革靴ジャーナル.
LEATHER SHOE JOURNAL.
クリーム・オイル

革靴用クリームの染料と顔料の仕上がりを比較してみます!

更新: 2026.07.06
革靴用クリームの染料と顔料の仕上がりを比較してみます!

 

革靴のクリームには、染料ベースのクリームと顔料ベースのクリームがあることをご存知でしょうか?

 

染料がああで顔料がこうでと、何となくの知識はあったわけですが、実はもう少し細かいところまで突っ込んで調べてみると、案外おもしろいことがわかったので、ご紹介させていただきます!

 

よければお付き合いください!

 

 

染料と顔料とは

まずは、染料と顔料の違い、の前にそもそも何なんだ?って話です。

 

水や油や溶剤に溶けるのが染料。
溶けない革の表面に乗せるのが顔料。

 

なので、染料の場合は水や溶剤が革に染み込んでじんわり染め、顔料は粒子が大きく水や溶剤に解けないので革を覆う、という違いがあります。

 

こんなイメージです。

 

仕上がりの違い

染料は溶けるという性質から、革の風合いを損ねず自然な色合いのまま補色ができます。
なので透明感があり、革の質感を保ったままお手入れすることができます。

 

しかし、色褪せや色の変化が起こりやすいというデメリットもありますね。

 

 

それに引き換え顔料は、着色する革のを覆い隠す効果があります。
なので傷やこすれた部分を目立たなくするという使い方ができます。

 

逆に顔料は、染料よりも発色が良い代わりにクリームの色が革に乗るので、悪く言えばベタッとした色合いの仕上がりになります。

 

 

水に強いのは顔料

染料はもともと溶けているものなので、雨水などの水分によって溶けて色が抜けやすいです。
ただ簡単に色が抜けてしまうということではなく、あくまで『顔料よりは』というイメージです。

 

顔料は耐久性・耐光性が高く、水によって溶けることもありません。

 

 

色落ちしやすいのは染料

また、染料は溶けやすいという理由から、色が他の繊維に移ってしまうこともあります。
なので、染料系のクリームや補色剤を、カバンや財布を染めるのはおすすめできません。

 

顔料は、水などで溶けることもありません。
革を覆って着色をするため、ムラなく均一な色の仕上がりになります。

 

 

落とし方

染料は顔料に比べて染める力が強いので、染料系のクリームで補色を繰り返した革の色を落とすのは簡単ではありません。
市販のクリーナーなどの溶剤でも落ちますし、アルコール系のアセトンという溶剤を使っても落とせることは落とせるのですが、やはり全て完璧に落とせるわけではありません。
※アセトンなどのアルコール系の溶剤を使いすぎると革が硬化する恐れがあるようなのでご注意ください

 

逆に顔料は、染料ほど革を染めてしまう力はありませんが、全く染めないということでもありません。
粒子が大きいとはいえ、多少革に浸透して補色することもあります。

 

なので、顔料の方が色は落としやすいと考えてよいはずですが、顔料だからといって全く革を染めないわけではないということをご留意ください。

 

 

染料か顔料かで落とし方を変えてもよいでしょうが、どちらも完全には落ちないのでクリームの性質によってクリーナーを選ぶ方が効果的かもしれません。

 

油性系のクリームは水性のクリーナーでは落としにくいですね。
なので、油性クリームを落とすには少し強めのクリーナー、乳化性のクリームを落とすには水性のクリーナー、という選び方もあると思います。

 

 

各社クリームの染料・顔料の違い

各社のクリームの違いはこんな感じです。

 

クリーム染料・顔料
サフィールノワール
クレム1925
染料(正確には顔料)
サフィール
ビーズワックスファインクリーム
顔料
M.モウブレイ
シュークリームジャー
染料
M.モウブレイ
クリームナチュラーレ
染料
イングリッシュギルド
ビーズリッチクリーム
染料
ブートブラック
シュークリーム
顔料
ブートブラック
アーティストパレット
顔料
コロニル
1909シュプリームクリームデラックス
両方

 

 

クレム1925は、染料ベースとして認識されている方が多いのですが、正確には顔料を使っています。
ただ、顔料の中でもかなり粒子が細かい顔料なので、結果としては染料のような仕上がりになるのが特徴です。

 

逆にサフィールのビーズワックスファインクリームは、顔料ベースのクリームです。
なので、割としっかり着色されるクリームです。

 

革の風合いを生かしたままお手入れをされたい場合はクレム1925、シュークリームジャー、クリームナチュラーレ。
逆に傷や色落ちで色を補修したい場合は、ビーズワックスファインクリーム、シュークリーム、アーティストパレット、という使い分けが良いかもしれません。

 

 

色数が関係ある?

なんとなく気付いたんですが、色数の多いクリームは顔料系が多いのではないでしょうか?

 

クリーム染料・顔料色数
サフィールノワール
クレム1925
染料
(正確には顔料)
14色
サフィール
ビーズワックスファインクリーム
顔料72色
M.モウブレイ
シュークリームジャー
染料18色
M.モウブレイ
クリームナチュラーレ
染料7色
イングリッシュギルド
ビーズリッチクリーム
染料7色
ブートブラック
シュークリーム
顔料42色
ブートブラック
アーティストパレット
顔料20色
コロニル
1909シュプリームクリームデラックス
両方7色

 

なんとなくそんな気がしますよね。笑

 

理由はわかりませんが、染料は液体に溶かす工程があるけど、顔料は混ぜるだけでOKみたいな感じでしょうか?
全く根拠のない個人的な推測です。笑

 

 

結局どっちがおすすめなのか

好みだと思います!

 

自分で見出しつけといてなんですが。

 

 

 

それぞれの特徴を理解していただいた上で、お好みの方を選んでいただければいいと思います。

 

染料顔料
メリット・革の風合いを損ねず補色できる・着色効果が強く傷やこすれを覆うことができる
・耐久性が高い
デメリット・色褪せや色の変化が起こりやすい
・ムラができる可能性も
・ベタッとした仕上がりに
・均一な色の仕上がり

 

黒の靴については

例えば黒の靴の場合であれば、個人的には染料でも顔料でもそれほど違いはないんじゃないかと思ってます。
もちろん革質によっては、染料が合う革、顔料が合う革があるかもしれませんが、やっぱり黒は黒って感じがします。

 

なので、黒い靴に使っていただくクリームは、染料とか顔料とかではない別の基準で選んでいただいてもいい気がします。
例えば、クレムやブートブラックほどツヤがしっかり出るのがお好みでないという場合は、モウブレイのシュークリームジャーの自然なツヤの出るクリームを選んでいただくとか。

もしくは、油性で選ぶのか乳化性で選ぶのか、香りで選ぶのか、もう好きなブランドで選ぶのか。
そのあたりはもうお好みでよろしいかと。

 

黒以外の靴については

では、黒でない靴の場合はいかがでしょうか?
そうなると実験くんの出番です。

 

実験くん

 

シミや汚れの具合が左右で違うのですが、この実験くんを使って染料と顔料でどれくらい違いが出るのか、検証してみたいと思います。

 

 

そして、使用するのはこちらの2つ。
ビーズワックスファインクリーム(ライトタバコブラウン)と、クレム1925(コニャック)です。

 

 

色が若干違うのはご容赦ください!
(ファインクリームはちょっと赤みを帯びたくすんだ茶色、クレムは黄色がかった茶色という感じでしょうか)

 

 

 

塗布前

 

 

こうなりました!

 

左:ファインクリーム、 右:クレム

 

 

ぱっと見は全然わかりませんが…

 

 

ファインクリーム(顔料)のビフォーアフター

 

 

クレム(染料)のビフォーアフター

 

どちらのクリームも、補色はできているように思います。どちらもツヤが出て発色が良くなっているのは間違いなさそうです。

 

個人的な感覚もありますが、ビーワックスファインクリームはカバー力が強そうな印象。一方で、クレム1925は色は乗ったけど少し透明感があるというか、もともとあった革の色落ちがそこまで消えているわけではありません。

 

この写真だと違いがわかりやすいです。
(ご覧いただいてるスマホ・PCの画面の明るさ上げていただくとよくわかりますよ)

 

 

確かにファインクリームはもともとくすんだ色ではありました。
でもクレムの方が個人的には発色が良く見えるのと、ツヤも相まって透明感がある仕上がりになっているように思います。

 

あと、クリームの色の違いはしっかり出てるように思います。
左の方が少し赤く、右の方が少し黄色い茶色になっています。

 

 

ここからは推測になりますが、同じクリームをしばらく使ってお手入れをいていくと、さらに違いが出てくるんじゃないかと思ってます。
色自体は、ライトタバコブラウンの赤みを帯びた色が好きでしたが、発色を見るとクレムの仕上がりも全然よく見えてきます。
不思議ですよねぇ。

 

ちなみに今回使ったクリームです。
色味の参考にしてみてください!

 

クレム1925コニャックのご紹介

 

ビーズワックスファインクリームのご紹介

 

 

まとめ

それぞれの違いと特徴がなんとなくご理解いただけたのではないかと思います。

 

個人的には、染料系のクリームでケアをして革の質感を楽しみながら靴を育てていきたいです。
もし、大きな傷や色落ち・色褪せができてしまったら、顔料系のクリームでガッツリふたをしてあげるのが良いかと、思っております!

 

やっぱり革が好きなんですよね。
革の質感を大切にしたい。

 

でもこれはあくまで好みの問題なので、そうでないパターンのケアがあっても何も間違いではないですね。

 

 

ちょっと文字ばかりの記事になってしまいましたが、参考になれば幸いです!
最後までお付き合いいただきありがとうございました!

 

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楠美皓平
EDITOR / 運営者

楠美 皓平Kohei Kusumi

content creater, web marketer, videographer
革靴の取材は累計250件以上。記事や動画制作の傍ら、革靴ブランドのメディア運営・マーケティングサポートに携わっています。