革についていろいろ勉強していて見つけたのが、こちらの情報。
保存状態の良い革は当然ながら弱酸性(pH 3~6)で、水分は 12~20 %、油脂分は 2~10 %含まれています。
引用:皮革用石鹸 – べじたん(※1)、ソース:What is leather?(※2)
そしてさらに、
アルカリ度(pH)が高いほど洗浄効率が上昇する
引用:皮革用石鹸 – べじたん(※1)、ソース:最近の市販洗濯用洗剤の動向(※3)
さらに、以前コメントをいただいたコロンブスのシューカラリスト三橋弘明さんからも。
汚れを落とす効果は 水性や油性等では判断せず ph値が製品上大切にしております。
※当ブログ:ツーフェイスプラスローションで汚れを落としてみました
この3つの引用を簡単に整理すると。
・汚れを落とす効果はpH値の高い(アルカリ性)ものほど高い
ということが言えましょう。
また、アルカリ性が強いと革のタンパク質を分解するというのもよく耳にする話です。
ということはつまり、
・アルカリ性 = 洗浄効果が高いため場合によっては保存状態を悪化させる
ということも言えるというのではないでしょうか?
というわけで、今回は理科の実験をしていきたいと思いますがまあ、アルカリ性だからと言って必ずしも革に悪いというわけではないと思うのです。
成分にもよるだろうし、浸透性とか揮発性によっても違ってくるはずなので。
だから、製品の優劣をつけるための実験ではなく、あくまで製品の特徴を知るための実験だということをご理解くださいね。
pHのお勉強
簡単に言うとpHは、酸性かアルカリ性かって話です。
0〜14段階まであって、0が酸性、7が中性、14がアルカリ性です。
小学生のとき、理科の実験でやりましたよね!
僕は記憶にありません!
とにかくリトマス試験紙をつけて、赤くなったら酸性、緑や青になったらアルカリ性、ということです。
ちなみに、今回購入したリトマス試験紙。
中国製の安物なので0がなく、通常7が中性のところ、6を中性と考えています。
紛らわしいですが、ご了承の程を!
クリーナーのpHチェック
こちらのクリームとクリーナーを実験していこうと思います。
まずは、クリーナー部門から!
左からという布陣で参ります!
- ステインリムーバー
- ツーフェイスプラスローション
- ユニバーサルレザーローション
- レノマットリムーバー
結果、こんな感じになりました!
写真写りだと色がイマイチ伝わりにくいのですが、左から2つ目のツーフェイスプラスローションは、試験紙がオレンジ色に見えますが、僕の肉眼で見る限りは黄緑色だったため、7(アルカリ性寄り)にしています。
また、一番右のレノマットは色的に微妙ですが、7と8の間って感じです。
ステインリムーバー | 6(中性) |
ツーフェイスプラスローション | 7(弱アルカリ性) |
ユニバーサルレザーローション | 6(中性) |
レノマットリムーバー | 7〜8(弱アルカリ性) |
ステインリムーバー
商品の紹介にも中性とありましたので心配はしてませんでしたが、間違いなく中性のようです!
水溶性の汚れ落としなので、すごくしっかり汚れを落とせるわけではありませんが、革へのダメージは少なそうです。
ただ、どの本にも書いてあることですが、ゴシゴシ擦って革の表面を傷めてしまうのだけは避けましょう!
ツーフェイスプラスローション
すごく強い汚れ落としというわけではなさそうですが、pH値だけでみると洗浄作用が強いと考えられそうですね。
ユニバーサルレザーローション
こちらも一応汚れ落とし的ポジションではありますが、どちらかというと保湿の役割の方が高いかもしれませんね。
レノマットリムーバー
これは意外でした。すごく強いクリーナーという印象があったので。
pH値だけで全てを判断してはいけないということがよくわかる数値です。
デリケートクリームのpHチェック
さて、今度はデリケートクリームです!
左からという布陣で参ります!
- スペシャルナッパ
- 1909シュプリームクリームデラックス(デリクリではない)
- デリケートクリーム
- リッチデリケートクリーム
こちらも馴染みの顔ばかりですね!
結果こう!
左から2番目の1909シュプリームは、写真だとわかりにくいのですが、赤みなのか青みなのか正直難しいところでした。
完全な中性というわけではなさそうなので、僕の肉眼で見た感じ7と判断しました。(違ってたらゴメンなさい…)
スペシャルナッパ | 5(弱酸性) |
1909シュプリーム | 7(弱アルカリ性) |
デリケートクリーム | 8(弱アルカリ性) |
リッチデリケートクリーム | 6 (中性) |
スペシャルナッパデリケートクリーム
悔しいけど弱酸性です!
憎いねー!サフィールノワール!
1909シュプリーム
すみません、これはデリクリではないですね。笑
数合わせです。
これは僕も経験あるんですが、シュプリームを塗った後、指を見ると古いクレムが溶け出してることありました。
弱アルカリ性なのはちょっと納得ですね。
ただ、正直5と7で迷ったクリームだったので、あまり信憑性は高くないかもしれません。
デリケートクリーム
モウブレイのデリケートクリームが、弱アルカリ性なのが個人的には驚きです!
少なからず洗浄力があるはずなので、もしかするとパティーヌをした靴などは色落ちしてしまったり…なんてことがあるかもしれませんね。(自分で試したわけではないので、あくまで推測です)
リッチデリケートクリーム
逆にリッチデリケートクリームは中性ですね。
ちょっと成分が違うだけかなって思ってたんですが、なかなか単純な話でもなさそうですね。
いやぁ、奥が深い…笑
乳化性クリームのpHチェック
最後に乳化性クリームです!
左からという布陣です!
- レーダーフレーゲ
- ナチュラーレ
- クレム1925
- THE CREAM
Boot Blackとモウブレイ のシュークリームもやりたかったんですが、黒を塗ると裏からでも色がイマイチよくわからなくなるので、今回は断念しました!
結果こうです!
左から2番目、ナチュラーレは写真だとわかりにくいですが、若干青みを帯びていると判断したため、7としました!
レーダーフレーゲ | 10(アルカリ性よりの弱アルカリ性) |
ナチュラーレ | 7(弱アルカリ性) |
クレム1925 | 5(弱酸性) |
THE CREAM | 6 (中性) |
レーダーフレーゲ
レーダーフレーゲは、びっくりするくらいアルカリ性です!笑
当初の予想ではオレンジテレピンが入っているので、てっきり酸性になるかなって思ってたんですが、ばっちしアルカリ性でした。笑
クリームナチュラーレ
こちらも溶剤フリーで天然素材オンリーの乳化性クリームですが、ほんの少しアルカリ性寄りのようですね。
リトマス試験紙の色がそれほどはっきりしているわけでは、実際のところはわかりません。
クレム1925
はい、ナッパに続きクレムも見事に弱酸性です。
憎いねー!
THE CREAM
試験紙の色の変化は全くありませんでしたので、中性で間違いないでしょう!
さすが、化粧品会社と共同開発されたクリームです!
そいえば、お肌に優しい石鹸なんかも弱酸性をうたってるものって多いですね。
タンパク質とアルカリ性の関係
詳しいことはそんなにわかんないですが、タンパク質はアルカリ性になると加水分解されやすくなりますね。
革はタンパク質の繊維でできていますので、サドルソープなんかを使う場合はちょっと注意が必要です。
サドルソープの成分が革の繊維内に残ってしまうと、革の劣化も早いと考えていいかもしれませんね。
なので、サドルソープを使われたときは、しっかり洗い流すことをおすすめします。
賛否あると思いますが、参考程度にお考えください!
結論
あまり優劣をつけたいわけじゃないのですが、pHだけでみるとサフィールノワールは優秀だなってことがよくわかりましたね。
こればっかりはもう脱帽です。
pHという視点でいろんなクリームやクリーナーを検証してみましたが、pH値だけでそのクリームの善悪を判断するのは正解ではない気がしています。
ただ、アルカリ性に寄っているものだけを使い続けるのは、長期的に考えると革への負担になっているかもしれませんね。
あくまでかもしれないということしか言えないのですが…
ただ、クリームやクリーナー効果を数値化するのは、本当に顕微鏡で革の内部の繊維を除いてみるしかない気がしています。
クリームも成分を厳密に公開されているものは少ないので、難しいところですね。
あまり参考になるかわかりませんが、その辺を今後も解明していきたいと思っています。
最後までお付き合いいただきありがとうございました!
引用元
※1:引用:皮革用石鹸 – べじたん
※2:ソース:What is leather? – WayBack Archive
※3:ソース:最近の市販洗濯用洗剤の動向 – 東京家政学院大学紀要
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こんにちは!
とても興味深い記事であり、参考になりました。
革のケア剤として「レザーウォッシュ」という商品があります。
こちらの商品は弱酸性で作られており今回紹介されていた商品よりさらに革に優しく水洗いができる!として私自身長年利用しています。
一度お使いいただきPHも測定してみてください。
是非記事の更新、新しい情報楽しもにしております!
こちらこそ、情報提供ありがとうございます。
水洗いを要するケースは僕は多くないのですが、そういう機会があれば次はご教示いただいたレザーウォッシュを使ってみようと思います。
ありがとうございました!