革靴をピッカピカに光らせる鏡面磨きの方法をご紹介します!
はじめて挑戦される方、もしくはなかなかうまくできないという方にも、できるだけわかりやすくご説明していきます!
記事内に動画もご用意していますので、是非参考にしてみてください!
革靴の鏡面磨きとは?
蝋(ロウ)を主成分とした鏡面磨き用ワックスを使い、革靴のつま先やかかと部分に鏡のようなツヤを出す仕上げのことです。ハイシャインやミラーシャインって言ったりもしますよね。
ツヤを出すだけでなく、小さなキズや汚れなどからつま先やかかとを守ってくれるという効果もあります。
鏡面磨きは必ずしも必要な工程ではありませんが、ワックスの色や磨き方で靴の印象を大きく変えることのできる、靴磨きの魅力のひとつです。
非常に奥の深い世界ですよね。
鏡面磨きに必要な道具
鏡面磨きに使う道具はこの3つです。
左から順に…
- 油性ワックス
- コットンのネル生地布
- 水(ハンドラップ)
①油性ワックス
油性ワックスとは、このように缶に入ったロウを主成分としたものです。
革に栄養を与えることのできるワックスも稀にありますが、基本的にはロウを重ねてツヤを出すためのものです。
メーカーによってワックスの特徴などもありますが、それも後ほどご紹介します。
②ネル生地の布
普段の革靴のお手入れは、コットン(綿)素材の布で十分なのですが(写真右)、鏡面磨きをする場合は同じくコットンのフランネル素材の布(写真左)を使います。
普通のコットンの布よりもネル生地の方が柔らかくキメ細いので、鏡面磨きをしたときのワックスを優しく磨きあげることができます。
③水
写真はハンドラップという容器に水が入っています。
ワックスを革に塗り重ねた後、ネルの布に水をつけて磨いていきます。
鏡面磨きに水を使う理由
布にワックスが直接触れてしまうと布がワックスを拭き取ってしまうからです。ただ、ワックスは油性ですので水と混ざりません。
鏡面磨きで水を使う理由は、ワックス表面と布との潤滑油的な役割を果たし、それによって綺麗な鏡面を作ることができる、というわけです。
鏡面磨きの手順
それでは鏡面磨きのやり方をご紹介していきましょう。
ざっくりとした手順はこんな感じです。
- ワックスの下地(ベース)を作る
- 水とネル生地の布を使って磨く
- 山羊毛のブラシで表面を整える
それでは順番にご紹介していきます!
❶ワックスの下地(ベース)を作る
指でワックスを靴に塗って、鏡面となるワックスの下地(ベース)を作っていきます。つま先とかかと部分に広く伸ばすようにワックスを乗せていくイメージです。
足の甲の部分は革の屈曲がおおいため鏡面磨きをしてもワックスが割れてしまします。
あくまでワックスを塗る範囲は、硬い芯材が入っているつま先とかかとがメイン。靴によっては芯材が入っている部分の広さが違うのでそれを見極める必要もありますね。
あとは、靴の側面(サイド)にもワックスを少量塗ってあげると、つま先とかかとのツヤが繋がって、靴がより立体的に見えるような仕上がりになります。
また、布を使わず指で直接塗る理由は2つあります。
布につけると布にワックスが染み込んで塗る効率が悪くなってしまうのと、布の繊維で塗ったワックスを剥がしてしまう恐れがあるからです。
革表面の凹凸を埋めていくようなイメージで、ワックスを薄く塗り伸ばします。
革の種類や革の状態にもよりますが、はじめは5〜7回程度を目安にワックスを塗り重ねます。
ワックスが柔らかい場合は、ワックスを乾燥させて塗り足したほうが革表面に定着しやすくなります。
さらに、右足のつま先 → かかと → 左足のつま先 → かかと → 再び右足のつま先 …
という流れで、ワックスを乾かしながら塗り重ねていくと、ワックスが乾燥し下地になりやすいです。
❷水とネル生地の布を使って磨く
ワックスの下地ができたら、次に指にネル生地の布を巻き、ワックス表面を磨いていきます。
指に巻いたネル生地は、指の腹の部分を水で湿らせておくようにしましょう。水は多すぎる必要はなく、全体的にうっすら湿っている程度で大丈夫です。
また、ワックス表面を磨き始める時、表面に一滴水を垂らします。
優しくネルの布で表面を整えていきます。
決して強くこすらず、優しく円を描くようにワックスを整えます。
ワックスを塗り足してさらに表面を整える
この後、ある程度鏡面が整ったら、布に少量のワックスを取り鏡面に塗り足していきます。
このとき、ベースに塗ったワックスを剥がしてしまわないように気をつけましょう。
この時も水を乾かしながら、ワックスをしっかり定着させるために、つま先 → かかと → つま先 → かかと…というように交互に磨いていくのもコツです。
決して同じ場所を磨き続けない!交互に磨いていきましょう。
納得のいくツヤが出るまでこの工程を繰り返します。
だんだん塗り足すワックスの量を減らし、水だけで鏡面を整えます。
❸山羊毛ブラシやコットンで仕上げ
もしお持ちの方は、山羊毛のブラシに少しだけ水をつけ、で靴全体をさらっとブラッシングしたら完成です。
鏡面をしっかりしたつま先やかかとを直接ブラッシングするというよりは、ワックスで鏡面磨きをした部分と、ワックスを塗っていない部分の境界をぼかすイメージです。
ただ、高価なブラシなのですし、必ずしも必要なものではありませんので、ご安心ください。
つま先が綺麗に仕上がらない場合は脱脂綿を使って磨き上げるのもおすすめです。
初心者の方にはコットンの脱脂綿がおすすめ
初心者の方におすすめな、鏡面をさらに輝かせる方法をご紹介します。脱脂綿やコットンなどに水を含ませて、ワックスを塗った部分をさらに整えていきます。
ふわふわのコットン素材で鏡面を磨くと、さらに透明感のある輝きを出すことができます。
ひとつ上の輝きを手に入れるための道具
鏡面磨きの動画
やはり写真と文字だけだとわかりにくいと思いますので、動画もご用意しています!
よければこちらも参考にしてみてください!
鏡面磨きのメリット・デメリット
鏡面磨きのメリット・デメリットについても簡単にご紹介します。
鏡面磨きは革に悪い?
鏡面磨きはお化粧に良く例えられますが、お化粧と同じく定期的に落としてあげる必要があります。
でも逆に定期的に鏡面を落として、革に栄養を与えてあげれば鏡面磨き自体はそれほど革靴にとって負担になることはないと思われます。
悪いのはワックスではなく、お手入れしないこととクリーナーで必要以上に革をこすり過ぎてしまうことです。
雨やキズから保護してくれる
鏡面磨きには防水効果を高めることと、革に膜をつくるので傷から守ってくれるというメリットもあります。
もちろん、雨やキズから革を守ってくれるのは鏡面磨きをした部分のみですが、見た目にも美しい仕上がりになるので、革靴が好きな方には是非一度挑戦してみていただきたいと思います。
鏡面磨きが失敗してしまうときのコツ
なるべく丁寧にご説明をさせていただいたつもりですが、なかなか鏡面磨きができない!とか、うまくいかない!という場合に考えられる原因を考えてみました。
- ワックスが固すぎる/柔らかすぎる
- 布でワックスを拭き取ってしまっている
- 布を湿らせる水の量が少ない
- 革自体がワックスが乗りにくい状態になっている
- 靴が新品
このようなことが起こってしまうと綺麗な鏡面をつくるのは難しいかもしれません。
こちらの記事で詳しくご説明していますので、よければ読んでみてください。
鏡面磨きを短時間で仕上げるコツ
また、鏡面磨きを短時間で仕上げるコツについてもこちらの記事でご紹介しています。
人生は短いですからね。笑
お急ぎの方は参考にしてみてください!
鏡面磨きをいかに短時間で仕上げるか
鏡面磨きをした後のお手入れ
鏡面磨きをしてしばらく靴を履いていると、だんだん細かいヒビが割れがはいったり、つま先やかかとをぶつけたりして傷がついてしまうことがあります。
そうなるとワックスを落としてあげる必要があります。
鏡面磨きの落とし方
鏡面磨きを落とすのはちょっと大変です。
革靴の汚れ落としなどではなく、ワックス専用のクリーナーがあるのでそちらをご利用ください。
鏡面磨きを落とす頻度
鏡面磨きを落とす頻度は、8〜10回靴を履いたらというのを目安にしてください。
もちろん傷やヒビ割れができたら落としてあげてもいいのですが、過度にクリーナーで革を擦ってしまうと、革の表面に負担がかかったり傷つけてしまう可能性もあります。
鏡面磨きは靴磨きの醍醐味ですが、やり過ぎは革に負担がかかるということも覚えておいてください。
鏡面磨きの傷やひび割れを補修する
小さな傷であれば、クリームなどでワックスの表面を再び整えることもできます。
革靴用クリームの代表格、クレム1925を使って傷ついたワックスの表面を整え直します。
この時、クレム1925は無色のものを使います。
クレム1925の無色は他のクレムと成分が若干異なり、ワックスを溶かす成分が多いようです。
ワックスの柔らかさ・硬さを使い分ける
ブランドやメーカーによってワックスの硬さは違います。
指でちょっとこするだけでヌルッと溶けるワックスもあれば、新品の状態でも割と硬めのワックスなど様々です。
柔らかいワックスで下地づくり
柔らかいワックスは革表面の凹凸を埋めてくれますが、乾くまでに時間がかかります。
また、乾いて定着する前に塗り足してしまうと、前に塗ったワックスを剥がしてしまうことがあります。
なので、初心者の方には、柔らかめのワックスを買っていただき、3日〜1週間蓋を開けて乾燥させてから使うのがおすすめです。
そうすれば、下地がある程度作りやすくなります。
乾燥させ過ぎてしまうとドライワックスといって、乾燥は早い代わりに革に定着しにくい状態になってしまうので、ご注意ください。
硬いワックスで仕上げ
硬いワックスは乾くのが早いため革表面に定着しやすいですが、革の細かい凹凸を埋めるのにはあまり適していません。
革の凹凸が十分埋まらないとワックスと革の凹凸に隙間ができ、白い点々が残ってしまう、なんてこともあります。
なので、柔らかいワックスで下地を十分作った上で、硬めのワックスを重ね塗りして鏡面を整えていくと、両方の良いところを活かしながら、弱点もカバーできるという磨き方もあります。
こちら記事でワックスの特徴の違いを全10種類、ご紹介しています。
鏡面磨き用ワックスの比較
色をグラデーションに仕上げる
鏡面の色をグラデーションに仕上げるアンティーク仕上げという方法もあります。
茶色の革靴などに見られるもので、つま先の色が濃く、徐々に薄くなっていく仕上げです。
こういった仕上げも鏡面磨きの醍醐味だと思います。
気になった方は是非チャレンジしてみてください!
ウイスキーを使ったモルトドレッシング
鏡面磨きに水を使う代わりにウイスキーなどのアルコールで磨くという『モルトドレッシング』という、大人の遊びがあります。笑
僕はまだ試したことはありませんが、アルコールが水よりも揮発性が高く乾きやすいため、鏡面磨きに向いているという理論のようです。
ただ、ウイスキーの成分で革にシミができてしまうこともあるようですのでご注意ください。
僕もウイスキーが飲めるようになったらやってみます。笑
ワックスは100均にも売っています
ご紹介した道具を全て揃えるのはハードルが高いという方は、ダイソーなどの100均でワックスを買ってみてください。
ちょっとニオイがキツいですが、安価に手に入るので初めての方にはおすすめです。
最後に
輝く革靴を履くのは本当に気分がいいものです。
気持ちよく歩けるし、磨いた鏡面をぶつけて傷つけたくないので、歩き方や所作にも品がでると思います。
意外にも鏡面磨きはご自宅で簡単にできてしまうので、フォーマルなパーティーやビジネスシーンでも、ここぞ!という気合の入る時に是非お試しください!
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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