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銀座三越の紳士靴セールスマネージャーに聞く『お客様目線』の接客方針

小さいサイズのスエードタッセル入荷!
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2/16の靴磨き選手権大会・本戦や、2/15のシューシャイナーミーティングが開催される銀座三越さんの紳士靴売り場。

 

 

我々靴好きにとっては選手権大会や何かとお邪魔する機会がある銀座三越ですが、実はどんな靴のブランドの取り扱いがあるかご存じない方もいらっしゃるかもしれませんね。
実は僕もそうでした。

 

というわけで、取り扱いブランドから接客のスタンスに至るまでいろいろお話し伺ってきましたので、よければお付き合いください!

 

 

銀座三越紳士靴売り場

2015年11月に銀座三越の紳士靴売り場をリモデルされ、その頃から今の状態に近い形になったようです。

 

「新宿伊勢丹紳士靴売り場のようなフルグレード、フルテイスト感は唯一無二」と仰るのは銀座三越5階・紳士靴売り場のセールスマネージャー佐藤さん。

 

 

同じグループとして新宿伊勢丹と共存・共栄すべく、2015年から銀座三越が築いてきたスタンスについて語っていただきました。

 

 

以前は、銀座三越、日本橋三越、新宿伊勢丹はひとつの同じチームで取り扱う靴のブランドを選定していたことがあるようです。

 

そういう理由で現在も多少新宿伊勢丹で取り扱っているブランドが似ているところはありながらも、差別化を図るため銀座という街のテーマである “色と艶” や、遊び心を重視したブランドやデザインの靴を優先的に選んでいるのだそうです。
なので、具体的にはマグナーニサントーニのような色気のあるイタリアンシューズ系ブランドがベースとなっていて、さらに革靴の本格派である英国靴やフランス靴も取り揃えている、と言った感じです。

 

 

他には紳士靴の最高峰ブランドだと、ジョージクレバリー、エドワードグリーン、J.M.ウエストン、ステファノベーメルなどを取り揃えながら、もう少し中価格帯の紳士靴を取り揃えているという感じです。

 

ジョージ・クレバリー

 

一方、カジュアルのコーナーもあり、メゾンマルジェラのようなエッジの効いたブランドなども扱っています。

 

 

取り扱い紳士靴ブランド

2万〜5万円 ・セルビーノ
・チェントフェリーナ
・アントニオルフォー
・マドラス
・ランウォーク
・レブロス
・エスポワール
・ロブス
・リーガル
・スコッチグレイン
・ジャランスリワヤ
・浅草靴誂
・シェットランドフォックス
・ユニオンインペリアル
イタリア系 ・マグナーニ
・サントーニ
・ステファノブランキー二
・ファビ
・テストーニ
・モレスキー
・フェランテ
クラシック系 ・ヤンコ
・カルミナ
・クロケット&ジョーンズ
・チャーチ
・エンツォボナフェ
プレステージ系 ・ジョージクレバリー
・アンソニークレバリー
・エドワードグリーン
・J.M. ウエストン
・ステファノベーメル
・ナポリターノラケーレ

 

その銀座ならではの “色と艶 “や遊び心を、銀座三越の紳士靴売り場が成長する原動力にしてきたとも仰ってました。

 

あ、ちなみに2/16に靴磨き選手権大会の途中に開催されるイベントに、ホールカットの靴を染めるというカラーリング・エキシビジョンがあるんですが、そのときのテーマが『銀座』で、銀座の “色と艶” を表現するというものになっているんです!

 

 

銀座三越革靴事情

以前お邪魔したサントーニの染め替えイベント

 

そんな中銀座三越では、常設しているブランドのオーダー会やブランドの職人さんによる染め替えイベントなどをかなり頻繁に開催されています。
DMが届いたりするお客さんもいらっしゃるかもしれませんし、僕も時々ご案内いただくのですが、中でもマグナーニは半年に一度やられてるくらい結構な頻度です!

 

そう言ったイベントは一時的にブランドごとの靴のモデルが増えることが多いです。セールも同様に、新作が入ったりするタイミングで行われたりしますね。

 

やはりどうしても各ブランドともストレートチップの靴が一番売れるので、そればかりでは面白みがなくなってしまう。それを少しでも緩和するため、お客様にもっと多くの靴を見ていただくためにイベントの回数を増やすという施策をされているのです。

 

 

 

5万円以下の価格帯の紳士靴だと、スコッチグレインが一番売れているとのこと。次いでリーガル、という日本の革靴二大巨頭はやっぱり支持が厚いようです。

 

made in Japan

 

それ以降は、ユニオンイペリアル、ジャランスリワヤという順で売り上げが多いようです。
それ以上の価格帯の革靴だと、マグナーニ、サントーニ、その後にクロケット&ジョーンズ、チャーチ…という順です。

 

銀座三越オリジナルモデル

マグナーニのクロコ!

 

また、銀座三越オリジナルモデルも豊富です。
一番多いのマグナーニで常時10モデル以上。それ以外のブランドもオリジナルモデルの革靴がたくさんありました。

 

 

銀座三越のバイヤーさんと各ブランドの代理店担当者さんで話し合った上で、こう言ったデザインを決めているのだそうです。

 

その会議、僕も参加したい!おとなしくしてるから

 

例えばこんなの。
赤と青の色違いで作ったり、まさに遊び心ですね!

 

 

効率を重視しない接客

足長・足囲を計測する器具

 

銀座三越の接客では、まず足のサイズを測ることを大切にされています。
もちろんそれを拒むお客さんもいらっしゃいますが、そうでなければ1万円でも2万円でも10万円を超える革靴を買うというお客さんでも変わらず足を測ります。

 

 

というのも、現在は40代50代のお客さんが大半を占める中、やはりもう少し若い世代も取り込んでいきたいため、ジャランスリワヤなどの若い方に好まれやすい見た目や価格帯の靴も多く取り揃えられているという背景があります。

 

しかし、最近の若い方ほど足幅が細く甲も低い方が増えているので、ジャランスリワヤを目当てに来店されても合わないことがあるわけです。
その時は足の計測値とあわせて、靴が足に合っていないことをちゃんとお伝えするということを大切にされています。
サイズが大きいせいで、甲が浮いてしまうとシワが入りますよとか、革に噛まれる(革の屈曲によって革が足に当たって痛い状態)かもしれませんよと。

 

たくさん売れたジャランのグレインレザー

 

サイズが合わない場合は、ちゃんとそれに近いデザインの靴や類似品を提案されることで、買った後のことも考えてお客さんの靴選びに関わっていく姿勢を感じます。
ただただ買ってもらえればいいというわけではなく、お客様目線で接客をされているということです。

 

クロケの5.5、僕は5がジャストみたいです

 

今日も試着させていただいちゃいました。笑
いつもありがとうございます。

 

シューフィッター兼販売員さん(少々遠め

 

 

売上横ばいの革靴市場

 

日本全体でここ10年くらい革靴の業界って売り上げが横ばいなんだそうです。
それについてお話を聞いてみました。

 

 

佐藤さんはいい意味で「適度な敷居を大事にしたい」と仰います。若い世代の方々にとって、革靴って敷居が高いんじゃないかと。

 

もちろん量販店で買える価格帯の靴は銀座三越には置いてないので金額的な敷居を下げるのは限界がある。なので、先ほどからお伝えしている接客や、限られたスペース内での品揃えの選定など、下げれるところで敷居を下げていきたいとのことでした。

 

しかし、「敷居を下げる」ではなく「敷居を保つ」という表現をされたところに、百貨店で靴を買うという付加価値を提供したいという想いを感じました。

 

 

つまり、手間を惜しまず足のサイズを測ったり靴のケアを提案することで、靴単体だけじゃなくて靴を通して得られる喜びもあわせて提供したいということ。
例えば、「靴が綺麗になるとこんなにも気持ちがいいんですよね」って思ってもらえる機会を増やすことでお客さんが靴にリーチする機会を増やすことに繋がり、それこそが革靴業界が縮小しないための第一歩なんじゃないかと仰います。

 

 

 

我々にとって百貨店で靴を買う喜びってやっぱりありますね。
それだけでなく、靴の良いフィッティングやケアの方法を提案することで、その喜び以上の高揚感をあの場で疑似体験してもらいたいということ。
「お客様にとって革靴は買ったあとも一緒に歩むものなので、こちらも販売させていただいたら終わりというわけじゃない」というのが個人的にはこの日一番の佐藤さんの言葉でした!

 

革靴 = ビジネスシューズ と思っている若い方は多いかもしれません。
だって、革靴の魅力を感じていて、自分が欲しいと思ったらきっと若い方でも値段なんか関係なく買いますもんね。

 

 

銀座三越の紳士靴売り場の奥にはシューケアやリペアのスペースもあるのですが、シューケアやリペアのお客さんも4割ほどいらっしゃいます。
実際、ジョンロブやオールデンなどのケアやリペアってすごく多いみたいです。

 

シューケア・リペアコーナー

 

僕がお邪魔したときも開店早々磨きを依頼されるお客さんがいらっしゃってましたが、是非近くにお立ち寄りの際は足を運んでみてください。¥1,080からシューケアを体験できるみたいです。

 

 

 

試着&トークイベント!?

 

靴が好きな皆さんだけでなく、最近の若い方からも百貨店の靴売り場に対する想いを是非聞いてみたいという佐藤マネージャー。
実は僕も今回お話を伺ったのは、三越さんでいろんな靴を試着させていただくイベントがしたい!という企みがあったからでした。笑

 

 

やはり靴は足を入れてみないとわからないことがたくさんあります。
自分の足に合う靴を見つけられただけで、その靴が一気に欲しくなったりそのブランドが好きになったりすることもあるわけです。
あれ、僕だけですか?

 

しかし、どうしても試着に対して遠慮がちな我々日本人。笑
そのハードルを超えられる何かがあるといいなぁとぼんやり思っていたのです。

 

 

いろんな靴を試着させていただく代わりに、革靴に対する想いや考えを三越さんといろいろお話しさせていただくみたいなイベントができたらおもしろいかもしれませんね、なんてお話をさせていただきました。
まだ決まったわけではないんですけどね!

 

 

最後に

予選大会の時

 

繰り返しになりますが、2/16に靴磨き選手権大会2019の本戦が銀座三越9階で開催されます。
ちなみに2018年の靴磨き選手権大会は、世界チャンピオンの長谷川さん、司会の田代さんと佐藤マネージャーだけで企画されたのだそうです。
2回目でここまでの盛り上がりを見せるイベントを企画・運営される銀座三越さん(田代さんもや長谷川さんも)が、今後もこう言ったイベントを積極的に開催してくださることに期待をしています。

 

2/15、2/16は9階だけでなく、是非5階の紳士靴売り場にも足を運んでみてはいかがでしょうか?
最後までお付き合いいただきありがとうございました!

 

日本橋三越本店の紳士靴売り場、ブランドや修理・靴磨きサービスについて
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