しくじった数なら負けないという探究心の権化・ZinRyuさんの革靴フィッティング講座

ZinRyuさんの革靴フィッティング講座の記念すべき第一期生は、わたくしくすみでした。
しかも僕ひとり!

てっきり参加者は複数人いらっしゃるかと思っていたので、もう本当に贅沢の極みでした。
もう僕なんかですみませんという気持ちと、二期生以降は僕の後輩だから遠慮なく先輩風ってやつを吹かせていきたいという気持ちでいっぱいです。

冗談はさておき

結論から申し上げますと、今まで味わったことのないフィット感を体験できました!

興奮に満ちたツイート。

ZinRyuさんとは

ご存じない方のために一応ご紹介しておきますと、2015年のジャパンレザーアワードでグランプリを取られた方です。
しかも個人出場で、リーガルや大塚製靴など、名だたるレザーブランドを差し置いてのグランプリです。

これってすごいことじゃありません?

写真引用元:ジャパンレザーアワード2015

しかも、靴を作ることに関してはずっと独学でやられているそうで、木型を削っては工房に持っていって形にしてもらうという、ラスト(木型)メイカーさんでいらっしゃいます。

同伴いただきフィッティングへ

ということでフィッティングです。
少々緊張しながら新宿の伊勢丹メンズ館に到着。

簡単に挨拶を交わし、その場ですぐに足の周りを計測。

もう店員さんの目を気にしている暇なんてありません!笑

なんとなくこんな靴で探していますというのと、ざっくり予算をお伝えしましたが、僕の事情は関係なくフィッティングという観点で靴を選んでみたいです!という旨をお伝えさせていただきました。

なので、ZinRyuさんにブランドの選定はお任せする形に。

目次



ユニオン・インペリアルを試着

まずは、ユニオン・インペリアルを試着させていただきます。

こちら、オーソドックスな黒のストレートチップです。
サイズは6です。

履き口のあたりにはフィット感がありますが、足の甲から指の付け根にかけてと土踏まずにはそこそこ余裕がありました。

ピンクのエリアが全体的に余裕がある感じです。

カルミナを試着

次はカルミナです。

こちらもデザインではなくて、足に合うことを前提に選んでいただいた靴です。

ユニオンインペリアルよりは、履き口のあたりから足の甲のあたりまで、かなりフィットしています。

ピンクのエリアの指の付け根あたりは革を押すと余裕がありました。

今までの僕だったら、このフィット感で完全に満足していたと思います。
次の靴でそれが大きく覆されました。

クレマチスを試着

最後にクレマチスです。

これは、かなり靴紐をキツくしばってもらいましたが、足の形にぴったり革が沿う感覚を得られました。

カルミナでも合わなかった、指の付け根部分もしっかり足を覆っている感覚です。

特に感動したのが、土踏まずのフィット感です!
両足を内側からぴたっと押さえつけてくれる安心感がありました。

なので、足に変に力が入らず、すごく良い履き心地を得られます。

き…きもちよかったです

靴の形状で合うか判断する

ZinRyuさんは靴の形状を見て、木型を判断されていました。

どういうことかと言いますと、うまくお伝えできるか不安なのですが…

木型の設計は当然のことながら靴の形状に反映されます。
僕の浅い浅い理解ではありますが、『木型の設計』というのは、『いかに足合う靴ための木型を削るか』ということなのではないかと思うのです。

設計というからには、機能を追求するというか、そう言ったニュアンスが含まれているはず。

じゃあ具体的にどういうところを見てるのって話ですが。

ZinRyuさんがおっしゃるには、木型の基本線についてのこちらのツイート。

ご覧の通り、足の形に合わせて木型も内側にねじれたような曲線を描かなくてはならないですよねって話です。

確かに、人の足は直線で軸を捉えられるような単純な構造をしているわけではありません。
そこを木型の設計に盛り込んでいるか否かというところを重点的に見られているのだということを改めて認識しました。

当然僕の目では、靴の形の好みは判断できても、パッと見で足に靴が合うかどうかを判断することはできません。

なのでZinRyuさん目線で、靴の形、すなわち木型の形状から、僕の足に合うものご判断いただきました。
あとは、一応僕の足のサイズや形も考慮して、という感じかと思います。

これは一重に、ZinRyuさんが8年以上木型を削られてきた経験の賜物であると言っても過言ではないと思うのです。

ちなみに、僕の足に合うことを前提に靴を選んでいただくとなると、必然的にサイズが小さく甲が薄いもの、となります。
ZinRyuさんが店員さんに声をかけていただくときは「この靴いくつからサイズありますか?」でした。笑

足に合う革靴の選び方

ZinRyuさん流、足に合う革靴の選び方です。

・かかとがしっかりフィットしている
・つちふまずがフィットしている
・甲が前に出ない

この3点が大切なのだそうです。

当たり前じゃんって思われたかもしれないですけど、じゃあそれを基準に靴選んだことありますか?って話ですよ。
僕もこれ書いてて、あれ?って思いましたけど、これって要するに全部合ってるってことだと思うんです。

でももしかしたら、既製靴から選ぶとここまでフィットする靴ってほとんど限られてくるかもしれません。
実際ZinRyuさんも、そうおっしゃってました。

なので、デザイン重視で選ぶとフィット感はある程度あきらめないといけない場合があるかもしれませんね。

なぜ合う靴が少ないか…

じゃあなんでこういう靴が少ないかというと、それにはちゃんと理由があるんです。

例えばこちらのZinRyuさんの木型。

普段我々が使っている市販のシューツリーとは似ても似つかない木型です。
美しい。

いい例えが見つかりませんが、海外のスポーツカーってこういう流線型の形の美しいものがある気がします。
僕は車には全く興味ないですが

市販のシューツリーのような汎用性ではなく、機能性を追求するとこういう美しい形になるのでしょうか。

こう言った木型で作られた靴って釣り込みの技術を必要とするんですって。

釣り込みとは…
木型に合わせてアッパーの革を合わせる作業のことです。


この釣り込みって機械でやることが多いらしいのですが、これだけ木型が複雑だと機械だけでは追いつかず、職人さんの手で細かく調整をする必要があるらしいのです。

たしかに技術力がないと、これほど複雑な形の木型に革を張るのが難しいことはなんとなく想像ができますね。
なので、技術も工数も必要になるらしく、量産される既製靴には向かないものと思われます。

すごく納得です。

量産されるような靴は、そう言った工数を削減することを目的に作られているかどうかはわかりませんが、汎用的につくられている、というか文句を言われないように作られているのだとZinRyuさんはおっしゃいます。

ビジネスの形ですね。

結婚式がいい例ではないでしょうか。
結婚式はパッケージ化することによって量をこなすことができるわけですが、結果似たようなものが多いわけです。
でもオーダーメイドの結婚式はそれなりに費用もかかるが、自分たちなりの結婚式を挙げることができる。

どっちが良い悪いじゃないんです。

僕はユニクロも好きだしマクドナルドも好きです。
ちょっと違うか…

フィット感の意味を知る

今まで靴を選ぶ基準が価格とデザイン、あとかろうじて製法しか選択肢として無かったわけです。
でも、履き心地という大切な基準を強く認識することができました。

あのフィット感でしばらく靴を履いてみたい。

ちなみに靴ズレするのは、靴が局所的に足に当たることによってそこだけに負荷がかかり起きるものです。
あれだけフィットしている状態だとそこんとこどうなんだろうかと、それが気になって仕方ありません。

ZinRyuさんの探究心

ZinRyuさんのnoteにも買いてありますが、ZinRyuさん昔買われた靴は金沢にあるKOKONというブランドの靴なのだそうです。

そこから、あれ…足にフィットしてないぞ?という感覚が芽生え、いろんな規制靴を試されたりオーダーされて研究を重ねてこられたそうです。

しくじった数なら負けないと笑顔で仰っていました。

ZinRyuさんが名だたる有名ブランドを差し置いて日本最大のレザーコンペティション、ジャパンレザーアワード2015で優勝されたのは、まさにこの探究心によるものだと僕は考えます。

ZinRyuさんが仰っていたのは、

自分の感覚を大切にしてやってみる
やってみてどうだったか検証する
そして改善する

という、誰もが知っているようで案外難しいこのサイクル。

そもそも僕みたいな凡人では、あれ…靴のサイズあってないぞ?っていう疑問を抱くことはまずないわけです。笑
しかし、ZinRyuさんはそこに疑問を感じ、もっと良い木型にするには?どうしたらいいかという検証をひたすら繰り返されたのだと思います。

探究心の権化です。

探究心という才能

きっとこの若さでこれだけの作品を作られたことに対して、世の中からはいろんな批評があることでしょう。

中にはZinRyuさんの作品を批判するものもあったそうですが、じゃあ批判した人の靴を履いてみるとこれが案外良かった、なのか、全然ダメだった、なのか…
良かったなら良かったで、自分の作品とどう違うのかと。
そんな批評すらもご自分の作品のための経験にされていらっしゃるようでした。

逆に評価も多かったはずです。
なにせ独学で優勝されたわけですからね。
いろんな方面から才能だと称えられたようですが、でもご自分ではそうは思われていないという。

いやいや、それは才能ですよ!って突っ込みたかったところですが、きっとご謙遜されているわけではなく、本当にご自分ではそう思われているんだと、なんとなく空気的に僕が感じました。

個人的には『自分の感覚を大切に』っていう言葉が素敵な言葉だなって思いました。

自分の感覚を大切にするとは?

自分の感覚を大切にするってどういうことでしょう?
自分がいいと思ったことを信じるということでしょうか。

この表現月並み以下ですね。笑
まんまです。

でも、自分が好きと思うことを損得を抜きにして選ぶことで、自分の感覚って磨かれていくもんなんじゃないかと思うんです。

僕はコンビニでこのお菓子を気付いたらカゴに入れて、気付いたらレジで会計済ませてますが、おかげさまでどのコンビニのこのお菓子が一番うまいかって聞かれたら即座に答えます。
なんならちょっと食い気味でセブイレ!って言います。

体重の増量という損得は抜きにして…

いや、冗談はさておき

脳が求めてる答えを認識することで、脳が幸せになれるというか。
こっちの方が安いからとかそういう損得だけでランチを選んでいると、自分の感覚は必ず衰えます。僕はそう思っています。

逆に今はこれが食べたいという感覚を大切に毎日を過ごしている人は、魅力的で輝いているように見えます。担々麺ならあそこがうまいとか鶏料理ならあそこだとか、

自分が好きだとか美味しいと思う方向に歩んでみる。
そうすると、きっと幸せになれると僕は思っているのです。

僕ごときがZinRyuさんを一言で表現するなんてほんっとにおこがましいことこの上ないのですが、ZinRyuさんはきっと純粋でまっすぐな方なんだと、ビールを飲みながら肌で感じました。

僕はこの感覚を信じてます。
でも、実際お話させていただいたら、ZinRyuさん靴の話題をお話されている表情は魅力的でした。

お酒を3杯飲まれたZinRyuさんの「3割の人に会う靴が作れればいいかなぁって思ってます」って言葉が僕は一番印象的でした。

最後に

この文章でどれだけお伝えしたかったのは、靴を選ぶときフィットするという感覚を選択肢に加えてみてはいかがでしょう?ということと、もうひとつは、自分の感覚を信じて行動するのって幸せになれるんじゃないでしょうか?っていうふたつでした。

靴のフィッティングだけでも貴重な時間をいただけたのですが、それ以上にZinRyuさんという方の生き方に存分に肌で触れることができました。

それが僕にとっては有意義でした。

ちなみにZInRyuさん、平日は会社員ですからね!笑
その純粋な探究心がZInRyuさんの才能なのです。

ZInRyuさん、素敵な時間をありがとうございました。
読んでいただいた方も最後までお付き合いいただきありがとうございました。

そして解散直前に財布を忘れたことに気付く僕。
一旦ZinRyuさんにお支払いいただく形に…
自分で自分に、そういうとこやぞ、と…。
恥ずかしい気持ちで家路につきました。
(お金は帰宅後すぐにお振込させていただきました!)

※他にもいろいろ教えてもらったことがあったので、また別の記事にします。

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プロフィール

『革靴の魅力や靴磨きの楽しさをもっと多くの人に知ってほしい』という想いでブログやYouTubeで情報発信を行っています。 前職の経験からシューメーカーのブランドサイトやオンラインショップの制作・カスタマイズ、広告運用を受け持ったり、ブランディングや商品開発のコンサルなども手がけています。
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