そしてテレワークという働き方が一般的に認知されることで存在をあらわにする『働かないおじさん』のように、時代の流れに沿って変化し淘汰される文化のひとつとして、革靴というものが当てはまる気がしてなりません。いや、革靴というよりはビジネスシューズと言うべきかもしれません。
ある調査でアフターコロナもリモートワーク中心がいいというアンケート結果がいろいろあるようですが、とにかくいろいろメリットはあるようですから、家から出ないで仕事が完結するスタイルが定着する業種も増えそう。そうなると、テレビ会議のときに羽織るジャケットならまだしも、画面に映らないことで必要なくなったビジネスシューズが不要になります。
さらにミニマルとか断捨離とか片付け術という物欲という言葉とは真逆のライフスタイルがもてはやされ、それに加えて物を捨てると運気も巡る的なライフハックが謳われる昨今。毎日履かないのであればなおさら冠婚葬祭でも履ける黒の革靴がひとつあれば十分という人が増える気がします。
世の中に必要とされるものやブームを巻き起こすものには、何か理由や合理性が必要です。
悲しいかな、革靴を足の健康を保ってくれる道具と捉えている人は少ない印象です。というわけなので、お仕事の都合上革靴でないといけない人を除いては、ビジネスシューズとして革靴を履く人は減っていくと予想します。
一方で、アパレルでもECに強かったブランドは売り上げが伸びているとか、ZOZOも調子が良さげ、みたいなニュースはなんとなく流れてきます。
しかし、革靴特に高級紳士靴はオンライン販売には向いていない製品だと考えます。(すでに自分の足に合っている靴がわかっていて、それをもう一度購入するのなら別ですが)
ひとつはリアル店舗のように試着ができないのと、接客を経て足に合う靴を提案してもらうことができないから。もうひとつ、革靴は洋服と比べると圧倒的に高価なので、サイズ合わなくて失敗したら…という不安を招きやすいから。
しかし、これはビジネスシューズとして革靴を見たときの話。
革靴には他にもファッションとしての価値があると思っています。ファッション系のYouTuberさんの配信とかを見ていて、ローファーいいのありますか?とかオフでも履ける茶色の革靴ありますか?みたいなコメントが結構飛び交うところを目にします。結構そういうコメントを見るので、なんとなくだしどれくらいかはわかりませんが需要はあるのだなぁと。
スマートニュースのメンズスタイルカテゴリには今までと同じように革靴の記事が流れてきます。そうやって雑誌やwebメディアで着こなしについて発信されているからか、漠然とファッションアイテムという革靴が認知されている印象です。あくまでローファーとかオフでも履けるというのがキーワードが多いようですが、ある。あるはある。
そんな中、エドワードグリーンも少し前からwebサイトに自宅勤務というライフスタイルに合わせて、こんな靴を選んでみてはいかがだろうか?みたいなコンテンツを公式ページに公開しています。
そこには、こうあります。
Now’s the time to wear something looser, more comfortable
https://www.edwardgreen.com/
今こそゆったりしてて心地よいものを履く時です、と。
アンラインドのドーバーはいかが?とか、こんな洋服に合わせてこの靴はいかが?みたいな内容です。鮮やかなコーラル色のポルペロ、かわいいですね。ソールも薄くウェルト靴ではなさそうです。お値段は結構しますが。
前々からこういう靴があったのかどうかはわかりませんけど、明らかに時代を意識しているんだなということが見て取れるコンテンツです。
資本力のあるコングロマリット傘下のシューメーカーではなく、アパレルは取り扱っていないグリーンがリファレンス不要のイラストで発信しているところに前向きな創造性を感じます。
22万人感染者が出ていて、日本よりもはるかに都市部の行動規制が強いイギリスですから、危機感を覚えての対策だったのではないかと。需要の変化を嘆いても仕方がなく、形を変えて世の中に価値を提供できるものが残っていくんでしょうね。
日本だとどうなんでしょう?
残念ながら日本では室内で靴を履く文化はありませんから同じようにはいかないと思いますけれども、とにかくビジネスシューズではないでしょうから時代は。
コンフォートシューズというくくりになるとどうしてもスニーカーに対抗せざるを得ないのだろうかとか。そこに5万も10万もお金を払ってもいいと思う人はどれくらいいるのかなぁとか。
さらにカジュアル化が進むとより大衆向けに安価なものを量産して季節ごとの回転率を上げるというビジネスモデルになったりするのかなぁとか。手間のかかるブローグのような装飾のある靴は減って、底付けが簡単なものになるのかなぁとか。革靴というものが広く認識されることは素晴らしいことですが、とにかくメーカーさんに負担がかからないものだといいなぁと勝手に思ったりしています。
たとえばローファーが入口となって他の革靴に興味を持つ人が増えるかもしれません。
その結果、気に入った靴をお手入れしながら長く大切に履くという、スニーカーとはまた違った価値を感じてくれる人がいたらそれはそれで良し。
グリーンを例にカジュアル寄りの靴にフォーカスしていろいろ書いてきましたが、それが正解かどうかなんてわかりません。一定数履く人がいたから需要があったビジネスシューズという表現が減って、これからは靴としての機能とか、履き心地とか、ファッション要素とか、オンオフの汎用性とか、そういうところで価値を見出して訴求する革靴が増えるのかなぁなんて考えていました。
昔から変わらないことが良さだった革靴の価値は当然これからも一部の人たちの間では語られるはずですが、時代とともに形を変える必要があるのか、それともその価値をいかに時代に合わせて発信していくかが大事なのかなぁという気がしています。
僕はもちろん自分の好きな靴を今後も発信していきたいと思っていますが、より多くの人に届けるには今までと同じやり方では通用しないだろうなぁと思い、自分のやり方を考えなければと思っています。決して悲観せず楽しく前向きにやっていきたい所存です。
もう一度申し上げますけど、正解があるなんて思ってません。とりとめのない内容でしたが、僕は革靴が好きで革靴という文化が衰退していくのは悲しいなぁと思っています。とりあえず僕は一日も早く収束して百貨店に行って靴を買いたい。とにかく欲しい靴がある。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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くすみさん‥いつも楽しみに拝読させて頂いています。初めての投稿になるのですが、初期の頃から本ブログは好きで、勝手に長く付き合わせて頂いています。
最近また記事の発信が多くなって来て、個人的には嬉しい限りです。(YouTubeも勿論OKですが‥年齢的(初老)に活字が楽しめます(汗))
無理せず楽しく続けていって下さいね。自分も「革靴愛」を共有しながら楽しませて貰っていきます。
※ちょっとカタいコメントでごめんなさいね。
ぼりチャンさま、嬉しいコメントありがとうございます!そう言っていただけてとても励みになります。
しばらくサボり気味だったブログも、YouTubeをはじめたことによって、また新たなやりがいを見出せるようになってきました。
今は靴メインになっていますが、マイペースながらもしっかり続けていきたいと思っています。またお時間あるときにお付き合いいただけたら嬉しいです。
よろしくお願いいたします。