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革と向き合い、贅沢な時間を楽しむプレメンテナンス

靴好きの方なら誰しもご経験があるのがプレメンテナンスだ。そのプレメンテナンスを、早く快適に履き下ろしを迎えたいための作業と捉えるか、最初で最後の贅沢なお手入れと捉えるかで、その時間の楽しみ方も変わる。

今回の革靴

  • Brand : Manufacturers
  • Design : Adelaide Full Brogues [K.yamada]
  • Last : MS-1
  • Size : 5
  • Leather : Zonta, Old England
  • Sole : Leather Half Mid Sole



断然オイル派

革の種類によっても個人の好みによってもプレメンテナンスのやり方はいろいろあるはずなのだけど、僕はオイルを入れる。革と向き合いながら、時間をかけて何度も薄く塗り重ねるように入れる。そうすると革がぐんと柔らかくなり、足と靴、双方への負担が少なくなる。オイルが馴染むと自然な艶も出る。

最近は昔に比べて自分の革の好みがわかってきた。
この革は新品の状態でねっとりとした触り心地があり、キメも細かく、間違いなく好みの革。伊ゾンタ [Zonta] のオールドイングランドというエドワード・グリーン [Edward Green] でも採用されている革だ。
そんな革にオイルを入れるのがとても好きだ。

注文するとヤマトが集荷に来てくれる楽天のサービスでつま先のスチール取り付けをしてもらい、その仕上がりに満足しつつ、オイルを入れて一晩置く。翌朝、ステッチが多い部分にも少し重ね塗りをしてもう一晩。ブラッシングをしたあとの透明感のある艶を見ると良い靴に出会ったなぁとつくづく思う。

オイルに補色効果はないのでクリームで仕上げたときのような発色の良いパリッとした仕上がりにはならないけど、逆に顔料やロウ分も載せないので透明感のある自然な艶と透明感を味わえる。
クリームに含まれるワックスを載せすぎた靴は時間が経つと履きジワあたりにゴワつきが出るけど、オイルではそれがないのも魅力。塗りすぎたり色が濃くなるリスクはあるけど、頻繁にクリーナーを落とす必要もないので、革にも負担をかけないのも安心である。
鏡面磨きを施す際、ワックスとの相性が良いのもオイルのメリットだろう。

曲線の多いアッパーのデザインと高密度なパーフォレーション、そしてソールのボリュームとウェルトの目付けも相まって、えも言われぬ独特な存在感を醸している。こういう独創的でこだわりの詰まりまくった靴が好きだ。木型のシルエットもしっかり出ていて、改めてウェルテッドシューズの素晴らしさを享受する。

この靴はハーフミッドソールが入ったスペードソール仕様。見た目の重厚感があるのは大変結構なのだけど、底は屈曲しづらそうではある。足に負担がかかりそうなので、少々しっかりめのプレメンテを施したい。
というわけでソールにもオイルを入れる。ソールにはソール専用に使っているオイルブラシで加脂剤を塗る。

オイルを過度に入れすぎることなく、この後に控える「シワ入れ」で良いシワが入るよう、十分革が柔らかくしておきたい。そのためにゆっくり時間をかけて慎重に革の状態を見極める。
レーダーオイルの場合は浸透が早いので、1度や2度オイルを塗布したくらいならもっと塗っても大丈夫な気がしてしまうのだけど、塗りすぎてオイル過多になると艶も出なくなるし、その後ひたすら乾拭きをするという苦行を強いられる。なので、オイルを塗る場合は革の様子を見ながらじっくり付き合っていくのがいい。
一度オイルを入れてしまうと後は入れ続けるだけ。
つまり、このオイルを入れたときの変化が見られるのは最初の一度だけ。それもプレメンテナンスの醍醐味だ。

濃いめのワックスを乗せてもいいが、この靴に限ってはアンティークに仕上げるのが正解だとは思わない。革の絶妙な色味に馴染むよう、ニュートラルではないグレーをチョイスする。我ながら良いチョイスだと思う。

そんなスローな時間が、普段のシューケアとはまた違ったプレメンテナンスの楽しみ方だと思う。
味わえる機会が少ないのもその理由のひとつ。ソールの厚さゆえ、部屋履きの時間を要するだろうと踏んでいたので、焦らずじっくりプレメンテを堪能し大変満足。
とはいえ、どんな靴でもだいたい同じ方法になりがちだけど、靴の仕様をじっくりと見ながらその靴に最適なプレメンテナンスの方法を探ってみるのもひとつの楽しみ方だと思う。正解は無いし、もっと多様であっていいはずだ。

ドレスとカジュアルのバランスが絶妙すぎるマニュファクチャーズのインタビュー [Manufacturer's]

使用シューケアグッズ

  1. コロンブス – 馬毛ブラシ
  2. タピール – レーダーオイル
  3. サフィールノワール – アプライブラシ
  4. サフィールノワール – ビーズワックスポリッシュ
  5. トウスチール取り付け – オレンジヒールリペアセンター
  6. レザーマット – オンラインショップ

新しい革靴を買ったらその靴を早く履きたいお気持ちはとってもよく分かるのですが… ちょっと待ってください...

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プロフィール

革靴ジャーナリスト/ブロガー

Kohei Kusumi

『革靴の魅力や靴磨きの楽しさをもっと多くの人に知ってほしい』という想いでブログやYouTubeで情報発信を行っています。
シューメーカーのブランドサイトやオンラインショップの制作・カスタマイズ、広告運用を受け持ったり、ブランディングや商品開発のコンサルなども手がけています。

・月間最高ページビュー数:41万回
・webサイト設計、制作

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