靴磨き・お手入れ

靴磨き・革靴のお手入れの最適な頻度と革の状態を見分け方について考える【改訂版】

靴磨きセットまとめ記事
靴磨き・お手入れ

 

「靴磨きってどれくらいの頻度でするのがいいの?」

 

そんなテーマの記事が過去にありました。

 

何回履いたらお手入れをするのが理想的だ、なんて言われることはありますが、革の種類にもよるしお手入れの仕方にもよるし、なかなかご説明が難しいところだと思っています。
というわけで、革靴のお手入れの適切な頻度について少し具体的に掘り下げてみたいと思います。

 

過去記事の改訂版です。
よければご覧になってみてください。

 

 

革靴のお手入れの頻度

お持ちの靴の数にもよりますが、目安としては同じ靴を10回程履いたら1回お手入れをすればよい、というのがよく聞く頻度の目安です。

 

ただしこれはあくまで目安で、靴によって、革の種類によって、使う道具によって、または履き方や環境によってもその最適なお手入れの頻度というのは変わってきますので、それが正解とは限りません。人によって肌質も違えば最適なスキンケアや化粧品も違います。過度に洗顔をするのも良くないなんて言われます。
もちろん人間の皮膚と革とでは物性が違うわけですが、革も原皮の質や仕上げによっても違うわけですので、お手入れの仕方や頻度が違って当然です。

 

なので、一番良いのは革の状態を見て判断して、適切なお手入れができることだと考えます。

 

その前に革を知る

 

極端な例ですが、例えばガラスレザーと言われてる類いの革は、革表面に塗膜や樹脂などを乗せて仕上げられています。なので、クリームはほぼ浸透しませんし、お手入れの頻度もへったくれもないということになってしまいます。
また、使うクリームによっても革に残留する有効成分の量も違います。これは後ほど詳しくご紹介します。

 

ガラスレザーでなくても例えば、ハイブランドのバッグなどで使われているような表面に塗膜と顔料がたっぷりと乗った革は、ガラスレザーなどと比べると一見革らしい表情をしていますが、たっぷり乗っている塗膜と顔料故、クリームが浸透しづらいものもあります。

 

そのような表面を樹脂や塗膜、顔料などでコートしている革にクリーナーを使いすぎると樹脂や顔料が加水分解を起こして溶けたり剥がれてしまうことがあります。
また、クリーナーやクリームに含まれる溶剤によって、特殊な染めが施された革の染料を落としてしまうことがあります。

 

黒の革だとわかりにくいですが、革に水を垂らしてみて革が吸い込むか(革の色が濃くなるか)というのは、ひとつお手入れの要否を判断する要因になるかもしれません。
どういう革が使われているか知るのはとても大切なことのように思います。

 

革の状態を判断するには?

話を戻して、じゃあクリームを吸い込みがあるお手入れの必要な革だったとして、どうしたら革の状態を見分けられるか。
これも革によって違うわけですが、例えば一般的な牛革のスムースレザーであれば、シワに注目してみるのはいかがでしょう?
甲の履きジワです。

 

 

革靴の場合は、製造の工程上かなり強いテンションがかかっていて、さらに革が三次元的に縫い合わされています。そこに歩行によって人の体重以上の荷重が加わり、何千何万回と屈曲を繰り返すわけです。過酷な耐久試験に晒されているような状態です。
様々な外的要因で革の柔軟性を保つ成分(なめし剤、水分、油分など)が少なくなってしまうと、屈曲に耐えかねて深いシワが入り、シワからひび割れを起こしてしまいます。

 

エイジングを伴って革は魅力を増すという考え方もあるので、何を持って革が良い状態であるかというのは難しい話ですが、革は柔軟性を保っていることが革の状態を評価するひとつの指針と言えるのではないでしょうか?
つまりシワの表情が硬くなく、柔らかい質感を保てているかということです。

 

 

革の種類や厚さやコシによってシワの入り方が違いますし、そもそも靴が足に合っているか合っていないかでもシワの入り方が違います。いろんな要因があって判断が難しいところなのですが、シワの雰囲気がちょっと固くなってきたなぁとかゴワゴワしてきたなぁと思ったら、もしかするとお手入れのタイミングかもしれません。

 

あとは、小さなすりキズが増えてきたとか、鏡面磨きがひび割れてしまったとか。
ゴリっと削れたキズではなく、爪で引っかいたような小さなキズならクリームで覆い隠すことができます。これは革の状態を判断するというよりは、革靴の美観を保つという意味の方が強いかもしれません。

 

また、小さいシワであれば、ご帰宅後にシューキーパーを入れて馬毛ブラシで少し強めにブラッシングをしてあげると、全然目立たなくなる場合もあります。
さて、この話はどうまとめようか…すごく難しい。笑

 

 

過度なお手入れは不要

 

また、人様の靴でクリームを頻繁に塗りすぎたせいか、もしくはクリーナーのせいか、革の表面がゴワゴワになっている靴を見たことがあります。
僕の靴でも革表面に蓄積したロウ分がボロボロと落ちてきた、という驚くべき経験がありました。こちらの記事です)

 

ツヤ欲しさ故ロウが蓄積すると…

 

ツヤを出すことは靴磨きの醍醐味ではありますが、前述のとおり古くなって固まったロウ分の蓄積は革にとって負担になります。

 

靴のクリームにはツヤを出すためのロウ分が含まれている場合が多く、油分や水分と同じように少なからずロウ分も革の繊維構造内に吸収されます。ロウ分は常温では個体ですが、溶剤によって油分などと一緒にクリーム状に混ぜ合わされているためです。
水分や溶剤は揮発しますが、ロウ分は揮発せず革に残り、繊維の中で硬化してしまいます。先ほども申し上げたとおり革は柔軟である方が長持ちするわけですが、含んだロウ分が革の中で硬くなると柔軟性を失い、革にとっては負担になるのではないかと考えます。
(屈曲の少ないかかとやつま先はそれほど問題ないとは思います)

 

また一方でロウ分には種類があり、種類によっては革表面を傷や雨水から保護してくれるという効果があったり、革を柔軟に保つ効果があったりもします。
しかしクリームの多くは硬いロウや柔らかいロウが混ざり合っているので、ロウの成分を見分けるのは難しいのですが、特に靴が頻繁に屈曲する甲の部分には、強いツヤを出すための硬いロウ分が吸収・蓄積しすぎない方が革にとっては健康ということが言えるのではと考えます。

 

ロウ分はクリーナーでちゃんと落とせていないと革表面に蓄積して、ゴワゴワしたり細かいシワが生じます。

 

揮発する油分、硬化する油分

 

少し話がそれますが、油分にも種類があります。揮発するものや、経時とともに酸化して硬化するものです。
革に吸収されたあと硬化する油も先ほどのロウ分と同様、革の柔軟な繊維構造を柔軟に保つことができず革にとっては負担になるはずです。

 

ロウ分を含まないデリケートクリームであっても、購入後しばらくすると、ビンとフタの間にクリームが乾燥してカリカリになったものが付着しているものがありますが、あれが革にとって負担になっているのではないかと疑っています。
デリケートクリームの8割が水分と言われていますが、水分が蒸発した結果、残った成分が硬くなるのは、つまりそういうことなのではないかと。
だから落としてあげることも大切なんですね。

 

僕がオイル系のシューケアグッズ(タピールのレーダーオイルやクリストフポーニーなど)が好きと度々申し上げているのは、ロウ分も入っておらず硬化する油が使われていないというところと、デリケートクリームなどと比べると油分が残るので革の柔らかさが持続するところ、という2つの理由があります。

 

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大切なのはこの3つ

 

話がまとまらなくなってきそうなのでまとめに入りたいと思いますが、大切なのはこの3つのルーティーンです。
ご帰宅後のほんの一手間です。

  • シューキーパーを入れて靴の形を整えること
  • 帰宅後は馬毛ブラシで土やホコリを落とすこと
  • 1日履いた靴は2〜3日休ませて水分を飛ばすこと

 

定期的なフルメンテナンスももちろん大切ですが、この一手間の積み重ねがあるかないかではかなり靴の状態は変わってくるはずです。
革の物性を考えると、この3つ全てのお手入れが非常に理にかなっているからです。

 

シューキーパーを入れて靴の形を整える

 

こちらの記事でも解説をしていますが、革は含んだ水分が蒸発するときに収縮をするので、特にドレスシューズの場合はシワを深く入らないためにもシューキーパーを入れることが、靴を長持ちさせるためには有効と言えます。
長時間履いて汗を多くかいた日は、カビの心配をされる方もいらっしゃるかもですので、乾燥を優先させてシューキーパーは翌日の朝に入れるというのもありかもしれません。
靴の保形を優先させるかカビの予防を優先させるかは、そのときの状況で判断してくださればよいかと思います。

 

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帰宅後は馬毛ブラシで土やホコリを落とす

 

細かいホコリとはいえ繊維ですので、革に含む水分や油分を吸ってしまうことは本当にあるようです。
なので、馬毛ブラシで土やホコリを落として上げることで靴を清潔な状態に保ち、さらにお手入れの頻度を減らすことにもつながると考えます。

 

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1日履いた靴は2〜3日休ませて水分を飛ばす

汗は量が多くなってくるとアルカリ性の尿素も多くなってきて、クロムなめし剤を落としてしまうという現象があるようです。
尿素は水分と一緒におおよそ48時間程度で揮発して革から抜けていくとも言われていますので、革にとって負担になる水分や尿素をしっかり飛ばしてあげるのは革にとっては非常に重要なことのようです。

 

そんなお話をさせていただいた動画もありました。

 

 

 

最後に

 

結局お手入れの頻度にこれと言った指針がないのが革靴の難しさではありますが、逆にそれがおもしろいところだと思っています。
何を重視するかという話もあるけど、革によって、シューケアグッズによって特性が違うことを理解していると、好みの選択ができるようになりますね。

 

僕はオイル系のシューケアグッズを好んで使っていますが、それは別に正解ではなく僕の好みですので、人によってお手入れの仕方が違っていいわけですし、是非その好みを探してみていただけたらと思います。

 

 

最後までお付き合いただきありがとうございました。

 

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