本日、ご存知スコッチグレインの工場見学会に参加させていただきました!!
はじめて革靴ができる工程を間近で見させていただきました!
写真をアホほど撮影してきましたので、余すことなくご紹介していきます!
工場見学概要
開催日時 | 2018年4月20日(金)13:30 – 16:30(3時間) |
参加費 | 1,000円 |
定員 | 30名 |
日本を代表する紳士靴ブランド”SCOTCH GRAIN”の製造元である(株)ヒロカワ製靴を見学するツアーです。品質とファッション性を兼ね備えた本物のグッドイヤーウエルト製法の高級靴はどのように生み出されるのでしょうか? 一見の価値ありです!
引用元:浅草エーラウンド2018(http://a-round.info/cat-tour/3357)
廣川社長ご挨拶
まずは、ヒロカワ製靴の社長さんからご挨拶。
今年で創業が53年目、そしてスコッチグレインのブランドができて40周年のヒロカワ製靴さんです。
最初はメーカーとしてのスタートだったので、スコッチグレインという自社ブランドはなかったとのことでした。
それまで黒と茶色のビジネスシューズばかりを生産されていたのですが、JUNをはじめ、ISSEY MIYAKE、BIGI、Yohji Yamamoto、Zuccaなどなど…のアパレルブランドとの取引がきっかけとなりグッドイヤーの靴の生産量が増えていったそうです。
そのころ、博報堂の営業の方の一声でスコッチグレインのブランドができ、百貨店での販売などが徐々に増えていったようです。
グッドイヤーの良さ
スコッチグレインの靴の中底は全てイタリアの革を、年間契約で輸入されています。
年間で契約されるのは、もちろん量を増やして原価を抑えるためです。
グッドイヤーの靴は3ヶ月くらい履き込むとこのように沈んで履き心地も向上するという、グッドイヤーの魅力についても触れられていました。
革へのこだわりについても名高いスコッチグレインですが、そんな革についても社長さんからご説明がありました。
革へのこだわり
革の面積は、10cm x 10cm の面積をdeci(デシ)という単位で計算します。
写真のような革の大きさ(一頭の約半分)を144デシという単位で革を輸入されます。
1つの靴に使われる面積は30デシ。
ただ、革の部位によっては使えない部分もあるので、だいたいこの144デシの一枚の革から4〜5足程度の靴ができるとのことです。
イタリア、オランダ、フランス、スイスなどの国から革を輸入されていて、無駄なく革を使うように革は全て自社で裁断して使われているとのことでした。国産の革もあります。
素材も無駄にしないための工夫であるそうです。
オランダ地方は気候の変化が穏やかで、革質も一定であるという理由でオランダの革も多いようです。
あと、フランスのアノネイの革は高いとか、スイスの革をドイツ経由で買われているなど、革に対する強いこだわりを感じます。
まぁ、靴の素材のほとんどは革でできているわけですからね。
品質とコストに対しては、こだわりというか厳しく判断されている印象です。
革の裁断
本底と中底などの裁断の風景です。
グッドイヤーの特徴でもあるリブテープを貼る機械も生で見ることができました!
また、アッパーも同じ建物で裁断されていました。
このように、革をチェックして傷があったりする場所を印をつけて裁断のときに使わないようにしています。
フランスのアノネイのベガノという革です。
ヨーロッパの革にはこのように丸々一頭の革もあるようです。この形で輸入すると、革の裁断に無駄が生じにくいとのこと。
あのね?
これがアノネイだよ?
牛は生後一ヶ月の革を使っています。
体があまり大きくなりすぎてしまうと革の質にも影響するとのことでした。
製甲(せいこう)
また切り取ったアッパーの革は『製甲』というつなぎ合わせる作業が必要です。
これは東北の方に依頼をされているとのことでした。
このスコッチグレインのスパイダーという靴、ご存知の方も多いと思います。
このデザインは首のあたりの余った革を使えないかということで、このように貼り合わせたようなデザインが生まれたとのことです。
墨田区のデザイナーさんによって生まれた、革を無駄にしないためのデザインなのです。
普通の靴であればアッパーは5パーツ程度ですが、スパイダーはそれに比べて18パーツ。なので裁断と製甲で約10倍の手間がかかるのだそうです。
(底付け以降の製法は他の靴と同じです。)
革代は余ったところを使うのでそれほどかからないが、手間代がかかると、そういった靴なのです。
底付けの工程
木型は色分けされていて、パッと見でサイズがわかるようになっています。
赤は25cm。
これが釣り込み機です。
グッドイヤーの最新式のイタリアの機械。
一体1600万円。
その前に、つま先に型の癖をつける機械は、数百万。
木型のシルエットが登録してあって、その形に合わせて接着剤(温度で溶けるもの)で形作られるのだそうです。
中底とアッパーを釘留めする機械です。
上の管から釘が流れてきてバスンと留めるイメージです。
ウェルトを縫い付ける機械。
昔は麻糸を使っていたのですが、ナイロンの紐を接着剤で固めて耐久性を持たせる機能も備えています。
ウェルトの素材は本底と同じ素材です。
ウェルトの素材は他のメーカーさんにもおろしたりもされてるようです。
こんなに工程があるんですね。
インペリアルでしょうか。
高級品にはカバーがされたまま工程を進みます。
アッパーも本底もカバーも一緒に縫い付けるのだそうです。
底を整える工程
グッドイヤーの場合、底は靴に対して少し大き目のものを貼りますが、それを削って靴の形を整えます。
その機械です。
中物などの素材と本底を馴染ませる機会です。
本底にヒールを接着する工程です。
これも熱で溶かしたものを塗られています。
ソール全体の色付け工程です。
これは手作業でやられていました。
最初は革だったものが徐々に靴の形になっていくワクワク感があります。
ここまでで、靴の形は完成し木型がようやく取れます。
底付けの工程は4日で出来上がります。
なので5日目にはまた新しい靴に使われたり、生産ラインによっては地下の木型倉庫に保管されます。
艶出しの工程
形の出来上がった靴の艶出しする工程です。
品質管理のため、製造の工程でダメージがあるものなどをはじきます。
傷などが直せるものは直し、ダメなものはアウトレットへいくというような感じです。
ワックスで磨き上げる工程です。
これが雨の日用の靴の代名詞シャインオアレインです。
革にフッ素が染み込ませてあるので、撥水効果が高いのが特徴です。
靴の種類やランクによって、このような型押しを靴底に押します。
こんなに種類があるんですよね。
かわいい。
水性の艶出しを吹きかける機械です。
モルトドレッシングされてる靴。
これは終業後に希望者を募って、残業という形でモルトドレッシングをされているのです。
おもしろいのが、モルトドレッシングが上手くなってくると個性が出はじめちゃうので、それを均一にするよう管理されている方もいらっしゃるとのことです。
あとお酒を飲みながらモルトドレッシングされているわけではないそうです。笑
工場見学の内容はこんなところです。
所感
靴づくりってもっと手作業が多かったりとか、”職人さんの業”的なイメージがありました。
でも、これだけ名を馳せた大きなブランドになると、生産数も確保しなければありませんし、品質も原材料の原価も管理しなければなりません。
製造業ってそうだよなって思いながら、靴製造業の現場を学ばせていただきました。
同じ機械を2台ずつ置かれていて、ひとつが壊れてももうひとつでカバーできるような体制だったり、作業者の皆さんもグループになっていて誰かが休んでも他の方が変わりに作業に入れるような体制だったり。
製造ラインを止めないような工夫がされていました。
1日の480足も靴ができるわけです。
作業工程が多い分、どこかが滞ることを避けるために、効率と生産性を重視した”産業”という印象でした。
ふさわしい表現かわかりませんが、日本の靴業界をリードするブランドの在り方を見させていただいた気がします。
お約束
やはり知り合いの方も多く、シューサークルとお土産でもらったモーモーで写真を撮りましたので、ご査収ください。
僕のモーモーだけスエードでした。
モルトドレッシングのやり方の冊子ももらったので、ウイスキーが飲めるようなナイスミドルになったらやってみます。
廣川社長は、水でも変わりませんからっておっしゃってました。笑
コメント
いつも楽しく拝見させていただいてもらってます。
初めて買った本格革靴はスコッチグレインなので、工場見学とても羨ましいです。
白桃さま、コメントありがとうございました!
いいですね!僕も欲しいです!
僕は工場セール品を目当てにしてたんですが、そういうのはありませんでした…笑
あまり大きい声で言えないですが、アウトレットだと10,000円程度OFFで購入できるので、アウトレットもおすすめですよ!