革製小物の見た目を大きく左右するのが細部の仕上げであることは間違いありません。革靴やバッグなどのような立体的なプロダクトはそのシルエットも見た目に大きく影響してきますが、それでもやはり細部に丁寧な仕上げがそのプロダクトの印象を左右します。
また、財布のような平面的な革小物であればなおさら。
そして、革小物のような手にとって使うプロダクトは、使いやすいというのは大事なことではあるけれども、使っていて気分が上がるかどうかも非常に大切になります。
シェルコードバンの靴べら
ご覧の通りコードバンを使っているというところが我々革小物愛好家が最もテンションが上がるポイントです。毎日使うものがいちいち上質であるという、その積み重ねがQOLを上げることにつながると信じています。
使い込んでいくとどう変化していくのかというのもそうですが、新品の状態でこのツヤと滑らかさを放つのはやはりコードバンならではです。コードバンの靴は3足しか持っていないのでコードバニストを名乗るほどではありませんが、僕もコードバンは好きですしコードバンを全面に使ったこの靴べらは間違いなく贅沢で魅力的。
イタリア・トスカーナ地方のタンナー・ロカド社 [Rocado] のシェルコードバン。ブラックやネイビーもありますが、こちらはバーガンディーです。
コードバンシューズとの相性は抜群かと。
こういうところも綺麗。
ちなみにこちらは札幌市で革製品を制作している HIGE LEATHER(ヒゲレザー)さんによって、一点一点ハンドメイドで作られたものです。
握るためカタチ
コードバンという革もそうですが、まずこの形が美しい。
見るからに持ちやすそうなこの形状は、真鍮のような金属ではなくプラスチックの芯で形成されています。いかにも「親指と人差し指はここに添えてください」という形をしていて、持ちやすさだけでなく軽くて少しだけしなります。
このうねった形状だから、滑らかでツヤのあるコードバンという革を使っているんだなぁ。なるほど。
サイズは少々大きめ
僕が持っている靴には少しだけ大きいサイズではありました。公式のサイズだと、幅50 × 縦115 × 厚さ17(mm)というサイズです。
僕の靴はそもそも小さいのですが、かかとのトップラインが絞られている革靴にはこの形状が合いませんでした。かかとがゆったり目の靴には問題なく使えますが、お持ちの靴のサイズやかかとの形状は事前にご確認いただいた方がよさそうです。
他の靴べらと比べると少し幅があることがわかります。
軽くて携帯用として使うには良い素材です。キーホルダーにするというよりは、革紐か何かにぶら下げてブラウンのバッグに結びつけて持ち運ぶのが僕にはよさそうです。
ハンドメイド故の美しさ
初見で不思議に思ったのが、縫い代の部分も革が硬く、ヨレヨレっとした安物感がありません。つまり、隅から隅まで丈夫でしっかり作られた靴べらであるということです。
この立体的な形状ではミシンをかけられないでしょうし、ハンドステッチで縫われていて手間がかかっていることがよくわかります。
ステッチのフチもコテで仕上げられていて、靴べらの豊かな曲線をグッと引き締める仕上げが施されています。念(ネン)入れという工程らしく、ステッチの両サイドにコテで熱を入れることで、フチを引き締める効果もあるようです。ヨレヨレ感がないのも納得。
裏表革を貼り合わせて塗っているわけですが、ご覧の通りコバも非常に滑らかで美しい仕上げです。
最後に
見た目的には非常に美しい形と革で作られた靴べらですが、この靴べらがどう育っていくのかが楽しみでもあります。
脂の乗り切った30代の手脂がどんどん染み込んで艶が増していくのが想像できます。贅沢な靴べらでした。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
コードバニストの方は是非ご覧になってみてください。

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