リーガルといえば日本最大級の革靴ブランドであり、商品の種類も価格帯も幅広いため、ブランドを一言で表現するのが難しいと個人的に感じていた。お話を伺ったMD担当の方によると、販売足数のボリュームで見てもツヤのある革(ガラスレザーと同じコーティングレザー)のマッケイ製法のビジネスシューズが多く支持され、ブランドに対して同様のイメージを持つ方も多くなってきているとのことだった。
ブランドイメージの構築
時代によって我々生活者の革靴に対する捉え方や接し方が違うということはあれど、これまで長年培ってきた製靴技術と、職人のこだわりが込められた最上位モデルを開発することで新たなブランドイメージを構築していくために生まれたのがこのザ・マスターリーガル [The MASTER REGAL] だ。
以前、記事と動画にさせていただいた 2013年に誕生した同社の上位モデル 01DR シリーズもかなり認知度が高く、リーガルファンから愛されている商品であるとのこと。もちろんインポートブランド含め世の中にはいい靴はたくさんあるが、リーガルを愛用してくださってる方々に向けてリーガルブランドから最上級のモデルをお届けしたいということで2021年秋にマスターリーガルがリリースされた。
パターンオーダーやビスポークが可能な REGAL TOKYO など同社レーベルでさらに高価な靴の展開はあるが、リーガルのレギュラー商品として最上級な仕様・価格で展開されている。
日本製なので作り手を近くで感じてほしいという想いも込められている。
今回の革靴
- Brand : REGAL
- Collection : The MASTER REGAL
- Design : Oxford Cap Toe, Wing Tip Derby, Saddle Shoes
実店舗のみ展開する理由
プロダクトの詳細をご説明するより先にお伝えしたいのは、今回のマスターリーガルがなぜこの時代にオンラインで販売されず、実店舗でのみ取り扱っているかということ。
今回の靴は購入後、2年間で最大10回までのアフターケアがついている。
良い素材を使っているので当然それをケアすることで長く履いてもらいたいというメーカーの想いもあるが、靴を通してリーガルファンと繋がっていきたいという想いも込められている。
そのきっかけとして、ケアのためだけに店舗に足を運んでもらってもいいし、質の高い靴だけでなく実店舗での接客やフィッティングなどの体験を高い水準で提供することで、ブランドを直接感じてほしいということだ。
アフターケアは開発段階から必ず入れたかったサービスだと伺っている。
定番3デザイン展開
デザインはこちらの3種類展開。
- 内羽根ストレートチップ
- 外羽根ウイングチップフルブローグ
- サドルシューズ
定番のものとリーガルならではのものとが混在する、わかりやすい3デザインになっている。
- ストレートチップはブラックとブラウン
- ウイングチップはブラックとブラウン
- サドルシューズはブラックとダークブラウン
という各2色展開だ。
価格は全て ¥52,800(税込)。
ストレートチップ 01ALDE
定番のデザインではあるが、今回一番注目すべきはトウキャップがイミテーションになっているところ。つま先には先芯という芯材が入れられるため、素材が重なりボリュームが出てしまうが、木型のラインをより綺麗に見せるためトウキャップの縫い目を無くして1枚の革でステッチのみを施した意匠になっている。
レースステイのサイドにも縫い目の無い、徹頭徹尾装飾を削ぎ落としたこだわり抜かれたデザインだ。
ウイングチップ 03ALDE
外羽根ウィングチップのフルブローグ。
革断面のギザギザの装飾(ピンキング)もかなり小さなものになっていて、何よりこのブラウンの革質がとてもよい。ステッチの幅も非常に密で繊細なつくり。
サドルシューズ 02ALDE
昔のサドルシューズを意識したクラシックでドレッシーなサドルシューズとしての提案。リーガルのアイコンシューズのひとつ、サドルシューズ。
既製品では決して多くないサドルシューズだがオーダーされる方も多く、やはり「リーガルといえば」というブランドイメージを体現したモデル。6穴の外ハトメというのも非常におもしろい。
01DRシリーズとの違い
2013年当時、オーセンティックな靴を作りたいということで、当時の解釈でシャープなシルエットの木型の01DRが誕生した。今回のマスターリーガルもオーセンティックというコンセプトは変わらず、現代の解釈で現代のニーズに合わせたシルエットの木型でマスターリーガルが誕生した。
6穴と5穴でデザインバランスも違うが、詳細をご紹介して参りたい。
つま先のシルエット
左:MASTER REGAL、右:01DRCD
木型全体に大きな違いはないとのことだが、つま先の長さとボリュームはかなり違った印象だ。01DR当時は少々ロングノーズなシルエットの靴が流行っていたということもあるが、昨今ではカジュアル需要が強い。カジュアルにも履きやすいドレスという位置付けでつま先のボリューム感を調整した木型になっている。
ただ、木型自体は1mmしか長さが違わないとのことだが、コバも平コバと矢筈コバとで見え方も全然違った印象になっている。
左:MASTER REGAL、右:01DRCD
また、母趾球まわりにも少しゆとりを持たせ、土踏まずを締めすぎない設計にすることで、01DRよりも楽に履けるようになっている。母趾球をタイトにすることで高いフィット感を得られるが、人によっては疲れてしまう方もいるため、今回は絞りすぎない設計になった。
本底ウエスト部分の曲線を比較すると、その設計の違いがわかりやすそうだ。
左:MASTER REGAL、右:01DRCD
より良い足あたり
というコンセプトの中で、01DR当時は堅牢性を重視された素材選定も、今回はもう少し足あたりのよい柔らかさを求めた素材選定に変わった。
01DRシリーズではアッパーにアノネイの革を、ライニングには国産の牛革を使用しているところ、マスターリーガルではアッパー、ライニング共にデュプイの革を使っている。内外ともにデュプイとなるとデシ単価が相当高くなるだろうことは想像に難くないが、それを5万円台で提供してくださっているのは驚きだ。
デュプイのライニングは繊維が締まっていて、アッパーにも使えるくらい上質なものを選んでいる。
伏せ縫い(伏せ溝)
意匠としてもこだわって作られているのがこの伏せ縫いだ。リーガルのwebページでは伏せ溝と表記されている。ヒドゥンチャネルと表記されることもある。同じくグッドイヤーの01DRシリーズでは出し縫い糸は底面に出ているが、この工程数も多い底面の仕上げを施している。
また、ソールウエスト部分はリーガルのブランドカラーでもある赤に染められ、その存在感を演出する仕様になっており、中央にはスチールのロゴプレートも埋め込まれた特別感のある仕上
取り扱い店舗
詳細は公式サイトをご覧いただきたいが、申し上げた通りマスターリーガルは全国の百貨店とリーガルの専門店「REGAL SHOES」の一部店舗にて販売されている。
箱も特別感のある印籠式のものだ。
リーガルブランドの紹介や、01DRCDについてご紹介している記事もあるのでご参照されたい。
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