フランスへやってまいりました。
言葉が通じない孤独感と戦いながら、多くの方のご協力で2社工場見学をさせていただきましたので、よければお付き合いください。
リモージュという街にある、パーフェクタ [Perfecta] という木型やシューツリーをつくっている会社。
そして、アングレームというところにある、サフィールでお馴染みのアベル [Avel] という会社です。
木型・シューツリー生産をするパーフェクタ
先日お邪魔したダンケルマンとは違い、こちらでは主に木型やシューツリーの量産をしています。
今回も名だたるブランドのシューツリーがいたるところに並んでいましたが、コンフィデンシャルだったため写真はほとんど撮影できず。
コルドヌリ・アングレーズを作ってる会社
コルドヌリ・アングレーズのシューツリーはパーテクタで作られています。
この説明で十分ご理解いただけると思います。
いろんな機械を駆使してツリーを削っていきます。
これがこうなります。
中でも、たったひとつのマシンでシューツリーを削る機械はかなり見応えがありました。
木材が一発でシューツリーになる
いろいろ書きたいことはあるんですが、とりあえずひとつの機械に木材をセットすると、シューツリーの形に削られてでてくるというものがありました。
パーフェクタの特注マシンということで、コンフィデンシャルなので写真は削除しましたが、一度に4つ(片足ずつ)のツリーを削ってくれるものです。
刃が40個くらい並んでいて、必要に応じてマシンがその刃を付け替える。
そしてガリガリ削る、みたいな感じです。
1発っていうとちょっと大げさですが、我々が知っているツインチューブのシューツリーができあがるまで約15分。
ツリーの前後を移動させるなどの作業は必要ですが、ほとんど自動で作業をしてくれるので、作業する人は結構手持ちぶさただったと思います。(失礼
シューツリーの量産
ツリーのカラーリングや、レーザーによるロゴの印字などが主な作業でした。
色付きのツリーってご覧になったことあると思いますが、こんな感じででかい機械の中を通って仕上げがされています。
こちらはレーザーによるロゴの印字。
ダンケルマンの機械とは違うものでしたが、これも一瞬でロゴが焼き込みが可能です。
また、メーカーから提供された靴のシューツリーを作る工程も。
こちらはサンプルで作ったシューツリーを量産に回すためにツリーに釘を打ち込んでいます。
こうすることで、ツリーをコピーするマシンにかけてもツリーが劣化せず、精度の高いものが作れるというわけです。
ダンケルマンでも似たような機械がありました。
中は見えませんが、いくつも並んでいるこの機械でツリーのコピーを量産していきます。
アベル
ご存知サフィールやコルドヌリアングレーズ、ダスコ、タラゴなど、アルマグループで販売されているクリームやワックスなどなどは、すべてこちらで生産されています。
数で言うと、年間に大体400万プロダクトが生産されています。
多すぎて全然ピンときませんね。笑
建物に入ると早速我々がよく知っているあのクリームの香りが。
自動化
クリームやワックス系の生産はかなり自動化されていました。
色(顔料)や成分の配合は人のてで行われているようでしたが、ボトルに流し込んだり冷却したり、ラベルを貼ったり蓋を閉めたり、という数をこなさなければならない工程は機械がバンバンさばいている感じです。
クリーム系の他の工場は見たことがないのでわかりませんが、ああいう金属のマシンがギャンギャン動いてるのって男の子は好きじゃありません?(トランスフォーマーとか割と好きです)
生産自体は古い工場で行われているようでしたが、一昨年に新しい工場が建設されそちらの広いスペースで運搬や梱包などもバシバシ行われていました。
素材へのこだわり
我々ユーザーにとっておもしろいのはこっちです。
自動化によって抑えた製造コスト(人件費)は、リッチな素材を使うことに回しています。
ヨーロッパの各所から仕入れたリッチなワックスを多く使っています。
ワックスと言ってもツヤを出すためのものばかりではなく、革に栄養を与えるようなワックスもあるようです。
つまり、ワックス素材ひとつとっても、栄養補給、プロテクト(保革)、ツヤだしの3つの役割があります。
こんなチーズみたいなワックスから…
砂糖みたいなワックスまで。
いろんなものを組み合わせて使っています。
クレム1925のようなクリームにおいては、ワックス以外にも、ホホバオイルやシアバター、テレピンオイルなど、化粧品にも使われているような素材、もしかしたら化粧品よりもいい素材なんじゃないかと思えるようなものまで、31種類の素材をプロダクトに合わせて配合を使い分けています。
テレピンオイルは防腐効果やカビを防ぐ効果だけでなく、天然の有機溶剤としてワックスを溶かすために使われています。
つまりケミカルな素材は一切使われていないということ。すべて天然素材で構成されています。(全ての商品がそうではないと思います)
普段我々が何気なく使っているクリームって、何がどれだけ入っているかわからないじゃないですか。でもこうやって説明してもらって、現地でちゃんとものを見ると商品のイメージが全然変わりますね。
全ての成分をボトルの裏に書く必要はないと思いますが、天然の素材にこだわって使ってるんですということを何かしらの方法で発信するのはすごく大切なことなんじゃないかと思いました。
というかサフィールの場合はやらないともったいない気がしました。笑
他にそれをやってるところ多くありませんからね。
新商品も開発中
新商品も定期的に企画されていて、今度はクリーナーが出るそうです。
クレム1925は我々にとって馴染みのあるクリーム以外にもワックスやローション系の商品はたくさんありますが、サフィールにはあまり強力なクリーナーって無いですよね。ローション系のクリーナーはどれも優しいものばかりです。
これって実は、革にいいものを使ってるんだから別に落とす必要ないでしょ?っていうのがブランドの考え方だったわけです。天然の溶剤も入っているので、古いワックスやクリームの成分は溶かすこともできるので。
だから今後どういうクリーナーが出るのか個人的に楽しみでもあります。

最後に
フランスでは移動が多くゆっくり街を散策する時間は確保していなかったので、フレンチブランドが一切見れませんでした。
体力的には無理なく回れたんですが、もう少し余裕を持ってスケジューリングしても良かったかなぁと反省しています。
次回は、スペイン・マヨルカ島のカルミーナの工場をご紹介したいと思います。
あと、ロンドンに戻ってきたのでまたロンドンの様子もご紹介できたらと思います。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
・英EU離脱問題と日本の増税から考える、革靴を買うタイミング
・イギリス現地ショップに、僕の足に合うサイズの靴はあるのか聞いてみた
・ヨーロッパで快適に革靴を買うために必要な準備と持ち物を考える
・ノーザンプトンのファクトリーショップで革靴を買うために知っておきたいこと
・エドワードグリーンとローク、ダンケルマンのファクトリーツアーへ【工場見学①】
・3分でわかるジョージクレバリーとアンソニークレバリー【革靴工場見学②】
COMMENTS コメントを投稿する