オリエンタル [Oriental]ブランド

4〜6万円台のオリエンタルの革靴、木型相関図とあわせてご紹介 [Oriental Shoemaker]

小さいサイズのスエードタッセル入荷!
オリエンタル [Oriental]

 

国産メーカー・オリエンタル。
僕も2足履かせていただいてますが、サイズ感が他のブランドと違うので、木型の設計について非常に気になっていたブランドでした。また、デザインも少し凝ったものがあり、そのあたりについてもお話を伺うことができましたので、お借りした靴と一緒にご紹介させていただきます。
ご覧になってみてください。

 

 

オリエンタルについて

 

 

1957年に東洋製靴株式会社として奈良県で創業したメーカーが、2016年にその名からオリエンタル(oriental:東洋の)というブランドを立ち上げます。
ハンドソーンのモデルから、グッドイヤー、グッドイヤーマッケイと製法の使い分けも幅広く、本格仕様の靴でも4〜6万円の価格帯で提供してくださっています。トップグレードラインの靴は、一部11〜12万円のものもあります。
ドレスシューズをメインに製造されていますが最近はローファーやブーツも展開されており、どれもデザインのバランスが秀逸で、飽きのこないデザインであることも魅力です。レディースシューズも展開されています。

 

サイズ表記だけで見ると他のブランドよりも小さめな仕様です。また甲も薄く幅の狭い靴が多いので足の小さい方も必見のブランドです。

 

 

木型の特徴

細身で薄めの木型が多いと申し上げましたが、オリエンタルの標準的とされている木型を基準に他の木型についても2次元にプロットしてみるとこのようになります。

 

同じサイズで比較した場合

 

ご覧の通り、多くの木型が幅が狭く甲が薄い『左下』にプロットされているのがわかります。木型の特徴としては、無駄を削ぎ落とし高いフィット感を意識された木型が多い印象です。
また、僕は足のサイズが23.5cmですので、普段は UK5 や UK5.5 の靴を履いていますが、オリエンタルの靴は 5 だとかなりキツめで、6 でも余裕を持って心地よく足入れができる感じです。なので、冒頭にも申し上げた通りサイズ表記だけ見ると、他のブランドよりもそもそも小さい木型で設計されていることがわかります。

 

7965 オリエンタルの標準的なラスト
1220 ブリティッシュテイスト
703 ベルジャンシューズ
GINZA ローファー専用
1216 ラウンドトゥ
1204 スクエアトゥ
BIANCO エッジの効いたセミスクエア
419 ショートノーズのローファー専用
808 丸みのあるカジュアルラスト

 

ちなみにですが、23.5cmの僕の足に対しては 5.5 がキツめでジャストというサイズ感です。キツめが好みですのでキツめの 5.5 を馴染ませて履いていけそうですが、フィット感ジャストくらいの 6 に足入れするとボールガースの位置が靴に合わないので、1サイズ上げて履くのは難しそうです。

 

今回お借りした靴では 5.5 であればキツめで足入れが可能という感じでした。細身の木型で足入れをされる場合は、いつもよりハーフサイズ上が合う方も多いかと思われます。例えばですが、7965なら 7.0 だけど、BIANCO だと 7.5 がちょうど良いというケースも実際には多いようです。

 

木型もあわせて、革靴についてもご紹介してまいります。

 

 

トップグレード

 

オリエンタルの靴の中でも最も贅沢で高価な靴がこちらのトップグレードラインの DANIEL というモデルです。
現在は3デザインのみを展開されていて、こちらのストレートチップの他には、外羽根Uチップ(ANDY)とダイヤモンドチップ(GABRIEL)があります。

 

 

トップグレードの靴はハンドソーンウェルテッド製法で底付けされているため、足馴染みと屈曲の良さが特徴です。また、見るからに上質なキメの細かいアッパーと、立体的な木型の形状を忠実に再現したシルエットが非常に綺麗です。
トップグレードの靴にはいずれも1204という木型が使われています。
幅も持たせたスクエアトゥで、つま先から二の甲にかけて薄く、三の甲でしっかりと立ち上がっています。サイドの立ち上がりもあり、メリハリのある木型です。

 

 

 

トップグレードラインにのみ、オリジナルシューツリーも付属されます。
この靴、かっこいいですね。とても素敵。
木型の形とパターン(靴のデザイン)の相性も大切にされ、その中でブランドとしての靴の見た目にオリジナリティを持たせています。

 

 

靴底の仕上げも手間がかかっています。半カラスのフィドルバック。

 

 

ヒールもピッチドヒールとドレス仕様にこだわった印象です。
このかかとからヒールにかけてのラインのまとまり方が非常に綺麗です。いや、さすがに10万円超えの靴だしなぁ…と思ったらオリエンタルのドレスシューズは同じ仕様で、どれも綺麗にまとまっていて驚きます。トップグレード以外の5〜6万円のラインでも同じです。
ヒールカップの丸みのあるラインからヒールへにかけての段差がここまで少なく、綺麗につながっている靴はめずらしいと思います。

 

 

前足部のライニングにはディアスキン(鹿の革)が使われており、なめらかな触り心地と足あたりになっています。屈曲性と吸水性の高い高級素材ですが、これもトップグレードだけでなく次にご紹介するドレスラインでも使われています。鹿の革を選ぶあたりに奈良県ブランドのこだわりと独自性を感じますね。
中敷やかかと周りはアッパーと同じ素材が惜しみなく使われています。

 

トップグレードは、ハンドソーンウエルト製法でお作りした最も贅沢なラインです。

 

 

ドレス(ベベルドグッドイヤー)

 

次はドレスライン・ベベルドグッドイヤーグレードのご紹介です。
こちらは税込5〜6万円台という価格帯で提供されていますが、オンラインショップには一部セールで3万円台になっているものもあります。
ドレスラインの特徴はグッドイヤーウェルテッド製法とマッケイ製法のコンビ製法で底付けがされているというのがひとつ。前足部はグッドイヤーの足馴染みがあり、ウエスト部分をマッケイにすることで土踏まずからヒールにかけての絞り込みと足を包み込むホールド感を得られるというのがメリットです。

 

また、ドレスラインなので一見所謂ドレスシューズのデザインが多い中、よく見るとこだわりの詰め込まれた少々『スパイスの効いた』デザインの靴が多いというのがふたつめの特徴です。
靴をファッションアイテムのひとつとして考え、服から靴を選ぶ場合、逆に靴から服を選ぶ場合にでも選びやすいよう考えられたデザインを展開されています。
例えば、ワイドパンツのカジュアルなスタイルを靴でカジュアルアップさせるなら…華奢なローファーのスタイルでベルジャンローファーを選ぶとか。
逆に、サイドゴアブーツが気分なら、テーパードのスラックスにブルゾンのスタイルで合わせるとか。

 

 

こちらは、JACKMAN というモデル。6アイレットのアデレードクオーターブローグです。サイズ展開は 5〜9.5 です。

 

 

 

こちらはオリエンタルの標準でかつ、実績の高い木型 7965 が使われています。確かに、トップグレードで使われている 1204 の木型より、少し高さに余裕があるようです。
英国靴をベースに日本人の足に合わせたような設計になっています。冒頭でオリエンタルの木型は細足薄足向けのものが多いと申し上げましたが、まずは一旦この木型で足入れをしてみて、そのあと薄さを求めるか細さを求めるかという調整をしてもらうのがよいかと思われます。

 

 

吸い込みのある素仕上げに近いヨーロピアンカーフにアンティークフィニッシュを施した仕上げなので、経年変化を楽しめる仕様です。

 

 

 

 

 

続いては、HAMILTON というモデル。
センターエラスティックのパンチドキャップトゥ。サイズ展開は 5.5〜9 です。

 

 

センターエラのデザインってあまり見ることはありませんが、それに惑わされず冷静になって考えると、実はすごく機能的な靴です。靴紐でフィット感を調整することはできませんが、脱ぎ履きは楽だしローファーよりも足を覆う部分が広いし、ローファーほどカジュアル感を感じさせないし。
珍しさと機能性におもしろさを感じてサンプルを1つお借りしました。

 

 

アッパーにはムラのあるミュージアムカーフが仕様されています。余計な装飾のないシンプルなデザインも相まって、バーガンディーの落ち着いた上品なムラ感が際立ちます。

 

 

 

 

 

ちなみに、僕はこのベベルドグッドイヤーのフルブローグの靴を1足持っていますが、先ほどのプロット図の左下に位置する最も薄く細い BIANCO という木型が使われています。
サイズは5で、購入当初は夕方には痛いほどキツいサイズでした。今ではだいぶ馴染んで、午前中なら気持ち良いキツさで履くことができます。(夕方、足がむくんでくると痛くなります笑)

 

一見普通のフルブローグですが、よくみると特殊なパーツの取り方をしているモデルで、独自性の強くおもしろいモデルです。この靴のご紹介はこちらの記事をご覧ください。

 

 

クラシックカジュアル(スペリオルグッドイヤー)

 

グッドイヤーウェルテッド製法のカジュアルライン・スペリオルグッドイヤーグレードです。革靴をもっと日常的に、というコンセプトに基づいて4〜5万円台の価格帯で展開されています。

 

まずは、ALBERS というコインローファーです。サイズ展開は 5〜9.5 です。
419というローファー専用の木型が使われています。ショートノーズの少々タイトで甲は比較的薄めに設計された木型です。

 

 

 

クラシックなデザインですが、つま先の形状や甲のバランスが秀逸で野暮ったさやのっぺり感がありません。とってもかわいらしいローファーです。素敵。
かかと側も綺麗にまとまっています。

 

 

 

先ほどの JACKMAN と同じくヨーロピアンカーフが使われています。こちらはライニングは牛革です。
グッドイヤーウェルテッド製法ですが、靴底はヒドゥンチャネル仕様。気軽に履くことを躊躇してしまうくらい綺麗な仕上げです。

 

 

 

続いては、BLACKWELL Ⅱという比較的新しいタッセルローファーです。サイズ展開は 5〜9 です。
ご覧の通り、サイドの装飾が編み紐になっていて、さらに編み紐とトップラインのパイピングはアッパーと同じスエードではなくスムースレザーという憎い仕様。これはかわいすぎる。

 

 

 

 

 

また、クラシックカジュアルラインにはカジュアル寄りの靴の展開もあります。
こちらは BYRON というモデル。サイズ展開は 5〜9.5 です。

 

 

808 という比較的ボリュームのある木型が採用されており、見た目にも靴の仕様的にもボリューム感のある仕様です。
ダブルソールでストームウェルト。かかとまで出し縫いのある底付けです。

 

 

 

先にご紹介したドレス寄りの靴とは対照的に、インポートのオイルドレザーでソールの仕様もあって、ガシガシ履く系の革靴ですね。こちらの外羽根プレーントゥ以外には、外羽根Uチップとサイドゴアブーツもありますね。どちらも 808 の木型なので、丸みの強いモデルです。

 

 

 

さらに、クラシックカジュアルラインには、セメンテッド製法でアンラインドのローファーのシリーズもあります。
こちらはスムースカーフを使ったコインローファーと、スエードのベルジャンローファーの2種類展開です。
僕も1足履かせていただいてますが、普段5のサイズを選ぶ場合が多いのがこの靴は6でジャストというサイズ感で、夏に少しお出かけする場合はめちゃめちゃ便利な1足です。少し厚めの全敷が入っているせいもあるかもしれませんね。

 

 

こちらの靴のご紹介はこちらで。

 

 

取り扱い店舗やオーダーなど

阪急メンズ大阪を除き、基本的には百貨店には展開されていないブランドです。
店舗によって違いがありますが、World Footwear Gallery で30点以上、阪急メンズ大阪では約20点、Trading Post は10点前後の取り扱いです。公式サイトの取り扱い店舗ページをご覧ください。

 

また、トランクショーも積極的に開催されています。
価格は既製にプラス1万円で、このような展開。

  • ドレス:65,000円~
  • クラシックカジュアル:58,000円~
  • アンラインドベルジャン:48,000円~

 

モデルを選択し、アッパー、ライニング、ソールエッジ、ソールボトム、などのカラーを選択していくシンプルなものです。
ハイグレードレザー、ハーフラバー、シューツリーはアップチャージが必要になります。木型調整やデザインの載せ替えは対応していません。
納期は約3〜4か月となります。

 

 

最後に

 

一般的に革靴には似たモデルが多い中、オリエンタルの革靴はデザインやバランスが秀逸であるということと、オリジナリティの高さについてもお伝えできたのではないかと思います。
また、何度も申し上げますが、細足薄足さらには小足の方にも選べる靴が多そうでもあるというのも、そちら側の人間としては非常におすすめでもありますので、是非機会があれば試着をしてみてください。

オリエンタル公式サイト

 

最後までお付き合いいただきありがとうございました。
動画でもご紹介していますので、よければご覧になってみてください。

 

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