革表面が乾燥して見えるので保湿してあげたくなります。
というご質問をいただきました。ありがとうございました。
ご覧いただいたのはこちらの記事ですかね。
お問合せフォームからご質問を送っていただいたのですが、返信用のアドレスが間違っていたようで、返信ができませんでしたので記事にさせていただきます。
保管する環境
長期保管中の不安のひとつは、やはりカビです。
高温多湿な場所で長期保管するとカビが生える可能性がありますが、ご存知の通りカビは、①湿気、②気温、③酸素、そして④栄養の4つが揃った時に発生します。
デリケートクリームの成分のほとんどは水分であるとは言え、有機物を含んでいます。その成分を媒介にしてカビが生える可能性がありますので、個人的には塗らない方がベターかと考えています。
ちなみに、温度が20℃~35℃くらい、湿度が80%になるとカビが生えやすいと言われますが、温度や湿度の管理ってなかなか難しいですよね。
なので、できるだけ不安要素を取り除いくために、靴の中に乾燥剤を入れたり、できるだけ湿気が溜まりにくい環境で保管していただくのがおすすめです。
保管中は柔軟性は不要?
また、革はすっぴんの状態や乾燥した状態で保管したからといって、極端に劣化するということはありません。
なぜなら、保管という状態であれば外的な圧力や運動がほぼないからですね。
ただし、革は屈曲する時には柔軟であるべきですので、保管期間が終わって再び履くタイミングで、また適度な水分と油分を加えてあげれば、屈曲しても革の繊維が柔軟な状態を保つことができます。
逆に、履いて屈曲を繰り返す状態で革が乾いていると革の繊維構造が崩れて、深い皺が入ったりひび割れや靴の型崩れ起こりやすくなります。
ちなみに、5年〜13年間革を長期保管したという実験があり(※)、そこでは保管後のクロム含有量の変化は認められなかったとあります。
ただし、遊離脂肪酸の減少が原因で、引っ張り、伸び、引き裂きなど、機械的性質は減少するという結果もありますので、保管後にはしっかり保湿と栄養補給をしていただきたいところです。
成分酸化の可能性
また、デリケートクリームなどに含まれる油分は僅かな量であっても、時間が経つと硬化する場合もあるかと考えます。これを成分の酸化と言ったりしますよね。
クリームによって使用している成分は違いますし、それぞれの成分特性を全て理解しているわけではありませんが、成分が濃いものやロウ分を含むクリームもあります。
革に浸透した油分やロウ分が硬化してしまうと、革の繊維構造に負担がかかる可能性もあるので、長期保管時は塗らなくてもいいのではないか、と考えています。
※皮革の長期間保存中における性状の変化 – J-STAGE
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保管時の説明でこんなにわかりやすい記事もないと拝見しました。
これからも色々な靴好きの方の質問に答えた記事を楽しみにしています。
コメントありがとうございます!
そう言っていただけて何よりです!励みになります!