世界のコインローファー/ペニーローファー特集【革靴デザインまとめシリーズ】

世界の美しい革靴をひとつのデザインに絞ってご紹介していく本シリーズ。記念すべき第一回目はコインローファー(ペニーローファー)特集でございます。
いろんな革靴を見比べることで、革靴のデザインへの理解を深めていただき、今後靴を選ぶときの参考にしていただきたいという趣旨の記事でございます。

たっぷりご堪能ください!



コインローファーの特徴

コインローファーを見比べる時のポイントは2点。つま先の形とサドルストラップの形です。

つま先の形 フレンチローファー / イングリッシュローファー
サドルストラップ ・形
・フルサドル / ハーフサドル
・中央の穴の形

フレンチローファーかイングリッシュローファーか

つま先の形状の違いで、イングリッシュローファーとフレンチローファーの2種類にも分けることができます。つま先の形をご覧ください。

左:フレンチ / 右:イングリッシュ

甲のモカシン縫いの部分が外側に近く、つま先上部にも丸みが少ないデザインが『フレンチローファー』です。また、つま先の形状がシャープになり、より上品な印象になっているのがイギリスの靴に多い『イングリッシュローファー』です。

ま、名前に捉われることはないと思いますが、つま先の形の違いによって靴の印象が変わることを知っていただければと思います。

サドルストラップ

左:ハーフサドル / 右:フルサドル

サドルストラップが途中で終わっているものを『ハーフサドル』、靴底まで伸びているものを『フルサドル』と呼びます。ハーフストラップ、フルストラップと呼ぶこともあります。
どちらかというとハーフサドルの方が主流ですが、時々見かけるフルサドルのコインローファーの方が比較的ドレッシーな印象になります。
また、サドルストラップの中央の穴の形もローファーの見た目を印象付ける大切な要因でもあります。

というわけで、各ブランドを順番にご紹介していきましょう。

J.M.WESTON – 180シグニチャーローファー

https://jmweston.jp / ¥110,000(税込)

ご存知 J.M.WESTON の #180 シグニチャーローファーです。
ウエストンのアイコニックなローファーとして非常に名の知れたモデルです。フレンチローファーの代名詞と言っても過言ではないと思います。
まずモカシン縫いの部分は、縫い合わせてあるだけでなく薄く処理して接着されてます。とても細かいところですが、こういった繊細な仕上げがこのローファーをキングオブフレンチローファーたらしめる所以だと僕は思っています。
また、サドルストラップも薄く加工して縫い合わせてあり、中央の穴もカモメの形を模したもので、とてもエレガントです。計算され尽くされた感があります。

ウエストンのサイトにはシグニチャーとシグネチャーと両方の表記がありますが、個人的にはシグネチャーの方がしっくりきます(完全に余談ですが

Jalan Sriwijaya – 98589

http://www.jalansriwijaya.com / ¥35,200(税込)

ジャランスリウァヤのグレインレザーを使用したコインローファーです。あまり言及はしませんが、よく知ったブランドのあのモデルに似てますね。
ローファーに限らずこういったシンプルな靴には装飾が少ないため、シボ革との相性も良いです。形やデザインはエレガントなのに、シボらしい独特なツヤと雰囲気も相まって程よいカジュアル感が生まれます。

ジャランスリウァヤのいいところは、こういったフレンチローファーもイングリッシュローファーも、両方が比較的安価に購入できるところです。
やっぱりウエストンレベルだと高いので、とりあえず定番のローファーが欲しいという場合の選択肢にはもってこいです。

CARMINA – 80708

https://www.carminashoemaker.com / ¥72,600(税込)

丸みがありながらメリハリがあってエレガントな UETAM(ウェタム)という木型が使われているこちらのイングリッシュローファータイプのモデル。サドルの曲線も木型にマッチしていて非常に綺麗です。
ハーフサドルのローファーだけでなく、フルサドルのローファーにも、サドルの中にステッチが入っているものがありますが、こちらのモデルはサドルの縁(ふち)以外のステッチが一切なく、スッキリとした印象です。(個人的にはサドルのまたぐステッチは無くていいと思ってます)

さらにサドル中央の穴の形も靴の印象を損なわないシンプルな形です。
これくらい濃い色だと冬に履いても問題なさそうですが、こちらはアンラインド仕様です。とにかく、無駄なものは一切排除した美しさと曲線美。とても魅力的な一足です。

MAGNANNI – Diezma III

https://www.magnanni.com

もはや読み方もわからないですがマグナーニのモデル。でぃえずま?でぃーずま?
サドルストラップの素材を買えるっていう上級テクニックは、ビットではなくタッセルでもない、コインローファーならではの楽しみ方かなと思います。
こちらはたまたまスエードとスムースレザーの組み合わせですが、もう組み合わせ方は無限大。センスが問われるところです。

マグナーニはときどきこういうおもしろいモデルや、クラシックとは形容できない独創的なモデルもいくつかありますね。日本に入ってこないモデルもあると思いますけど、ブランドサイト見ていておもしろいです。

UNION IMPERIAL – U1522

http://www.union-royal.jp / ¥48,000(税別)

ユニオンインペリアルのハーフサドルのモデルです。
モカシン縫いとスプリットトゥと、それを際立てるユニオンインペリアルらしい薄くてエレガントな木型が特徴的です。
サドルには必要最低限のステッチのみで、過度な装飾はありません。

U2008 というもう少し丸みのあるモデルもあって、そちらはちょっと丸めのフレンチローファータイプ。比較的安価に購入することができます。
撥水レザーで ¥38,000(税別)です。

G.H.BASS – 11010H

http://ghbass.jp / ¥25,300(税込)

ローファーを生んだブランドとして知られている G.H.BASS の代表的なモデルです。
他にもいろいろありますが、個人的には G.H.BASS のローファーといえば、やっぱりこちらのコインローファーです。
モカシン縫いを覆うように縫われているサドルストラップのサイドの『ビーフロール』と呼ばれる仕上げも、カジュアルなローファーを代表する装飾です。

Alden – 987 / 6845

http://www.aldenshoe.com

ちょうどふたつのモデルがならんでいたので拝借しましたが、同じブランドの靴なのに全く印象が違います。左の987はオーソドックスな形ですが右の6845はフルサドルで、サドルの穴の形も違えばそもそも履き口の広さも全然違います。

つま先の形も全然違うので、足元のボリューム感も見え方も変わってきます。
また、履き口の広さが違う場合、足が露出する広さも変わるわけですから、じゃあフットカバーで履くのかとか、ソックスならどんな柄にするのかとか違った楽しみ方もあるかと思います。
もう靴の形関係なくなっちゃてる。

42ND ROYAL HIGLAND

42ND にはいくつかラインの展開があって、それぞれでコインローファーを出されてます。
それぞれのつくりや特徴はこちらの記事でご紹介していますが、いろんなローファーがあるので、いくつか簡単にご紹介してまいります。

https://42nd-onlinestore.com / ¥26,400(税込)

スエードのローファー。コンフォートを重視したトランスファーラインのモデルです。こちらの色はタンですが、他にもカラバリが豊富でとってもかわいいデザインです。

https://42nd-onlinestore.com / ¥35,200(税込)

シボ革のノルウィージャンハンドソーンウェルテッドラインのモデルです。ボリューム感のあるラバーソールが特徴ですが、アッパーはアーバンな印象。ローファー以外にもUチップやダービーなどもあります。こういう底が厚めの靴が好きな方は見たら絶対悩みますよ。

https://42nd-onlinestore.com / ¥39,600(税込)

ド直球の正統派コインローファーのモデルです。ネイビーコレクションらしい綺麗な顔をしています。
こちらはグッドイヤーウェルテッド製法。オンオフどちらでもOKなやつです。

JOHN LOBB – LOPEZ

https://www.johnlobb.com / ¥217,800

ジョンロブの定番ローファー、LOPEZ でございます。
丸みのあるオーソドックスな形ではありますが、無駄な装飾はなくシンプルイズザベストを世に知らしめる存在感。サドルの穴の形も特徴的です。
こういったオーソドックスな黒のローファーって、ヘタすると高校生の制服のような見え方をしてしまうことが無いとは言い切れいないと思っているのですが、主張こそ少ないものの、この穴を見ればロペスであることは一目瞭然。それだけラグジュリーが滲み出る、ジョンロブのアイコニックなローファーです。

また、黒以外にはダークブラウンのミュージアムカーフやスエードのモデルもありますが、これがまたいい。装飾は少なく形もシンプルなので革の良さが際立ちますね。

CROCKETT&JONES – BOSTON2

https://www.frame.jp / ¥83,600(税込)

クロケット&ジョーンズの名コインローファー、BOSTON2です。
クロケといえばキャベンディッシュというタッセルローファーも有名ですが、実はボストンも名の知れたクロケの名作として知られています。(BOSTONは314ラスト、BOSTON2は314をベースにした376ラスト)

上から下までクラシック。こちらもダークブラウンのカーフとスエードのラインナップがありますが、そちらも素敵です。
こちらの記事でご紹介していますが、僕はコードバンのモデルを1足持っています。

Edward Grenn – Piccadilly

https://www.edwardgreen.com / ¥174,900(税込)

エドワードグリーンのピカデリーです。こちらも形だけみれば非常にシンプルなモデルです。
形がシンプルなのであれば、革で遊ぶなんて楽しみ方はいかがでしょう?ロンドングレインカーフという名前の、わざとらしくないシボ革で素敵です。
STRASBURGO のオンラインショップにはこの革のモデルはありませんが、革違いなら上記価格で販売されてます。

グリーンには DUKE というフレンチローファータイプのものもありますが、全体の形もサドルも違いがありますね。やはりここは好みが分かれるところだと思いますが、グリーンの場合はどちらもシンプルで綺麗な形です。

F.lli Giacometti – FG515

https://sugawara-ltd.com / ¥134,200(税込)

ほぼ一枚の革でできています。
なのでサドルもイミテーションです。これはもうアイデア勝ちですね。単純におもしろいデザインの靴だと思います。革のツヤも相まって、靴のサイドからサドルにかけてのつながりが際立ちます。さらに細かく見るとステッチの糸の太さがところどころ違うみたいで、こだわりを感じます。
全体的には丸みと立体感があってかわいらしい形かと思いますが、かかとがピッチドヒールで実は案外綺麗な形してるんです。

これはもう説明することはないと思いますが、あえて文句を言わせていただくのであればタンの部分も一枚で納めてほしかったかなというところですかね。
この独創性には脱帽です。クラシックとかエレガントとかカジュアルとか、そんな後付けの言葉がどうでもよくなるくらい、ただただワクワクした一足でした。

Berluti – Andy

https://www.berluti.com / ¥291,500(税込)

アンディーウォーホルがオーダーした靴と言われています。
他のブランドの靴は丸みを帯びたデザインが多い中、こちらのアンディは非常に直線的な佇まいです。サドルの穴の形も横に長く、形式的にはコインローファーに分類されるデザインであることは間違いありませんが、その範疇に収まらない独特の雰囲気を漂わせます。

ベルルッティのサイトは写真が大きくて見やすいですが、モデルさんの足が長すぎて参考になりません(ただの嫉妬
冗談はさておき、似たデザインが多い中、やはり独創性であることがひとつの魅力になり得ると思うのです。ベルルッティはそれを感じさせてくれるブランドです。

最後に

やっぱりワクワクする理由って、こういうディティールとかこだわりみたいなところだったりすると思うのです。
定番と呼ばれるモデルをおしゃれに履きこなすのもいいし、独創的なデザインの靴を探すのもいいですが、自分が最高に好きな靴を履けることこそ至高だと思います。その靴を見つける手間だけは惜しんではいけない。そう思っています。

他にもまだまだ素敵なローファーはあると思いますが、とりあえず僕がなんとなく把握してるコインローファーをご紹介させていただきました。
是非最高の一足に出会うための参考になれば幸いです。最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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『革靴の魅力や靴磨きの楽しさをもっと多くの人に知ってほしい』という想いでブログやYouTubeで情報発信を行っています。 前職の経験からシューメーカーのブランドサイトやオンラインショップの制作・カスタマイズ、広告運用を受け持ったり、ブランディングや商品開発のコンサルなども手がけています。
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