来店不要、つまりwebで完結するオーダーシューズ。
素足の動画を左右2種類ずつ(計4種)撮影したら、それを解析してその人の左右それぞれの足に合わせた木型を3Dプリンタで印刷。その木型でオーダーメイドシューズを作ってくれる…
そういうサービスです。
これだけでも画期的なのにさらに驚くべきは、足の採寸を一切していないということ。また、自分で足のサイズを申告することもありません。あくまで動画の情報だけでその人の足の形を判断してくれるというものです。
未来です!!
未来がやってきました!
サービスの開始は10月末の予定ですが、ベータ版の初納品があるということで、お話伺ってきました。
どんな靴なのか?とか、本当に足に合うのか?とか、そのあたりをご紹介させていただきます。
いやぁ、すごい時代です。
現在デザインは4種類
現在デザインはこちらの4種類のみ。
レディースのパンプスと紐靴の2種類と…
そして、メンズの紐靴2種類。内羽根と外羽根です。
この日、実物を見させていただいたのはレディースのパンプスと、メンズの外羽根プレーントゥの2種類でした。
パンプスは一枚の革で作られていて、革の継ぎ目はかかとの部分のみ。
注文されたお客さんの足に合わせた形なのでしょうけど、シンプルでとってもエレガントな靴です。
一方、メンズの外羽根プレーントゥも割と足の細くて柔らかい方のために作られたもので、甲の高さも低めなのがよくわかります。
レディースのパンプス納品
10月末の正式版リリース後は郵送での納品になりますが、今回はベータ版ということで郵送ではなく直接納品となります。
なので、足の測定や触診などを経て、フィッティングの確認をしてもらった上で納品されます。
測定をされている野口さんは、義肢装具士の国家資格をお持ちでこのサービスを立ち上げられたメンバーのひとりです。
ファーストインプレッションはぴったり
今回のお客さんも足が細くて既製靴が足に合わずに悩まれている方でしたが、ファーストインプレッションは「ぴったり!」とのこと。
老舗の靴ブランドでオーダーすることも多々あり、いつもならすごく調整をするのに…と。
早くもキャメルの色違いが欲しいとおっしゃっていました。
素人の僕が見てもかなりフィットしているのがわかりますが、野口さんにフィッティング確認。
休日は楽な靴を履きたいのでスニーカーばかりだけど、これなら履きやすいので休日でも履く気になるとおっしゃっていました。
やっぱりメンズの靴と違って足を支えている範囲は狭いですよね。この構造でフィット感を得られるのはすごく難しそうです。
チェックシューズも検討中
ご希望の方には、このような樹脂でできたチェックシューズも送付することも検討されています。
こちらも3Dプリンタで出力されたもの。
サイズと幅はちゃんと合っているんだけど、やっぱり履き心地や歩き心地は完成した靴と比べると多少違うみたいです。
今後また改善されていくかもしれませんが、あくまでサイズと幅が合ってるよね?という確認のためのチェックシューズというイメージでしょうか。
メンズの外羽根プレーントゥ納品
同日、男性のお客さんへの納品もありました。
足の計測をして、普段当たって痛い部分や足の悩みなどを確認していきます。
扁平足という悩みに対してどうアプローチしていくのが良いのかを、野口さんからいろいろとアドバイスがありました。扁平足自体が悪いことではないので、それを矯正するというよりはいかに足裏を支えてあげるかという方が足にとっては優しいアプローチのようです。
そして試着。
足の骨や関節がどう動くかを考慮された上で木型が設計されているのと、さらに左右でそれぞれで違う木型からできあがった靴です。
なので、今まで履いていた靴と感覚が違うので戸惑うことがあるかもしれません。
この男性も普段の靴と履き心地の比較されているようでした。
足が柔らかいため羽根をかなりキツめに締めたりしながら感覚を確かめますが、やはり市販の靴とは違った履き心地を実感されているようです。
その後、ツイッターでこのように評価されています。
#野口さん3Dスキャン靴 フィッティング第一印象
+手袋をはめた時のような、市販靴にはない自分の足に合わせた感触
+BJから先には適度な余裕
+踵は比較的良くついてくる。細い踵に合わせ、履き口の幅が狭いように思える
・足裏感はマッケイに近く地面を感じる一ヶ月は検証期間なので様子を見ます。 pic.twitter.com/mmQDtVrxh5
— マモ@靴活日記(革靴活動) (@FittingDiary) October 5, 2019
※BJ:ボールジョイント = 親指の付け根の骨と小指の付け根の骨のまわり
実際はしばらく履いて、歩いてみてわかる痛みや不具合もありますからね。
野口さんも、何かあったらいつでも連絡くださいという親切な対応です。
こちらのお客さんも同様にフィッティングのチェックシューズの試着。
木型は同じですが、やはりこちらも履き心地が少し違うようです。チェックシューズは内羽根、商品は外羽根なので構造の違いも関係はありそうですが、チェックシューズは改善の余地がありそうです。
スタンダードへのこだわり
ご覧いただいたパンプス。
足に合うということ以外にも、実は見た目の美しさも考えられています。
健康靴に寄せたパンプスであれば他のメーカーからも出ていますが、そうではなくパンプスとして魅力…例えば足が長く見える効果とか、パンプスそもそもの形の美しさとか、そういう部分は残しつつちゃんと足に合う靴を提供したいというのが野口さんの想いです。
また、今のところはデザインの凝った靴を作る予定もありません。
解剖学の知識から足の構造を知り尽くした野口さんだからこそ、足に合うものを多くの人に知ってほしいという想いも込められているはずです。
だからあえてシンプルでスタンダードなものにこだわっているのではないかと。
でも、靴自体の生産は量産が可能になっているので、この後はデザイナーさんとコラボして販売されたりとか、そういう機会があったらおもしろいともおっしゃってました。
今スタンダード路線なのはきっと、そのための布石でもあるんですね。なるほど、いいですね!
種類やデザインも増やしたい
今は、パンプスはつま先の尖ったデザイン(ポインテッドトゥ)の木型しかありませんが今後つま先の丸いデザイン(ラウンドトゥ)の木型も検討されたいとのことです。デザインの展開も同様。
あと、すでに上質な革が使われていますが、今後革の色が増えるのはすでに決まっているようです。
ちなみに、一度注文したら木型のデータは残っているので、靴が気に入って追加のオーダーも簡単にできるそうです。
木型のみの提供も検討されてるとか。
オーダーの流れ
基本的には公式サイトに丁寧に掲載されているので、ここで詳しく説明はしませんが簡単に言うとこんな流れです。
- デザインを決める
- お支払い
- 動画撮影
- 2〜3週間(ベータ版は4〜6週間)で納品
とてもシンプルです。
動画撮影の方法はサイト内で解説されているのでご安心ください。決して難しいものではありませんよ。
料金
デザインに限りがありますが、料金もオーダーシューズの中ではかなりリーズナブルだし、パターンオーダーとかではなくて左右の足それぞれに木型を作るフルオーダーですからね。
そう思ったらこの料金は革命的だと思いませんか?
レディース・パンプス | ¥40,000(税別) |
レディース・紐靴 | ¥50,000(税別) |
メンズ・紐靴 | ¥60,000(税別) |
合う靴が無い!ってお困りの方にこそ体験してほしいサービスです!
最後に
動画から足のサイズを計測するシステムを開発された中村さんという女性も合う靴がなくて苦労したとおっしゃっていて、そのご経験からこのシステムを開発されたそうです。
そういったところにもものづくりに対する想いを感じます。
どうして一番フィッティングが難しいパンプスのオーダーメイドに取り組んでいるのか?という話に対して、「自分が欲しかったからです!」という力強い返答も印象的でした。笑
そもそも動画だけで足のサイズを計測する技術もすごいと思うんですけど、これを実際形にしてしまうっていうのが素晴らしいことだと思ったんです。
このサービスをきっかけに日本の革靴に対するネガティブなイメージが変わってくれたらいいなって思います。
この画期的なサービスは大手もやりたいはずですからね!
あと、今回はじめてパンプスを納品されたときの、おふたりの「いやぁお疲れ様でした」「とりあえず一安心です」みたいなやり取りがすごく印象的でした。
本当にお疲れ様でした。
量産できる体制ではありますがまだそれほど数がさばけるわけではないので、10月末のリリース後は月に数足を丁寧に対応していきたいとのこと。
数が増えると計測データが増えて精度も上がってくるようですので、是非この画期的なサービスが多くの人に知ってもらえることを祈っています。
是非ご覧になってみてください。
Shoe-Craft-Terminal 公式サイト
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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