革靴のクリーナーには大きく分けて2つの役割があると思っています。
- 革表面についた汚れを落とす役割
- 革靴の古いクリームの成分を落とす役割
クリーナーごとの特徴はあるのか、用途ごとに合うクリーナー、合わないクリーナーがあるのかどうか、実験をしてみたいと思います。実験は簡単で革のハギレに塗ったクリームや汚れを、それぞれのクリーナーで落とすだけ!
クリーナーごとに特徴があって、なかなかおもしろい結果になりましたので、よければお付き合いください。
比較対象クリーナー
今回はこのような布陣で挑みたいと思います。
ほとんどが市販されている靴磨き用のクリーナーです。
左から順に…
- ステインリムーバー
- ツーフェイスプラスローション
- ユニバーサルレザーローション
- レノマットリムーバー
- リグロイン
そして、汚れ役はこちら。笑
左から
- 油性クリーム(クレム1925・黒)
- 乳化性クリーム(シュークリーム・黒)
- 乳化性クリーム(ビーズワックスファインクリーム・茶色)
- ウイスキー
- オリーブオイル
クリーナー実験結果!
今回、クリーナーを布にとって汚れを拭き取るわけですが、布に取るクリーナーの量も、拭き取る回数も均一になるようにしました。多少の誤差はありますが、ほぼ同じ条件下での実験結果となります。
結果はこんな感じになりました!
ちなみに一番左の列は、クリーナーが革にどんな影響を及ぼすかどうかを調べたものです。クリームなどは無い状態で、クリーナーを直接革に塗って擦りました。
ひとつひとつ細かく見ていきましょう!!
クリームを落とす革靴クリーナー!
クリームを一番キレイに落としているクリーナーは間違いなくこのふたつです。
ステインリムーバーとツーフェイスプラスローション。
このふたつを比較すると、ツーフェイスプラスローションの方が強力なクリーナーとされているため、若干の差ではありますがよく見るとツーフェイスの方がクリームの色成分をキレイに拭き取れている気がします。
ユニバーサルレザーローションとレノマットリムーバーはクリームの成分はあまり落とせていないようです。
リグロインは乳化性クリームはしっかり落ちているようですが、油性クリームとの相性は良くないのかもしれませんね。もしかすると、ちょっと量が少なかったのかもしれませんね。
というわけで、クリームを落とす部門はこちらのふたつが優勝!
汚れを落とす革靴クリーナー!
さて、次は汚れを落とすクリーナーです!
ウイスキーに関しては、ツーフェイスプラスローションとレノマットリムーバーが効果を発揮しています!
光の具合でちょっとわかりにくいかもですが、リグロインでも完全に汚れを落とせているという感じではなさそうです。
また、オリーブオイルに関しては、ほとんどのクリーナーが完敗という結果に…。
ツーフェイスとレノマットはオリーブオイルを溶かして広げてしまっているので、見栄えがよくありませんね。
というわけで、汚れを落とす部門は、このふたつが優勝!
革への影響が少ないクリーナー!
洗浄効果が高くても、革に悪影響となると話が変わってきます。
なので、これも非常に大切な検証だと考えます。
目の荒い布でにそれぞれのクリーナーを取り、50回革をこすります。グリグリグリと少しだけ力を加えながら。
この状態だとわかりにくいですが、横からみると割と革への影響が顕著に表れています!
ステインリムーバーはほぼ変化はないようです。
ユニバーサルはロウの成分も含まれているため、そのロウが革表面で膜になっています。粘性が高い液体なので、革表面は傷ついてはいないようです。
ツーフェイスとレノマットは強力なクリーナーだけあって、革表面が若干溶けてツヤを失っています。よくよく見るとレノマットの方がその範囲が広く、革へのダメージが大きいことがうかがえます。
リグロインは色が抜けているのでダメージが大きいように見えますが、革の表面の溶け具合で見るとレノマットの方が溶けている印象です。
少々極端な実験ではありますが、革への影響が少ないのはこちらの2つです!
色落ちの危険が少ないクリーナー!
リグロインは色落ちが顕著です。
ツーフェイスとレノマットも革表面が溶けている影響で、若干色落ちしているように見えます。
なので、色落ちが心配という方はこちらの2つから選んでいただくといいでしょう!
おすすめの革靴用クリーナー
というわけなので、用途別にクリーナーを選ぶのが良さそうです!
靴磨き用のクリーナー
普段のお手入れに使うクリーナーであれば、ステインリムーバーとツーフェイスプラスローションが一番適していることがわかりますね。やはり専用のクリーナーだけある、という印象です!
強力なのはツーフェイスですが、デリケートな革にはステインリムーバーを使われた方が安心かもしれません。
ツーフェイスも使いやすいクリーナーです。油性クリームをしっかり落としてくれるので、個人的にはおすすめです。
クリームを落とすクリーナーの使い方
強力なクリーナーよりは比較的安心して使えますが、擦りすぎ・塗りすぎには注意です。はじめての革に使う場合は、かかとの内側のような見えないところで試してみてください。
一瞬色が変わっても乾くと問題ないこともありますので、様子を見ながら使ってみてください。
汚れを落とす強力なクリーナー
ツーフェイスプラスローション、レノマットリムーバー、リグロインが有力かと思われます。
水性の汚れであればある程度はこれらのクリーナーでどうにかなりそうですが、油汚れはかなりやっかいです。
なので、ひどい油汚れがついてしまったようなケースはプロのクリーニングに依頼した方が賢いかもしれません。
汚れを落とすクリーナーの使い方
ツーフェイスとレノマットは汚れを落とす効果は期待できますが、こすってしまうと革表面を傷つけてしまいます。
なので、クリーナーを染み込ませて、汚れを浮かせて優しくトントン押すことで汚れを落とすという使い方をしてください。クリーナーの量は少しずつ様子を見ながら増やしていくのがよいでしょう。
また、リグロインは色落ちの可能性が大いにあるので、不安な方は使用を控えた方がいいかもしれませんね。
クリーナーを使う頻度
クリーナーを使う頻度は靴を履く頻度にもよりますが、合計100時間程度履いたら靴をお手入れするタイミングで使っていただくというのを目安にしてください。
決して頻繁にやりすぎる必要はありません。
こちらでご紹介している本を参考にさせていただいています。
革靴用クリーナーは代用できるのか
こちらの記事でご紹介しています。
弱酸性・無添加のボディーソープやハンドソープなどであれば代用はできると思いますが、油性クリームはそこまでしっかり落とせない印象でした。
よければこちらの記事もご覧ください。
革靴にはクリーナー不要説?
革靴にクリーナーはいらないという意見もあるようです。
それは恐らくクリームに含まれている有機溶剤が古いクリームを溶かすから、という理論から派生した考え方かと思います。
どうなんでしょう?クリームにもロウ分が含まれているものがあるので、ある程度定期的に落としてあげないと表面に蓄積されてしまうのではないかと思っています。
この件については、実験したことがないので正直わからないところでもあります。
最後に
それぞれクリーナーごとに特徴があることがご理解いただけたのではないかと思います!
とにかく一番覚えていただきたいのは、クリーナーをつけてこすり過ぎない!ということ。汚れを落とすことより、革を傷めないことの方が大切です。
ひどい汚れはプロに任せれば大丈夫!日常のお手入れは、古いクリームがある程度落ちれば十分です。
今回使用したクリーナーはこちらです。
・ステインリムーバー
・ツーフェイスプラスローション
・ユニバーサルレザーローション
・レノマットリムーバー
・リグロイン
※それぞれ商品紹介記事へリンクします
是非お好みのクリーナーを探してみてください!
最後までお付き合いいただきありがとうございました!

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