エドワードグリーン [Edward Green]ブランド

ドレス顔のダブルモンクストラップなら、バックルを留める位置だけは死守したい [Edward Green]

[Loose & Colorful] For ladies page
エドワードグリーン [Edward Green]

 

紐靴かローファーというほぼ二択で成り立っている僕のシューズラックに、もうひとつ別の選択肢がほしかった。少しキツめでスーパー足に合う三陽山長のサイドモンクと共に、「モンク」という少数派カテゴリを担っていただきたいのがこの靴だ。

 

 

今回の革靴

Brand : Edward Green
Model : “Westminster”
Design : Double Monk Cap Toe
Size : 5.5
Last : 915
Leather : Dark Oak Antique Calf
Sole : Single Leather Sole

 

 

ダブルモンクのスタイルも様々

 

ダブルモンクはキャップトウのものが多い気がしている。
あとはプレーントウかUチップ、まれにウイングチップのものもあったりするが、キャップトウが多い以上ダブルモンクの靴の見た目を左右するのはこの2つのバックルに他ならない。

 

完全に僕独自の勝手なネーミングで恐縮なのだが、ストラップが同じ方向を向いて下に落ちているものを「ウィリアムタイプ」と呼んでいる。一方、同じ方向ではなく少し広がって落ちているものが「フィリップタイプ」。同じ方向だけれども下に落ちるというよりは後方に落ちているものは「チャペルタイプ」だ。

 

それぞれのパーソナリティーはこんな感じ。

  • 同じ方向を向いたウィリアムタイプ:礼儀/慎み/協調性の象徴
  • 少し広がりのあるフィリップタイプ:自由/平和/多様性の象徴
  • 後方を向いたチャペルタイプ:信仰/愛/慈しみの象徴

 

 

ストラップが広がりを見せるフィリップタイプ

 

この靴はフィリップタイプ。それぞれのストラップが自らの進むべき道を歩み、自由と平和を謳歌しながら甲を覆っている。
同じく英国の老舗ブランドジョン・ロブ [John Lobb] のダブルモンクから名前を拝借しているのは、当然エドワード8世が初めてダブルモンクをオーダーしたのがジョンロブだったことに起因する。

 

 

ただし、このモンク。
サイジングを怠ると、なかなかに難しい履物なのである…。

 

 

ドレス顔ダブルモンクの履き方

海外のサイトなんかを見てまわると、モンクストラップは汎用性が高いデザインと書かれている場合が多い。
汎用性が高いとはどういうことか。ドレススタイルでもパリッと決まって、カジュアルにも合わせやすいという解釈をするなら、汎用性が高いというのは納得だ。

 

 

 

 

例えば、明るい色で尚且つ型押しの革、もしくは底付けにボリュームがあったりシルエットの丸みがあるモンクであればカジュアルなジーンズとの相性も良さそうではあるが、スーツスタイルに合うかと言われればなかなか難しそうだ。
だとすると、このドレス顔のダブルモンクはどうだろうか。

 

 

 

 

ビジネスなら全く問題なしといったところ。
ブラックのスムースレザーにシルバーのバックルならやはりパリッと華やかな印象になるだろうけど、こちらはブラウンにくすんだゴールドのバックル。仕上げもつま先とかかとに焦がしが入っていてアンティーク感が強いけれども、バックルの主張と派手さは比較的控えめではある。

 

黒やグレーのスーツというよりは、このアンティーク感であればネイビーやブラウンのスーツと合わせるのがイメージしやすそうだ。汎用性という意味ではこの靴の登板回数は決して多くはなさそうだが、ドレス顔のダブルモンクとしてはこれ1足のみ。
なので「今日の気分はモンク!」という場合は迷うことはなさそうだ。

 

 

ウェストミンスター [Westminster]

 

エドワード・グリーンのキャップトウのダブルモンクストラップ「ウェストミンスター」というモデル。
グリーンらしい丸みがあり、でも野暮ったさのない、非常に好みのバランス感とシルエットだ。モンクだけに文句なしだ

 

 

4年前にノーザンプトンのファクトリーショップで購入された靴をメルカリで出品されていた方がDMをくださって、お値引きしていただいて購入した。多分日本で買うと17万くらいするが、7.5万で購入させていただいたということはつまり、10万円未満の靴をもう1足購入しても問題ないという計算になる(ならない
中古ではあるが、ソールは無傷で新品同様。ツリーも付属されていて、とても良い状態だ。4年間も良い状態で保管してくださっていたことに心から感謝の意を表したい。

 

サイズは5.5なので少し大きめかなぁと思いつつ、一応内羽根5.5のグリーンも履いてるしと高を括って購入したが、やはりモンクのサイズ調整は少し難しそうではある。
モンクストラップに3段階あるバックルの穴は中央で留めて履くのが一番美しいと思っているので、バックルは絶対にこの位置で履きたい。絶対に死守したいポイントである。
見た目が悪いのであえて写真などは載せないがダブルモンクをお持ちの方は是非バックルの穴の位置を変えて靴のバランスを見てみてほしい。そうじゃない、と思われるはずだ。

 

サイズ感

 

ただ、サイズは普段履いている5よりはハーフサイズ大きい5.5なので、少し緩めのフィット感だ。
紐靴であればキツく締めることでその緩さを許容できるところが、モンクは紐靴ほどキツく締められないのでそこはやはり難しい。申し上げた通り僕はバックルの穴の位置を死んでも変えたくないので、靴下の厚みで調整するほかない。モンク慣れしていないせいか、ここは予測が甘かったところだ。

 

しばらく履いてみて厳しそうならバックル穴の件は撤回するだろう。
履き心地が悪い靴は履かなくなるという、過去に何度も何度も経験してきたからだ。

 

ダークオークアンティークカーフ

 

ダークオークアンティークという革の名前。
名前からアンティーク感が漂うが、個人的な好みとしてはこのつま先の焦がしを過度に入れてほしくないというのが正直なところだ。グリーンの茶靴は全般そう。
徐々に抜けてくるものかと思ったら案外そうでもないし、気分によってワックスの色味を変えてみようという気も起こらないからだ。

 

 

左足のつま先が濃い

 

リジェクト理由は恐らくこの左足のつま先なのではないかと予想している。黒が強く入ってしまい、グラデーションが弱い。簡単に補修できるなら正規の価格で販売されていたはずなので、このつま先もなかなか手強そう。この色とどう向き合っていくかが今後の僕の課題になりそうだ。

 

とはいえグリーンのもっちりとした質感の革はすごく好きで、贅沢な気分に浸ることができる。この靴は場所によってそのもっちり感が感じられない部分もあったので少々物足りなさはあったものの、それでもこの滑らかさと触り心地はグリーンの魅力だ。
また、僕が知っているグリーンの革は経年変化も好みの質感になるので、育て甲斐があるのは間違いなさそうではある。

 

 

シャープでモダンなラスト915

915、888

 

エドワードグリーンといえば202とか606とか「英国靴らしさ」を備えたクラシックなラストが多くあるが、82や888のような比較的新しいラストもあり、木型の違いが靴の見た目を大きく左右する。
同じサイズの888よりも若干ロングノーズで幅も少しだけ広め。つま先の丸みだけで見ると、82にも似ているかもしれない。
甲も薄くてロングノーズだ。

 

 

915は中でもかなり新しい木型で、ラウンドトウではあるがサイドが垂直な「サイドウォール」というシルエットになっていることで、英国靴のクラシックさというよりはシャープでモダンな印象。

 

サイドウォール

 

 

出番は秋冬のタイドアップ

一括りにモンクと言っても、実際は靴の仕様や革・色によって用途は様々だ。
やはりこのドレス感ではジーンズで履いてみようという気は起きないので、スーツやジャケパン、3歩くらい譲ってビジネスカジュアルで着崩すような装いで合わせるのがよさそうだ。
そして僕の場合、残念だがタイドアップしない夏はなかなか出番が少なそうではあるが、スーツスタイルでは活躍してくれそうである。

 

いくら汎用性が劣っても僕はグリーンの靴を所有できることに喜びを感じ、クリームやオイルを塗ることでこの靴の10年後20年後の姿に思いを馳せることができる。友人とノーザンプトンに行くから「英国靴・買わずの誓い」を立てていたにも関わらず、簡単にそれを破ってしまった。

 

でもいいじゃん、ファクトリーショップとほぼ同じ価格で買えたなら。

 

 

そして浮いた10万円で何を買うかをじっくり考えようじゃないか。そうやって自由と平和を謳歌していきたい。

 

革靴だけでなく自らも、経年劣化でなく美化でありたい [Edward Green]
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