「靴磨きってどれくらいの頻度でするのがいいの?」
そんな質問をされることがあります。
何回履いたらお手入れをするのが理想的だ、なんて言われることはありますが、革の種類にもよるしお手入れの仕方にもよるし、なかなかご説明が難しいところだと思っています。
というわけで、革靴のお手入れの適切な頻度についてご説明をさせていただきますので、参考にしてみてください。
革靴のお手入れの頻度
お持ちの靴の数にもよりますが、目安としては同じ靴を10回履いたら1回お手入れをすれば問題なしです!
もう少し具体的に言うと、1日10時間靴を履いたとしたら、同じ靴を10日履いたらちょうどお手入れのタイミングというイメージです。
革靴への愛故、毎日でも靴磨きやお手入れをお気持ちはよくわかります。ええ、わかりますとも。
しかし、過剰なお手入れは革に負担をかけてしまいます。またこちらの記事でご紹介しているような一般的な革靴のお手入れが相応しくない革もあります。
過剰なお手入れは不要
靴が可愛すぎるせいか、クリームを頻繁に塗りすぎて革の表面がゴワゴワになっている靴を見たことがあります。人様のお靴です。
靴がお好きなのはとっても共感します。すごく素敵。でもやりすぎは良くありません。
ツヤの出しすぎには注意
靴のクリームにはツヤを出すためのロウ分が含まれている場合が多いです。革は油分や水分以外にもロウ分もある程度吸収します。水分や油分は揮発するものもありますが、一方でロウ分は揮発せず革に残ります。さらにロウ分はしっかり落とさないと革表面に蓄積をして、ツヤが出る反面、革の繊維の中で硬化してしまいます。
つまり何が言いたいかというと、革は柔軟である方が長持ちするわけですが、ツヤを出すためにロウ分を含みすぎた革は硬くなって柔軟性を失い、ひび割れを起こすことがあります。(全てのロウがそうというわけではありません)
ツヤを出すことは靴磨きの醍醐味ではあります。また、ロウ分は革表面を傷や雨水から保護してくれるという効果があったり、革を柔軟に保つロウ分もあります。しかし、靴が頻繁に屈曲する甲の部分には、強いツヤを出すためのロウ分が蓄積しすぎない方が革にとっては健康というわけです。
ロウ分は優しいクリーナーでは落としにくいというのも、また難しいところですね。
お手入れによって状態が悪化する革
表面を樹脂でコートしているガラスレザーや顔料を多量に乗せて仕上げられている革は、靴のクリームを塗ってもほとんど浸透していきません。さらに、そういった革にクリーナーを使いすぎると樹脂や顔料が加水分解を起こして溶けたり剥がれてしまうことがあります。
なので、お手入れによって状態が悪化してしまう種類の革もあるということをご理解ください。
こちらの記事で、もう少し専門的な知識を交えて本記事の改訂版をご紹介しています。
お手入れについて申し上げましたが、お手入れ自体が悪いということではありません。革にもいろんな種類があって、なかなか難しい。定期的にフルメンテナンスをしていただく分には問題ありませんが、実はそれと同じくらい大事な毎日の靴のお手入れについて知っていただきたいのです!
脱いだ直後のお手入れ
先ほど申し上げた通り、10日程同じ靴を履いたらフルメンテナンスをしていただければ十分なのですが、それよりも大切なお手入れがございます。
ご帰宅後、革靴を脱ぎっぱなしにしていませんか?
是非ご帰宅後、靴を脱いだタイミングで3分だけ、いや1分だけその日に履いた靴をいたわってあげてほしいのです。
そうすれば革靴の寿命は確実に伸びます。ここからが本題!
馬毛ブラシでホコリを落とす
靴についた汚れやホコリはできるだけ早いタイミングで落としたいのです。
細かいとはいえホコリも繊維です。そのホコリの繊維が革の油分を吸い取ってしまい、革を乾燥させてしまいます。また、汚れも放っておくと革にシミができてしまうことがあるからです。なので、1日履いた革靴は馬毛ブラシで砂やホコリを必ず落としてあげてください。
また、馬毛のブラシは使えば使うほど、クリームなどに含まれる油分がブラシの毛に馴染み、ブラッシングをするだけで少量の栄養補給効果をもたらします。
※靴磨きに使うブラシの種類についてはこちらの記事でご紹介しています。
②消臭スプレーで除菌
靴の臭いが気になる方は除菌・防カビ効果のあるスプレーをご利用ください。
こちらのシューナチュラルフレッシュナーは、天然成分が使われていて香りもキツすぎず程よいです。香りは、森林、レモン、ラベンダー、ピンクグレープフルーツの4種類です。
特に湿気の多い夏、朝から終電までずっと靴を履いた日には時々スプレーしていますが、お陰様で僕はカビが生えたことが一度もありません。
※シューナチュラルフレッシュナーはこちらの記事でご紹介しています。
③シューキーパーを入れる
シューキーパーを入れないと革靴が反ってしまったり型崩れを起こしたりします。
見た目にも靴の美しさを損ねるだけでなく、反ってできた履きジワからヒビが入ったりすることがあります。革靴を長持ちさせたい方は是非シューキーパーをご利用ください。
※シューキーパーの種類と選び方についてはこちらの記事でご紹介しています。
また、シューキーパーを入れるタイミングは汗の水分を蒸発した翌朝がベストだという説もありますが、個人的には靴を脱いだタイミングで入れていただくのがいいと思っています。革は汗が蒸発するときに一番収縮するからです。
こちらの記事で詳しく解説していますので、よければご覧ください。
鏡面磨きを落とす頻度
鏡面磨きのワックスを落とす頻度も、10回履いた後のフルメンテナンスのタイミングでしてあげてください。ワックスを落とし、その部分にクリームで栄養補給をしてあげてください。
こちらの記事で鏡面磨きを落とすクリーナーについてご紹介しています。
ワックスは半年以上放置すると硬化し、かなり落としづらくなります。長期間履かない靴はワックスを落としてから保管していただくことをおすすめします。また、ワックスが落としにくくなってしまっても、クリーナーで革を強く擦るようなことはやめてください。革表面を傷めてしまう恐れがあります。
ワックスのクリーナーにもいろんなものがありますが、個人的にはペーストタイプのものでなく、こちらの液体タイプのクリーナーがおすすめです。
※ワックスクリーナーはこちらの記事で詳しくご紹介しています。
ときには靴の内側の掃除も
靴の内側って実はホコリや靴下の繊維が結構たまってます。
割り箸に布を巻きつけて、アルコールをすこし染み込ませてホコリを取ってあげましょう。ホコリは湿度を溜め込む要因でもあるので、カビ防止にも繋がります。
このお手入れの一番の効果は、何よりもゴッソリ取れる爽快感です。革靴の内側のお手入れはこちらの記事で詳しくご紹介しています。
かかと交換修理の頻度
かかとの交換も、手遅れになる前に是非修理に出していただきたいところです。
かかとに関しては具体的な頻度の目安というのはありませんが、これ以上削れたらダメなラインがあって、それを超えてしまうと修理代が少し多めにかかってしまうこともあります。
ご帰宅後馬毛ブラシでブラッシングをしてあげるときに、かかとの削れ具合も気にしてあげてくださいね。
かかと修理のお値段についてはこちらの記事でまとめています。
まとめ
月に一度の靴磨きもとっても大切ですが、毎日のお手入れも忘れないでいただきたいのです。
また、10回履いたらというのも、あくまで目安です。
毎日革の状態を見ていると、「あ、革が乾燥してるな」っていうのがだんだんわかるようになってきます。それがお手入れのタイミングです。
艶を出したかったり色を変えてみたり、気分によって鏡面磨きをしてみたりしたいのでシューケア用品はたくさん持っていますが、あまり興味のない方はシューキーパーとブラッシングだけで靴は十分長持ちすると思います。
是非お試しください!
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
革靴の磨き方もご紹介していますので、よければこちらの記事もご覧ください。
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質問ですが、ブラシで埃を落とすとき靴紐をほどく必要はありますか?
リンクさま、コメントありがとうございます。
靴紐の隙間やタンの部分にはホコリはたまりやすいので、紐を解いて丁寧にブラッシングするのは良いことだと思いますが、毎日のブラッシングであれば特段そこまで手間をかけなくてもいいかなぁと個人的には思います。
ただ、基本的に靴紐は緩めた状態で脱ぎ履きをするのが靴にとっては負担が少ないので、靴紐を緩めるタイミングでブラシが届く範囲でホコリを落としてあげれば十分だと思います!