコバの張り出しも控えめで、さらに横から見るとロングノーズのシュッとしたシルエットが特徴です。
うっすらと青みがかったアッパーは手染めで仕上げられており、決して青すぎず品のある色味です。アデレードの装飾も珍しいデザインです。
姫路のタンナー・山陽の革が使われています。
桜シリーズのライニングはその名の通り桜色という憎い仕様。
桜シリーズは革底とゴム底のハーフ&ハーフです。
マッケイ製法は靴底の張り替え修理にそれほど向かない製法ではありますが、ゴム底仕様で耐久性にも期待できそうです。
桜:ダブルモンクストラップ
こちらも桜シリーズ。
バーガンディーのアッパーで先ほどのアデレードと同様、ヨーロピアン系色気靴テイスト強めのラインです。
桜シリーズはイタリアンテイストのロングノーズですが、ストレートチップやブローグシューズなどのオーソドックスなデザインもあります。
今回は各シリーズの特徴を色濃くご紹介したく、偏ったラインナップをお借りしてまいりました。
ストラップのバックルもスタイリッシュです。
内側には伸縮性の素材が縫い付けられているので、脱ぎ履きも楽な仕様。朝は時間ギリギリ、夜は座敷での会食という日々を送る忙しいビジネスマンの味方です。
外側はムダの無いつるんとした見た目ですが、内側は少々複雑なパーツの取り方になっています。
土踏まず直上に縫い目が入ってほしくなかったというのが個人的な意見ですが、この縫い目がないとすごく贅沢な革の使い方をしなくてはいけないので、これだけ安価に革靴を提供してくださってることを考えると仕方無しかと思います。
藍:コインローファー
藍。
マッケイ製法で、オンオフ兼用カジュアルめなラインナップです。ローファー以外にも丸みのある外羽根のプレーントゥもあります。
こちらのローファーは23,000円(税別)とかなりリーズナブルです。こちらはダークブラウンですが、他にはスエードや型押しのモデルもあります。
こちらも山陽の革で、ソールはラバーソール。
丸みのあるシルエットはビジネスというよりはカジュアルで履くのにぴったりです。
結(ゆい)
2019年に新しく追加された結は、他メーカーや百貨店とのコラボ商品を展開するラインです。
ISETAN靴博2019でも店頭に並んだ『鞐(こはぜ)』。足袋(たび)の老舗ブランド・福助とのコラボブーツです。靴紐やボタンではなく、足袋の留め具を使ったブーツです。
スペインカーフとC.F.ステッド社のスエードを使用しています。
トモエ商事公式オンラインショップ
また、こちらのホールカットは伊勢丹とのコラボモデルです。同じくスペインカーフやC.F.ステッドのスエード使ったものや、姫路のタンナー・山陽の撥水レザーを使ったモデルもあります。
トモエ商事公式オンラインショップ
今後は、劇団ひとりさんが監督、映画『浅草キッド』用に白と黒のコンビシューズも追加されるようです。
サイズ感と履き心地
僕は足のサイズが23.5cmで、普段 5〜5.5(23.0〜23.5cm相当)あたりのサイズを履いています。
残念ながら鞆ゑは24.0cmや24.5cmからしかサイズ展開がないので、僕はジャストサイズで履けませんが、今回お借りした 1cm 以上大きいサイズを履いても結構かかとが小さくて、土踏まずのホールド感もあり、かなり気持ちよく履けそうなサイズ感という印象でした。
土踏まずのホールド感は、2〜3万円台という価格帯の靴ではあまりみたことがありません。ジャストサイズならかなり気持ちの良い履き心地かと予想します。
全国の百貨店で販売されていますので、履き心地については是非実物を履いて体感してみてください。
最後に
革靴のひな祭りや〜
かなり前ですが、以前お邪魔したトモエ商事さんの展示会で他のモデルの写真も撮らせていただいてましたので、気になる方はこちらの記事もご覧になってみてください。
デザインが豊富であるということがお分かりいただけると思います。
ちなみに、浅野忠信さん主演の映画『日本独立』で鞆ゑの靴が衣装として使われているようです。
エンドロールでトモエさんの名前が出るのかな?
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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くすみ様
はじめてコメントさせて頂きます。
YouTubeから飛んでブログも拝読させて頂きました。
とても参考になる内容で鞆ゑを購入しようと百貨店に行きました。
サイズ感が合わずに断念。。。
浅草靴誂と言うブランドを勧められました。
くすみさん的に浅草靴誂の靴はどんな風な印象でしょうか。
もしご存知であれば参考までに教えて頂ければ嬉しいです。
こがさま、コメントありがとうございます!
浅草靴誂も価格帯が似ており国産の良い靴だと思います。
すみません、僕は足入れしたことはなくあまり有力な情報をご提供できないのですが、サイズが合わないということでしたら国産にこだわらずいろんな靴を履いてみていただきたいと思います。